SQL(構造化照会言語)とは?基本概念・用途・メリット・デメリットを徹底解説
SQL(構造化照会言語)とは
SQL(Structured Query Language、構造化照会言語)は、リレーショナルデータベースの管理や、データに対するさまざまな操作を行うために標準化された、専門的なプログラミング言語です。データベースのテーブルやインデックス構造の変更、データ行の追加・更新・削除、トランザクション処理や分析アプリケーション向けの情報抽出など、幅広い用途で使用されています。
SQLには、select、insert、update、delete、create、alter、truncate など、コマンド形式で実行される専用のクエリや操作があり、これらは一般的に「SQLステートメント」と呼ばれます。
SQLとリレーショナルデータベースの関係
1970年代後半から1980年代前半にかけてリレーショナルデータベースが登場して以降、SQLはリレーショナルデータベースの標準的なプログラミング言語となりました。一般に「SQLデータベース」と呼ばれるリレーショナルシステムは、行と列の形式でデータを格納する一連のテーブルで構成されています。テーブル内の各列は、顧客名や住所といったデータのカテゴリに対応し、各行には交差する列に対応するデータ値が格納されます。
また、SQLはリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)に格納されたデータをプログラミング・設計するためのドメイン固有言語でもあります。特に、データ内の異なるエンティティ(変数)間に関係性が存在する構造化データの処理において、高い有用性を発揮します。
SQLの言語体系
SQLは元々、関係代数とタプル関係論理に基づいて設計されており、多数のステートメントタイプで構成されています。これらは一般的に以下のように分類されます。
- データ照会言語(DQL):データの検索・取得を行う
- データ定義言語(DDL):データベース構造の定義を行う
- データ制御言語(DCL):アクセス権限などを制御する
- データ操作言語(DML):データの挿入・更新・削除などを行う
SQLの適用範囲には、データ照会、データ操作(挿入・更新・削除)、データ定義(スキーマの作成と変更)、データアクセス制御が含まれます。さらに、SQLは手続き型の要素も備えているため、宣言型言語(第4世代言語:4GL)として説明されることもあります。
SQLの主な用途・活用シーン
SQLには、以下のようなさまざまな活用方法があります。
1. データ統合スクリプトの作成
SQLの主要な用途の一つは、データベース管理者や開発者によるデータ統合スクリプトの作成です。
2. 分析クエリの実行
データアナリストは、SQLを使用して分析クエリの設定と実行を日常的に行っています。
3. 情報の取得
分析アプリケーションやトランザクション処理のために、データベース内から必要な情報のサブセットを取得することも、代表的な用途です。最もよく使われるSQL要素には、select、insert、update、delete、create、truncate、alter などがあります。
4. その他の重要な用途
SQLは、インデックス構造やデータベーステーブルの変更にも使用されます。さらに、ユーザーはSQLを使ってデータ行の追加・更新・削除を行うことができます。
SQL標準とベンダー独自の拡張
公式なSQL標準は、1986年に米国規格協会(ANSI)によって採択され、その後1987年に国際標準化機構(ISO)によっても採択されました。SQLは、データベース管理者だけでなく、データ統合スクリプトを作成する開発者や、分析クエリの設定・実行を行うデータアナリストによっても広く利用されています。
SQLをベースとした商用およびオープンソースのリレーショナルデータベース管理システムは数多く存在し、代表的なものには、Microsoft SQL Server、Oracle Database、IBM DB2、SAP HANA、SAP Adaptive Server、MySQL(現在はOracleが所有)、PostgreSQLなどがあります。
ただし、これらのデータベース製品の多くは、手続き型プログラミングやその他の機能のために、標準言語に対して独自の拡張を加えた形でSQLをサポートしています。例えば、Microsoftは「Transact-SQL(T-SQL)」と呼ばれる拡張セットを提供しており、Oracleの標準拡張版は「PL/SQL」です。そのため、ベンダーごとに提供されるSQLのバリアントは、相互に完全な互換性を持つとは限りません。
SQLコマンドと構文
SQLコマンドは、データ操作言語(DML)やデータ定義言語(DDL)ステートメント、トランザクション制御、セキュリティ対策など、いくつかの異なるタイプに分類されます。
- DML(データ操作言語):データの取得と操作に使用されます。
- DDL(データ定義言語):データベース構造の定義と変更に使用されます。
- トランザクション制御:トランザクション処理を管理し、エラーや問題が発生した場合にトランザクションが完了するか、ロールバックされることを保証します。
- セキュリティステートメント:データベースへのアクセス制御や、ユーザーロールと権限の作成に使用されます。
SQL言語は、以下のような複数の言語要素に細分化されます。
- 句(Clauses):ステートメントやクエリの構成要素です。
