Javaジェネリクス入門:基本概念から実践的な使い方まで徹底解説
ジェネリクス(Generics)は、Java言語における最も重要な機能のひとつです。その背後にある考え方は非常にシンプルですが、通常の構文とは異なる記法が使われるため、一見複雑に感じられることがあります。
本チュートリアルでは、この便利なジェネリクスの概念を、初心者にもわかりやすい形で解説していきます。
ジェネリクスそのものに入る前に、そもそもなぜJavaにジェネリクスが必要だったのかを見ていきましょう。
Javaジェネリクスの目的
Java 5でジェネリクスが導入される以前は、以下のようなコードをエラーや警告なしに書いてコンパイルすることができました。
List list = new ArrayList();
list.add("hey");
list.add(new Object());
リストなどのJavaコレクションには、格納するデータ型を宣言することなく、任意の型の値を追加できました。しかし、リストから値を取り出す際には、明示的に特定の型へキャストする必要がありました。
上記のリストを反復処理する場合を考えてみましょう。
for (int i=0; i< list.size(); i++) {
String value = (String) list.get(i); // i=1のときClassCastExceptionが発生
}
このように、格納するデータ型を事前に宣言せずにリストを作成できると、プログラマーが上記のようなミスを犯し、実行時にClassCastExceptionがスローされる結果になりかねません。
ジェネリクスは、まさにこの種のミスを防ぐために導入されました。
ジェネリクスを使えば、次の例のように、Javaコレクションを作成する際に格納されるデータ型を明示的に宣言できます。
注意:
格納するデータ型を指定せずにJavaコレクションオブジェクトを作成することは今でも可能ですが、推奨されません。
List<String> stringList = new ArrayList<>();
こうすることで、String型のリストに誤ってIntegerを格納しようとした場合にコンパイル時エラーが発生するため、プログラムが実行時エラーに陥るのを未然に防げます。
stringList.add(new Integer(4)); // コンパイル時エラー
Javaにジェネリクスが導入された主な目的は、実行時にClassCastExceptionが発生するのを回避することにありました。
Javaジェネリクスの作成方法
ジェネリクスは、Javaのクラスやメソッドの作成に活用できます。それぞれの作成例を見ていきましょう。
ジェネリッククラス
ジェネリッククラスを作成する際は、クラス名の末尾に山括弧 <> で囲んだ型パラメータを追加します。
public class GenericClass<T> {
private T item;
public void setItem(T item) {
this.item = item;
}
public T getItem() {
return this.item;
}
}
ここで、T がデータ型パラメータです。Javaの慣習では、データ型パラメータとして T、N、E などの文字がよく使われます。
上記の例では、GenericClassオブジェクトを作成するときに、具体的なデータ型を渡すことができます。
public static void main(String[] args) {
GenericClass<String> gc1 = new GenericClass<>();
gc1.setItem("hello");
String item1 = gc1.getItem(); // "hello"
gc1.setItem(new Object()); // エラー
GenericClass<Integer> gc2 = new GenericClass<>();
gc2.setItem(new Integer(1));
Integer item2 = gc2.getItem(); // 1
gc2.setItem("hello"); // エラー
}
ジェネリッククラスのオブジェクトを作成する際、型パラメータにプリミティブ型を渡すことはできません。Object型を継承するデータ型のみが、型パラメータとして指定可能です。
例:
GenericClass<float> gc3 = new GenericClass<>(); // エラー
ジェネリックメソッド
ジェネリックメソッドの作成は、ジェネリッククラスとほぼ同じパターンに従います。ジェネリッククラスの中でも、非ジェネリッククラスの中でも、ジェネリックメソッドを実装できます。
public class GenericMethodClass {
public static <T> void printItems(T[] arr){
for (int i=0; i< arr.length; i++) {
System.out.println(arr[i]);
}
}
public static void main(String[] args) {
String[] arr1 = {"Cat", "Dog", "Mouse"};
Integer[] arr2 = {1, 2, 3};
GenericMethodClass.printItems(arr1); // "Cat", "Dog", "Mouse"
GenericMethodClass.printItems(arr2); // 1, 2, 3
}
}
ここでは、特定の型の配列を渡してメソッドをパラメータ化できます。ジェネリックメソッド printItems() は、渡された配列を反復処理し、通常のJavaメソッドと同じように格納された要素を出力します。
