3Dプリントとは?仕組み・歴史・使い方・活用例を徹底解説
3Dプリントの基本
3Dプリント(3Dプリンティング)とは、デジタルデータをもとに立体的な実物を作り出す製造技術です。「積層造形(アディティブ・マニュファクチャリング)」とも呼ばれ、材料を削り出すのではなく、積み重ねて造形する点が大きな特徴です。
3Dプリントでは、まずCADソフトと呼ばれるモデリングツールで3Dデータを作成し、それを3Dプリンターで出力します。プリンターが材料を薄い層状に積み重ねることで、完成品が形になっていきます。企業や研究者、医療関係者、趣味で楽しむ個人ユーザーまで、幅広い分野で活用されている技術です。
この記事では、3Dプリントの歴史、仕組み、具体的な使い方、そして今後の展望について詳しく解説します。
実はハリウッド映画でも大活躍
『ブラックパンサー』『アイアンマン』『アベンジャーズ』『スター・ウォーズ』などの映画小道具には3Dプリントが使われています。美術スタッフが手軽かつ低コストで小道具を作り直せるのが魅力です。
3Dプリントの歴史とこれからの展望
3Dプリント技術は1980年代前半に登場しました。当時は「ラピッドプロトタイピング(RP)」と呼ばれていました。1980年には日本の小玉秀男博士がRP技術の特許を出願しましたが、手続きは完了しませんでした。
1984年には、チャールズ「チャック」ハル氏が「光造形(ステレオリソグラフィー)」と呼ばれる手法を発明。紫外線で樹脂を硬化させながら、3Dオブジェクトを層ごとに作り上げる方式です。1986年には光造形装置(SLAマシン)の特許を取得しました。
3D Systems社の設立
チャック・ハル氏はその後、世界最大級の3Dテック企業である3D Systems社を設立しています。
同じ頃、他の3Dプリント技術も開発が進められ、1990年代から2000年代初頭にかけて改良が続けられました。ただし、この時期の3Dプリントは試作品の製作や産業用途が中心でした。
2000年、世界初の3Dプリント腎臓が作られ、メディアの注目を集めるようになりました。ただし、3Dプリント腎臓の移植に成功したのは2013年になってからです。2004年にはRepRapプロジェクトが3Dプリンターで別の3Dプリンターを造形することに成功。2008年には世界初の3Dプリント義肢が登場し、さらに注目度を高めました。
その後も技術革新は続き、2018年には家族が実際に住み始めた3Dプリント住宅も登場しました。
現在、3Dプリントは試作や産業製造だけのものではなくなっています。ホビーユーザーや科学者など幅広い層が、製品製造、消費財、医療分野の進歩、教育教材などさまざまな目的で活用しており、一般消費者にとっても身近な技術になりつつあります。
Remi社のCEOオスカー・アデルマン氏によると、歯科業界でも3Dプリントの普及が進んでいます。3Dプリントの精度は非常に高く、従来の歯科医院の価格と比べて最大80%のコスト削減につながる可能性があるといいます。
「印刷技術がより速く、安価で、一般的になるにつれ、歯科のような業界では日常的な処置において、この技術への依存度がますます高まるでしょう」と同氏は語ります。
次は「4Dプリント」の時代へ
時間の経過とともに形状が変化するオブジェクトを造形できる「4Dプリント」も登場しつつあります。
3Dプリンターの仕組み
3Dプリント技術にはいくつかの種類があります。中でも「熱溶解積層法(FDM:Fused Deposition Modeling)」は「溶融積層造形(FFF)」とも呼ばれ、最も一般的で人気のある方式です。手頃な価格の3Dプリンターの多くに採用されています。
FDM方式では、糸のようなプラスチックフィラメントを使用します。ロールから送り出されたフィラメントは加熱されたヘッドで溶かされ、ベッド(台座)上に押し出されます。ヘッドがベッド上を2次元的に移動しながら、最初の層を形成していきます。
最初の層が完成すると、ヘッドはその層の厚さ分だけ持ち上げられ、その上に次の層を積み重ねます。こうして、パンを一枚ずつ重ねるように、部品が層ごとに造形されていきます。
代表的なFDM式3Dプリンターには、MakerBotやUltimakerなどがあります。
3Dプリンターの使い方(FDMプリンターの場合)
ここでは、FDMプリンターでの基本的な印刷手順を順番に見ていきましょう。
印刷したい3Dモデルをダウンロードするか、自分でデザインします。
ダウンロード可能なモデルはThingiverseやGrabCADで探せます。自作する場合はSketchUpやBlenderがおすすめ。機械部品ならSolidWorksなどのCADソフトが適しています。
モデルがまだ3Dプリント用フォーマット(STLファイルなど)でない場合は、変換しておきます。
モデルをスライシングソフト(MakerWare、Cura、Simplify 3Dなど)に読み込みます。
MakerWareはMakerBot製3Dプリンター専用です。CuraとSimplify 3DはGコードを出力でき、ほとんどの3Dプリンターで利用できます。
スライシングソフトで造形設定を行います。モデルをプリンター上でどの向きに置くかを決めましょう。FDMの場合、45度より急な傾斜(オーバーハング)はサポート材が必要になるため、最小限に抑えます。
向きを決める際は、荷重のかかり方も考慮し、層が剥離しにくい配置を選ぶことが大切です。
時間と材料を節約するため、モデルは通常中空になっています。インフィル率(通常10〜35%)、外周レイヤーの数(通常1〜2)、底面・上面レイヤーの数(通常2〜4)を指定しましょう。3Dプリントの準備では、他にも考慮すべきポイントがあります。
Gコードファイルとして書き出します。スライシングソフトが、モデルと造形設定を一連の命令に変換し、3Dプリンターがそれに従って造形を行います。
SDカード、USB、Wi-Fiなどを使って、プログラムを3Dプリンターに転送します。
3Dプリンターでモデルを印刷します。
印刷が完了したらモデルを取り外し、必要に応じて仕上げ加工を行います。サポート材を取り除き、残った凸凹は細かいサンドペーパーで磨きましょう。
その他の3Dプリンターの種類
FDM以外にも、光造形(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、シート積層法(LOM)、電子ビーム溶融(EBM)といった方式があります。
SLAは最も古い3Dプリント技術で、現在でも広く使われています。DLPは光源とポリマーを使用し、SLSはレーザーを熱源として強度の高い造形物を作れるのが特徴です。一方、SLM、LOM、EBMは現在ではあまり使われなくなっています。
3Dプリントの未来
3Dプリントは、私たちの希望する仕様に合わせて、カスタマイズされた製品をその場で作り出す未来を実現するのでしょうか? まだ確かなことは言えませんが、3Dプリント技術は急速に成長しており、多くの分野で活用が進んでいます。
住宅や腎臓・手足などの臓器の3Dプリントをはじめとする技術革新は、世界中の多くの人々の生活を向上させる可能性を秘めています。
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