PyTorchでテンソルの平均と標準偏差を計算する方法|torch.mean()・torch.std()の使い方
PyTorchのテンソルはNumPy配列によく似ています。最大の違いは、テンソルがGPUを活用して数値計算を高速化できる点です。テンソルの平均はtorch.mean()メソッドで計算でき、入力テンソル内の全要素の平均値が返されます。さらに、適切な軸(dim)を指定すれば、行ごと・列ごとの平均も求められます。
テンソルの標準偏差はtorch.std()メソッドで計算します。テンソル内の全要素に対する標準偏差を返し、平均と同様に行単位・列単位の計算も可能です。なお、torch.std()はデフォルトで不偏標準偏差(ベッセル補正あり)を返す点に注意してください。
計算の手順
必要なライブラリをインポートします。以降のPythonサンプルではtorchライブラリを使用するため、事前にインストールしておいてください。
PyTorchテンソルを定義し、内容をprint()で確認します。
torch.mean(input, dim)で平均を計算します。inputは平均を求める対象のテンソル、dim(axisでも可)は集計対象の次元です。計算結果は新しい変数に代入します。
torch.std(input, dim)で標準偏差を計算します。引数の意味はtorch.mean()と同じです。計算結果は新しい変数に代入します。
計算した平均と標準偏差を出力して確認します。
例1:1次元テンソルの場合
次のPythonプログラムは、1次元テンソルの平均と標準偏差を計算する例です。
# Pythonプログラム:1次元テンソルの平均と標準偏差を計算
# ライブラリをインポート
import torch
# テンソルを作成
T = torch.Tensor([2.453, 4.432, 0.754, -6.554])
print("T:", T)
# 平均と標準偏差を計算
mean = torch.mean(T)
std = torch.std(T)
# 結果を出力
print("Mean:", mean)
print("Standard deviation:", std)
出力
T: tensor([ 2.4530, 4.4320, 0.7540, -6.5540]) Mean: tensor(0.2713) Standard deviation: tensor(4.7920)
例2:2次元テンソルの場合(行・列方向の集計)
次のPythonプログラムは、2次元テンソルの平均と標準偏差を、テンソル全体・列方向・行方向のそれぞれについて計算する例です。
# 必要なライブラリをインポート
import torch
# 3x4の2次元テンソルを作成
T = torch.Tensor([[2,4,7,-6],
[7,33,-62,23],
[2,-6,-77,54]])
print("T:\n", T)
# 全体の平均と標準偏差を計算
mean = torch.mean(T)
std = torch.std(T)
print("Mean:", mean)
print("Standard deviation:", std)
# 列方向(axis=0)の平均と標準偏差を計算
mean = torch.mean(T, axis = 0)
std = torch.std(T, axis = 0)
print("Column-wise Mean:\n", mean)
print("Column-wise Standard deviation:\n", std)
# 行方向(axis=1)の平均と標準偏差を計算
mean = torch.mean(T, axis = 1)
std = torch.std(T, axis = 1)
print("Row-wise Mean:\n", mean)
print("Row-wise Standard deviation:\n", std)
出力
T:
tensor([[ 2., 4., 7., -6.],
[ 7., 33., -62., 23.],
[ 2., -6., -77., 54.]])
Mean: tensor(-1.5833)
Standard deviation: tensor(36.2703)
Column-wise Mean:
tensor([ 3.6667, 10.3333, -44.0000, 23.6667])
Column-wise Standard deviation:
tensor([ 2.8868, 20.2567, 44.7996, 30.0056])
Row-wise Mean:
tensor([ 1.7500, 0.2500, -6.7500])
Row-wise Standard deviation:
tensor([ 5.5603, 42.8593, 53.8602])
まとめ
torch.mean()とtorch.std()を使えば、テンソル全体の統計量はもちろん、dim(axis)を指定するだけで行・列ごとの集計も簡単に行えます。なお、近年のPyTorchでは標準偏差計算時に補正方法を明示することが推奨されており、torch.std(T, correction=1)のように書くと意図がより明確になります。データ分析や前処理において、これらの統計量は正規化やスケーリングの基礎となるため、ぜひ使いこなしましょう。
-
ExcelのSTDEV関数で標準偏差を求める方法をわかりやすく解説
Microsoft Excelは、計算機能、グラフ作成ツール、ピボットテーブル、そしてVBA(Visual Basic for Applications)と呼ばれるマクロプログラミング言語など、多彩な機能を備えた人気の表計算ソフトです。数式を使うことで複雑な計算も素早く行うことができ、統計処理にも幅広く活用されています。統計関数のひとつであるSTDEV関数を使うと、標準偏差を簡単に求められます。統計学における標準偏差とは、一連の数値のばらつきや散らばりの度合いを表す指標のことで、データ分析において非常に重要な概念です。STDEV関数の構文STDEV関数の構文は以下の通りです。数値1(Numbe
-
Excelで標準偏差と平均の標準誤差(SEM)を計算する方法|STDEV関数の使い方を解説
Excelはさまざまな用途に活用できる便利なツールですが、特に統計データを扱う方にとっては欠かせない存在です。統計学でよく使われる指標に「標準偏差」と「平均の標準誤差(SEM)」があります。これらの値を手作業で計算するのは難しく、電卓を使っても手間がかかりますが、Excelならセル範囲を指定するだけで簡単に求められます。 Excelで標準偏差を計算する方法 標準偏差とは、統計学で使われる用語で、データセット内の各数値が平均値からどれだけばらついているかを表す指標です。標準偏差を求めるための数式の構文は以下の通りです。 =STDEV(サンプリング範囲) ここで「サンプリング範囲」は、次のように指