境界型パラメータ(Bounded Type Parameters)
これまでに作成したジェネリッククラスやメソッドは、プリミティブ型以外の任意のデータ型でパラメータ化できます。しかし、ジェネリクスに渡せるデータ型を制限したい場合はどうすればよいのでしょうか? そこで役立つのが「境界型パラメータ」です。
別のデータ型のサブクラスであることを指定することで、ジェネリッククラスやメソッドが受け入れるデータ型に境界(上限)を設けられます。
例:
// Listのサブクラスのみを受け入れる
public class UpperBoundedClass<T extends List>{
// Listのサブクラスのみを受け入れる
public <T extends List> void UpperBoundedMethod(T[] arr) {
}
}
この場合、UpperBoundedClass と UpperBoundedMethod は、List データ型のサブタイプでのみパラメータ化できます。
List 型は、型パラメータの上限(アッパーバウンド)として機能します。List のサブタイプではないデータ型を使用しようとすると、コンパイル時エラーがスローされます。
境界として指定できるのはクラスだけではなく、インターフェースも渡せます。この場合、「extends」とはインターフェースを実装することを意味します。
さらに、次の例のように、1つのパラメータに複数の境界を設定することもできます。
// MammalとAnimalの両方のサブクラスのみを受け入れる
public class MultipleBoundedClass<T extends Mammal & Animal>{
// MammalとAnimalの両方のサブクラスのみを受け入れる
public <T extends Mammal & Animal> void MultipleBoundedMethod(T[] arr){
}
}
受け入れられるデータ型は、AnimalクラスとMammalクラスの両方のサブクラスである必要があります。境界のうち1つがクラスである場合、そのクラスは境界宣言の先頭に置かなければなりません。
上記の例で、MammalがクラスでAnimalがインターフェースである場合、Mammalを先頭に記述する必要があります。順序を守らないと、コードはコンパイル時エラーをスローします。
Javaジェネリクスのワイルドカード
ワイルドカードは、ジェネリック型のパラメータをメソッドに渡すために使われます。ジェネリックメソッドとは異なり、ここではジェネリックなパラメータが、メソッドが受け入れる引数に対して渡される点が特徴です。これは、これまで説明してきたデータ型パラメータとは異なる仕組みです。ワイルドカードは ? 記号で表されます。
public void printItems(List<?> list) {
for (int i=0; i< list.size(); i++) {
System.out.println(list.get(i));
}
}
上記の printItems() メソッドは、任意のデータ型のリストを引数として受け入れます。これにより、ジェネリクスがない場合に必要となる、データ型ごとのリスト向けのコード重複を避けられます。
上限境界ワイルドカード(Upper Bounded Wildcards)
メソッドが受け入れるリストに格納されるデータ型を制限したい場合は、境界付きワイルドカードを使用できます。
例:
public void printSubTypes(List<? extends Color> list) {
for (int i=0; i< list.size(); i++) {
System.out.println(list.get(i));
}
}
printSubTypes() メソッドは、Colorのサブタイプを格納するリストのみを受け入れます。RedColorやBlueColorオブジェクトのリストは受け入れますが、Animalオブジェクトのリストは受け入れません。AnimalはColorのサブタイプではないためです。これが上限境界ワイルドカードの例です。
下限境界ワイルドカード(Lower Bounded Wildcards)
同様に、次のようなメソッドがあるとします。
public void printSuperTypes(List<? super Dog> list) {
for (int i=0; i< list.size(); i++) {
System.out.println(list.get(i));
}
}
この printSuperTypes() メソッドは、Dogクラスのスーパータイプを格納するリストのみを受け入れます。MammalやAnimalオブジェクトのリストは受け入れますが、LabDogオブジェクトのリストは受け入れません。LabDogはDogのスーパークラスではなくサブクラスだからです。これが下限境界ワイルドカードの例です。
まとめ
Javaジェネリクスは、その導入以来、プログラマーにとって欠かせない機能となりました。
この人気の理由は、プログラマーの開発作業を大きく楽にしてくれる点にあります。コーディングミスを防ぐだけでなく、ジェネリクスを活用することでコードの重複も削減できます。異なるデータ型ごとに同じようなコードを何度も書かなくて済むよう、クラスやメソッドを汎用化できることに気づいたでしょうか?
ジェネリクスをしっかりと理解することは、Javaのエキスパートを目指すうえで非常に重要です。まずは、本チュートリアルで学んだ内容を実際のコードに応用してみることが、次のステップへの近道となるでしょう。
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