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PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

AMDの「Precision Boost Overdrive(PBO)」と「Curve Optimizer(CO)」は、RyzenデスクトップCPUからさらなる性能を引き出すための強力な2大ツールです。PBOは電力リミットの解除を主目的とした機能ですが、正式にはオーバークロックに分類されます。電力・電流・電圧の上限値を引き上げることでブーストクロックを高め、パフォーマンス向上が期待できます。リアルタイムで動作する仕組みのため、手動オーバークロックを行わなくても、高負荷時にCPUが自動的に高速動作します。手動オーバークロックやストレステストの詳細については、「How to Overclock your CPU」の記事をご覧ください。本記事では、AMD Ryzen Masterを使用したPBOとCOの基本設定方法を解説します。

COはPBO内で利用できる機能で、全コアまたは個別コアごとの電圧-周波数カーブを調整できます。最新のデスクトップCPUは安定性を確保するため、標準状態でもやや高めの電圧が設定されています。この電圧を下げることで、定格クロックを維持したまま消費電力と発熱を抑えられるのです。

AMD Ryzen Masterのダウンロードとインストール

まずAMD公式サイトのRyzen Masterダウンロードページにアクセスし、お使いのOSとCPU世代に対応した最新版をダウンロードします。インストールファイルをダウンロードしたら、ダブルクリックしてセットアップウィザードに従い、インストールを進めましょう。

セットアップ完了後、システムの再起動を求められる場合があります。Windowsが起動したらRyzen Masterを起動してください。起動のたびに警告が表示されますが、オーバークロックは保証対象外であり、PBOも厳密にはオーバークロックに分類される点に注意しましょう。

ソフトウェアは「Basic View」で起動し、操作項目は限られていますが、CPUモデル、クロック速度、温度、電圧、各種OCプロファイルといった主要なシステム情報を表示するダッシュボードが確認できます。

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

PBOやCurve Optimizerなどのパフォーマンスチューニング機能にアクセスするには、インターフェース下部のボタンをクリックして「Advanced View」に切り替えます。

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

Precision Boost Overdrive(PBO)の有効化

「Advanced View」を有効にすると、多彩なコントロールとシステムモニタリングツールへアクセス可能になります。左上には「Creator Mode」「Game Mode」など複数のパフォーマンスプロファイルが用意されており、それぞれ自由に調整できます。

また、PPT(Package Power Tracking)、EDC(Electrical Design Current)、TDC(Thermal Design Current)といった追加パラメーターも、PBOモードごとに調整可能です。

「Control Mode」で「Precision Boost Overdrive」を選択すると、基本的な自動EDC/TDC/PPT値が適用されます。これらの値はマザーボードの上限に自動設定され、マザーボードのファームウェアが電源供給能力に基づいて安全な値を判断します。

より細かい制御が必要な場合は「Auto Overclocking」モードを選択します。「Boost Override CPU」値を設定すると、定格ブーストクロックを超えてクロックを引き上げられます(最大+200MHz)。同時に「PBO Scalar」オプションも解放され、高いブーストクロックでの動作時間を延長できるようになります。

希望の設定を選んだら、下部の「Apply and Test」をクリックします。Ryzen Masterが設定を適用し、システムの安定性を確認するクイックテストを実行します。

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

PBOが有効になると、CPUは余剰ヘッドルームを活用し、高負荷時にこれまで以上に積極的にブースト動作するようになります。

Curve Optimizer(CO)の使い方

PBOを有効化したら、Curve OptimizerでCPUをさらに微調整できます。前述のとおり、この機能はCPUコアの電圧-周波数カーブを調整するもので、簡単に言えば「特定のクロックに必要な電圧」を引き下げることができます。

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

左側のメニューから「Curve Optimizer」セクションを選択します。全コアに一括でカーブ補正を適用するか、コアごとに個別調整するかを選べます。作業の手間を考えると、すべてのコアに同じ電圧オフセットを適用するのがおすすめです。また、「Eco Mode」が無効になっていることも確認してください。

目標はネガティブなカーブオフセットの適用です。まず「All Cores」を選択して「CO All Core Value」セクションを表示し、負の値を入力します。-10あたりから始めて、徐々に低い値へ段階的に進めるのが良いでしょう。CPUの安定性限界を超えないよう注意が必要です。

値を入力したら「Start Optimizing」をクリックします。Ryzen Masterが短い検証テストを実行して安定性をチェックします。問題なければ、設定をプロファイルとして保存できます。

システムの安定性テスト

Ryzen Masterの検証テストは短時間で終わるため、実際のワークロードは合成テストと挙動が異なることがあります。長時間のストレステストを行い、アンダーボルトが本当に安定していることを確認するのが理想です。CPU負荷の高いゲームや、Cinebench R23、Prime 95などのベンチマークで安定性を検証しましょう。

結果の比較としては、ネガティブ電圧オフセットを適用する前にベンチマークを実行しておき、適用後のスコアと比べるのが効果的です。理想的には、アンダーボルト後のスコアがわずかに向上するはずです。

PBOとCurve OptimizerでRyzen CPUの潜在性能を最大限に引き出す方法
画像クレジット:Tom's Hardware

テスト中はCPU温度、サーマルスロットリングの発生有無、クロック速度、システム全体の安定性を必ず監視してください。クラッシュ、フリーズ、ハードウェアエラーが発生した場合は、カーブオフセットが強すぎる可能性があります。負のオフセットを少し緩めてテストを繰り返し、安定した構成を見つけましょう。

適切な設定さえ見つかれば、PBOとCurve OptimizerによってRyzen CPUの追加性能を引き出しつつ、温度を抑えることができます。電圧を慎重にオフセットすることで、高負荷ワークロード中も高いブーストクロックをより長く維持できるようになります。

そして何より大切なのは忍耐です。CPUの挙動は1つひとつ異なり、あるシステムに最適な設定が別のシステムでも機能するとは限りません。少しずつ調整を重ね、最終的な構成に落ち着く前に必ず安定性をテストしてください。

※執筆:Kunal Khullar氏(Tom's Hardware寄稿ライター)。PCパーツと周辺機器を専門とするベテランのテクノロジージャーナリスト兼レビュアーです。

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