- 式(Expressions):スカラー値、または列と行のデータで構成されるテーブルのいずれかを取ることができます。
- 述語(Predicates):SQLの3値論理(3VL)(真/偽/不明)またはブール真理値(真/偽)に評価できる条件を指定するために使用され、ステートメントやクエリの効果を制限したり、プログラムのフローを変更したりします。
- クエリ(Queries):特定の条件に基づいてデータを取得するために使用されます。
- ステートメント(Statements):スキーマやデータに永続的な影響を与えたり、トランザクション、プログラムフロー、接続、セッション、診断を制御したりします。
- SQLステートメントには、セミコロン(「;」)によるステートメント終端記号も含まれます。
- SQLステートメントやクエリでは、意味を持たない空白は通常無視されるため、可読性を高めるためにSQLコードを整形しやすくなっています。
相互運用性と標準化の課題
SQLの実装はベンダー間で互換性がなく、すべての標準に準拠しているわけではありません。特に、日付と時刻の構文、文字列の連結、NULLの扱い、比較時の大文字小文字の区別などは、ベンダーによって異なります。その結果、SQLコードを修正なしにデータベースシステム間で移植できることはまれです。
データベースシステム間で移植性の問題が生じる理由は、主に以下の通りです。
- SQL標準の複雑さと規模が大きいため、ほとんどの実装者は標準全体をサポートしていません。
- 標準では、インデックスやファイルストレージなど、いくつかの重要な領域におけるデータベースの動作が規定されておらず、実装に委ねられています。
- SQL標準は、準拠するデータベースシステムが実装すべき構文を正確に規定しています。しかし、言語構成要素のセマンティクスに関する仕様は十分に明確ではなく、曖昧さが残っています。
- 多くのデータベースベンダーは大規模な既存顧客基盤を抱えています。新しいバージョンのSQL標準が従来のデータベースの動作と競合する場合、ベンダーは後方互換性を損なうことを避けようとします。
- ユーザーがデータベースサプライヤーを変更しやすくすることには、ベンダーにとってほとんど商業的なインセンティブがありません(ベンダーロックイン)。
- データベースソフトウェアを評価するユーザーは、標準への準拠よりも、パフォーマンスなどの他の要素を優先する傾向があります。
SQLのメリット
- SQLクエリを使用すると、データベースから大量のレコードを迅速かつ効率的に取得できます。
- SQLは、データをオブジェクトに保存することなくデータを表示するために使用できます。
- SQLは2つ以上のテーブルを結合し、ユーザーには1つのオブジェクトとして表示できます。
- SQLデータベースは、ANSIとISOによって採用されている、長年の実績ある標準を使用しています。一方、非SQLデータベースは明確な標準に準拠していません。
- 標準SQLを使用すれば、大量のコードを書くことなくデータベースシステムを簡単に管理できます。
- SQLはテーブルへのアクセスを制限できるため、権限のないユーザーによる行の挿入を防ぐことができます。
- 以前はSQLデータベースはリレーショナルデータベースと同義でしたが、オブジェクト指向DBMSの登場により、オブジェクトストレージ機能がリレーショナルデータベースにも拡張されました。
SQLのデメリット
- SQLデータベースとの連携は、数行のコードを追加するよりも複雑です。
- テーブルが削除されると、それに依存するビューは非アクティブになります。
- SQLデータベースはANSIおよびISO標準に準拠していますが、一部のデータベースはベンダーロックインを確実にするために、標準SQLに対する独自の拡張を採用しています。
- データベースはオブジェクトであるため、ストレージ容量を占有します。
-
SQL Serverクエリストアとは?設定方法から実行プランの強制まで徹底解説
Microsoft® SQL Server® のクエリストア(Query Store)は、その名のとおり、データベース上で実行されたクエリの履歴、ランタイム実行統計、実行プランを「保管庫」のように記録してくれる機能です。収集されたデータはディスク上に保存されるため、トラブルシューティングが必要になったときにいつでも参照でき、SQL Server を再起動してもデータは失われません。SQL Server 2016 で導入され、それ以降のすべてのエディションで利用可能なクエリストアを活用すれば、クエリプランの変更に起因するパフォーマンス問題の切り分けが格段に容易になります。 はじめに パフォーマン
-
Stretch Databaseとは?SQL ServerからAzureへのコールドデータ移行をわかりやすく解説
こんにちは、皆さん。今回は、データベース(DB)をさまざまな面で改善してくれる、シンプルながら非常に強力な機能「Stretch Database」についてご紹介します。 それでは早速始めましょう。 Stretch Databaseとは? SQL Server 2016で導入された「Stretch Database(略称:StretchDB)」は、オンプレミスのSQL ServerからMicrosoft Azureクラウドへデータを拡張できる機能です。ローカルのSQL Server®上にあるコールドデータ(アクセス頻度の低いデータ)をAzure®へアーカイブしながら、ウォームデータ(アクセス頻度