2019年、スマホを脅かす5つのモバイルセキュリティリスクとその対策
カスペルスキー(Kaspersky Lab)は2019年3月5日、2018年におけるモバイルマルウェアの主要な攻撃手法について分析した記事を公開しました。その結果、驚くべきことに、モバイルへの攻撃総数はわずか1年間で約2倍に急増していたことが判明したのです。
この記事では、2018年に最も多く使われた攻撃手法を振り返りながら、新たなデジタル脅威の波から自分自身を守るための方法を詳しく解説します。
1. トロイの木馬ドロッパー(Trojan Droppers)
トロイの木馬ドロッパーは少し変わったタイプのマルウェアです。それ自体は直接的な被害をもたらしませんが、より悪質なプログラムを運び込むための「運搬役」として設計されています。有用なアプリやプログラムに擬態し、インストールされた後にマルウェアをスマホへ送り込むのです。
場合によっては、マルウェアをダウンロード・展開してインストールした後、疑いを持たれないよう即座に自身を削除します。また、本体を深いところに隠して、ユーザーがメインのマルウェアを削除した後も感染を続けるケースもあります。
いずれにせよ、トロイの木馬ドロッパーの主な目的は、はるかに悪質なものを運ぶ「輸送手段」になることです。マルウェア作者にとっては、拡散したいマルウェアの周りに保護層を追加できるため好まれています。
この脅威への対処法
トロイの木馬ドロッパーは複雑に聞こえますが、基本的には他の多くのマルウェアと同じルールに従います。つまり、システムにダウンロードされなければ何も感染できないということです。したがって、ファイル型マルウェアを避ける一般的な対策がここでも有効です。
怪しいサイトやメールから不審なファイルをダウンロードしないこと。無料アプリをダウンロードするときは、公式ストアのものでも注意が必要です。さらに、信頼できるモバイル用ウイルス対策ソフトを導入しておけば、トロイの木馬ドロッパーがペイロードを届けようとした瞬間に検知できます。
2. 銀行SMSマルウェア(Banking SMS Malware)
ハッカーがあなたの銀行口座情報を手に入れたとしても、スマホでSMSによる二要素認証(2FA)を設定していれば、認証コードなしではログインできません。そこでハッカーたちは、被害者のスマホ上のSMSメッセージを読み取るマルウェアに目を付けたのです。
被害者の銀行口座にログインしようとする際、マルウェアがスマホに届いたSMSの認証コードを読み取ります。これにより、ハッカーは口座へのログインに必要な情報をすべて入手できてしまうのです。
このマルウェアが機能するには、SMSメッセージを読む権限が必要です。そのため、WhatsAppなどのメッセンジャーアプリに擬態することがよくあります。SMS権限を求められたとき、ユーザーはそれをメッセージ機能の一部だと思い込み、許可を与えてしまうわけです。
さらにハッカーたちは、Androidが提供する新しいアクセシビリティサービスを悪用する手法へと進化させています。画面の読み取りが苦手な人を支援するために、アクセシビリティサービスはSMSの2FAコードを読み上げることができます。マルウェアはこのサービスを標的にし、受信したコードを読み取ってマルウェア作者へ送信します。
SMSによる2FA認証が思われているほど安全ではない理由については、これまでにも解説してきました。
この脅威への対処法
メッセージ関連やアクセシビリティサービスの権限を求めるアプリには十分注意してください。銀行マルウェアはSMSを読み取るためにこれらの権限を必要とするため、許可しなければ口座を守ることができます。
メッセンジャーアプリをインストールするときは、必ず正規の提供元から入手しましょう。詐欺師は偽アプリをアップロードして人々を騙そうとすることが多いため、本物であることを常に確認してください。
3. マルバタイジングとアドウェア(Malvertising and Adware)
他の金銭目的のマルウェアとは異なり、アドウェアはユーザーの銀行口座を直接狙いません。代わりに広告とのインタラクションを通じて広告収入を稼ごうとし、感染したアプリ経由で配信されるのが一般的です。
ただし、広告のクリック単価は低いため、アドウェア作者は十分な利益を出すために被害者に大量の広告を表示させる必要があります。その結果、感染は非常に分かりやすくなり、ユーザーは広告に邪魔されながらスマホを操作することになります。
残念ながら、アドウェア開発者が巧妙な場合、感染したアプリの外側にも広告を表示させることがあります。こうなると、どのアプリが広告を配信しているのかを特定するのは困難です。
この脅威への対処法
インストールするアプリには注意を払い、公式ソースからのみアプリをダウンロードしてください。スマホに見覚えのない広告が表示された場合は、最近インストールしたアプリを思い出し、すぐに削除しましょう。その後、ウイルス対策ソフトで残骸を一掃します。
