T-MobileのBand 71(600MHz帯)がユーザーにもたらすものとは?

2017年、米国FCC(連邦通信委員会)は600MHz帯のみを対象としたスペクトラムオークションを実施しました。多くの企業が参加したこのオークションで最大の勝者となったのはT-Mobileで、他のどの参加者よりも多くの周波数を獲得しています。当初はVerizonやAT&Tも関心を示していましたが、最終的には入札を見送りました。
この新たな周波数の獲得により、T-Mobileは全米をカバーできる十分なローバンド免許を手に入れました。割り当てられた帯域幅が広いため、十分なデータ速度の確保も可能になっています。それ以前、T-Mobileは700MHz帯(Band 12)のローバンドスペクトラムを保有していましたが、十分なデータ速度を維持できるだけの帯域幅はありませんでした。
新たに獲得した600MHz帯は「Band 71」として展開されます。これによりT-Mobileは、より広い帯域幅を備えた届きやすい電波を全米規模で提供できるようになります。では、これは利用者にとって何を意味するのでしょうか?
屋内外を問わず広がるカバレッジ
電波は周波数が低いほど遠くまで届き、障害物——特にコンクリートの壁——を貫通する能力も高くなります。T-Mobileには「建物の中でつながりにくい」という評判がありました。これは、同社が免許を持っていたスペクトラムの大部分がミッドバンドであり、高速なデータ通信は可能でも、厚い壁や長距離には伝わりにくかったためです。ここ5年ほど前まで、T-Mobileはローバンドスペクトラムを一切保有しておらず、700MHz帯の取得を開始してようやく状況が変わり始めました。しかし、700MHz帯のBand 12にも欠点があります。

1つ目の欠点は、全米をカバーできるだけの700MHz帯免許を持っていないことです。アイオワ州のようにT-Mobileが700MHzスペクトラムを一切保有しない州もあり、他の多くの州も状況は大差ありません。
2つ目の欠点は帯域幅の不足です。カバー範囲の大部分でわずか6MHzしかなく、この狭い帯域幅ではLTE速度が非常に遅く、5Mbpsあれば「速い」とされるレベルでした。しかし、600MHz帯を全国規模で利用できるようになった今、T-Mobileはより遠くまで届き、建物内ではるかに快適に使え、競合他社に匹敵するデータ速度を維持できる信号を展開できるようになります。
ただし、落とし穴もある
Band 71を利用するには、この新しい周波数に対応したデバイスが必要です。T-Mobileのネットワーク上の既存端末の多くはまだBand 71に対応していませんが、T-Mobileが販売する新型端末のほぼすべてが対応しています。例によってAppleの出足は遅めで、当時Band 71に対応していたiPhoneはXS、XS Max、XRのみである点には注意が必要です。T-Mobileの利用者の方は、次にスマートフォンを選ぶ際、カバレッジとデータ速度を最大限に引き出すためにも、Band 71対応機種の購入を強くおすすめします。

もう1つの課題は、全米への展開に時間がかかることです。600MHz帯は以前、テレビ局が放送に使用していた周波数だからです。FCCはすべてのテレビ局に対し600MHz帯からの撤退を命じていますが、地域によっては移行に時間を要します。T-Mobileは、特に自社のカバレッジがまだない地域を中心に、テレビ局が早期に移行できるよう資金を拠出しています。
ほとんどの利用者にとって、すぐに体感できる変化はないでしょうし、Band 71非対応のスマートフォンを使っている場合は違いを感じられません。ただし、対応端末を利用している人であれば、以前は繋がりにくかったエリアでのカバレッジや速度の向上に気づく可能性があります。
当時、T-MobileのBand 71は43州とプエルトリコの計2,700都市をカバーしていました。約4年で展開が完了する見込みで、その頃には圧倒的大多数のT-Mobile利用者がBand 71対応端末を使用することになるでしょう。4年は長く感じられるかもしれませんが、T-Mobileは長期的な視点でネットワーク構築に取り組んでいるのです。
※本記事は2018年頃の状況に基づいています。現在ではBand 71はT-Mobileの5Gネットワークの基盤として全土で広く活用されており、最新のiPhoneやAndroid端末の大多数が対応しています。
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