一部のアドウェアは、表示まで時間差を置くことがあります。これは、最初に感染元となったアプリへの疑いを逸らすためです。つまり、最近ダウンロードしたアプリだけが犯人とは限らない点に注意しましょう。
4. マイナートロイの木馬(Miner Trojans)
マイナートロイの木馬にとって、2018年は非常に活発な年となりました。わずか1年で5倍に急増しています。これは、マルウェア作者が端末を使えなくするだけのマルウェアから、「金儲けマシン」型の仕組みへと移行している兆候です。
マイナートロイの木馬は「クリプトジャッキング」と呼ばれる行為を行います。これは、悪意のある第三者があなたのデバイスのプロセッサを乗っ取り、あなたの負担で暗号通貨を採掘するというものです。
スマートフォンの性能向上も、マイナートロイの木馬がマルウェア開発者に選ばれる理由の一つです。スマホはますます高性能になっており、採掘攻撃の収益性が高まっています。さらに、現代社会におけるスマホの高い普及率を考えれば、マイナートロイの木馬の作者には大勢の潜在的な「ゾンビ」が存在するわけです。
幸いなことに、マイナートロイの木馬が動作しているかどうかは非常に分かりやすい特徴があります。システム全体が著しく遅くなるのです。そのため、マルウェア作者側は削除への耐性を高めることに力を注いでいます。
この脅威への対処法
スマホの動作が異常に遅くなったと感じたら、マイナートロイの木馬が処理能力を奪っている可能性があります。ウイルススキャンを実行して、駆除できるか確認しましょう。
ただし、スマホが遅くなる原因がすべてマイナートロイの木馬だとは限りません。起動中のアプリが多すぎたり、メモリ不足だったりする可能性もあります。ウイルススキャンの結果が陰性であれば、不要なアプリを整理してみると改善するかもしれません。
5. リスクウェア(Riskware)
2018年には、リスクウェアも増加しました。リスクウェアは今回挙げた脅威の中で少し特殊な存在です。悪意を持って設計されているわけではなく、開発者にユーザーを害する意図がない場合でも、危険で悪用可能な動作を行うアプリに与えられる名称だからです。
2018年には、アプリ内課金を扱うリスクウェアが増加しました。通常、AndroidやiOSデバイスでアプリ内課金を行うと、支払いは公式ストアのサービスによって処理されます。GoogleやAppleがすべての購入を追跡できる仕組みです。
この公式ストアの仕組みはユーザーにとって安心ですが、開発者にとっては導入が難しい場合があります。経験の浅い開発者の中には、ユーザーがアプリ内課金を行ったときに開発者へ確認SMSを送る、リスクウェアベースのシステムを使うことがあります。公式ストアのサービスを使わずに済むため、コーディングが簡単になるからです。
しかし、このSMS方式では、購入の管理が完全に開発者の手中にあります。開発者が有料コンテンツの提供を拒否しても、ユーザーにはほとんど対抗手段がありません。購入がGoogleやAppleのシステムを通っていないため、彼らも助けてくれないのです。
この脅威への対処法
正規の手順を踏もうとしないソフトウェアには細心の注意を払いましょう。アプリが公式の課金手段を使用せずに支払いを求めてくるなら、距離を置くべきです。購入は必ず公式チャネルを通じて行えば、開発者が約束を守らなかった場合の証拠として購入履歴を提示できます。
ランサムウェアは減少傾向
銀行SMS攻撃が増加している一方で、興味深いことにランサムウェアは減少傾向にあります。ランサムウェアはマルウェア作者にとって有望な収益源であり、実際、「ランサムウェア・アズ・ア・サービス」の解説でも大きな利益を得られる方法について触れてきました。
では、なぜマルウェア作者はこの魅力的な機会から離れているのでしょうか?いくつかの理由が考えられます。
- ユーザーがランサムウェアの脅威について学び、身代金を払わずに対抗する道を選ぶようになった。近年、身代金を支払わずにランサムウェアから脱するためのサービスやアドバイスが数多く登場しています。
- 無差別に感染させる手法のため、要求額を支払えない人々に感染してしまうこともある。
- スマートフォンには重要度の低いデータしか保存されていないことが多く、端末のロック解除への関心が相対的に低い。
マルウェアから身を守るために
2018年はモバイルマルウェアが大きく跳ね上がった年でした。モバイルの利用において安全習慣を心がけることで、これらの脅威から自分を守ることができます。
マルウェアに対抗する準備はできていますか?モバイルセキュリティを強化するためのガイドもぜひ参考にしてください。
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