自分のTorリレーを構築・運用する方法|準備から設定・監視まで徹底解説
Torリレーとは?ボランティアが支える匿名ネットワーク
The Onion Router(Tor)は、世界中のボランティアが提供するコンピュータとインターネット回線のネットワークによって成り立っています。何百万ものユーザーが、オンライン上のプライバシー保護や、身元を明かさずにさまざまなウェブサイトへアクセスするためにTorを信頼して利用しています。
自分でTorリレー(ノード)をホストすれば、他のユーザーが同じ自由をネット上で楽しめるよう支援できるだけでなく、いくつかの追加メリットも期待できます。ただし、潜在的なリスクについても理解しておくことが重要です。まず大前提として、速度はTorの得意分野ではありません。匿名性が目的なら、信頼できるVPNサービスのほうが高速な選択肢になるでしょう。
また、サービスの匿名性を悪用して違法行為に及ぶ者も一部存在します。その結果、本来関わりたくない注目を浴びることになりかねません。ISP(プロバイダ)から不審な通信がないか連絡が来る可能性もあることを、あらかじめ念頭に置いておきましょう。
それでもTorリレーの運用に挑戦したい方は、以下の手順に従って、あなただけのリレーをセットアップしてみてください。
Torリレー構築前の準備と確認事項
セットアップ全体には、多少の時間と基本的な技術スキルが必要です。Torリレーの構築プロセス自体はそれほど複雑ではありませんが、事前に済ませておくべきステップがいくつかあります。
まず、インターネット接続環境と使用予定のサーバーに関する情報を整理しましょう。ISPが公表している帯域幅の数値を鵜呑みにせず、speedtest.netのようなスピードテストサイトで実際のダウンロード速度とアップロード速度を計測するのがおすすめです。
速度の測定はトラフィックが集中するピーク時間帯に行うことで、混雑時にどれくらいの帯域が確保されるのか、より正確な目安を得られます。また、無制限の帯域プランを契約していない場合は、月間のデータ通信量上限も必ず確認しておきましょう。
次に、ip4.meにアクセスして自分のグローバルIPアドレスを確認します。アドレスはページの上部に表示されます。加えて、ネットワーク内でプロキシサーバー、NAT、ファイアウォール、ルーターなどを利用している場合も、その構成を把握しておくと後々役立ちます。
同様に、通信を秘匿したいソーシャルアプリなどがある場合は、使用中のポート番号を特定し、可能であれば別のポートへ変更しておきましょう。
Torリレー用ハードウェアとOSの選定
続いて、Torリレーを稼働させるハードウェアとオペレーティングシステムを選びます。必要な最低ダウンロード速度は約250KBpsですが、速いに越したことはありません。また、64ビットアーキテクチャ以上の環境を用意するのが望ましいでしょう。
OSは好みで選べますが、Debian(またはUbuntu)が最適です。Debianのリポジトリには公式のTorパッケージが用意されているため、インストール作業が非常にシンプルになります。
Torエージェントのインストールと設定手順
以降の手順では、OSとしてDebianを使用している前提で解説を進めます。
- ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
sudo apt-get install tor
- 追加のディスク容量が必要というメッセージが表示されたら、Yを押してEnterキーを押下します。
- インストールが完了に近づくと、次のいずれかのメッセージが表示されます。
Starting tor daemon…done
または
Setting up tor…
- メッセージが表示されない場合は、以下のコマンドでログを確認すると失敗の原因を特定できます。
sudo tail -f /var/log/messages
- 表示された問題点を修正し、再度Torのインストールを試みてください。
- メイン設定ファイル(torrc)を/etc/tor配下、もしくは/etc/直下で探します。テキストエディタで開くには、以下のコマンドを実行します。
sudo vi /etc/tor/torrc
- ファイルの末尾に移動し、以下の行を追記します。
ORPort 443
Exitpolicy reject *:*
Nickname whateveryouwant
ContactInfo thisguy@itor.com
- NicknameとContactInfoの値は自由に変更できます。帯域幅の使用量を制限したい場合は、追加の設定行が必要です。これは月間データ上限を守るだけでなく、クライアントPCのパフォーマンスを損なわずにTorへ十分な速度を提供するためにも有効です。両者のバランスを意識して調整しましょう。
- 続けて、ファイルの末尾に以下の行を追加します。
AccountingStart day 0:00
AccountingMax 512 MBytes
RelayBandwidthRate 5120 KBytes
RelayBandwidthBurst 10240 KBytes
- 以下を入力してファイルを保存します。
:wq
- Enterキーを押した後、次のコマンドでTorを再起動します。
sudo service tor restart
- これでTorリレーが稼働し、利用可能な状態になりました。
ARMとTor Metricsでリレーを監視する
リレーの稼働状況は、Anonymizing Relay Monitor(ARM)を使って監視できます。ターミナルから以下のコマンドでインストールしましょう。
sudo apt-get install tor-arm
- インストールが完了したら、次のコマンドで起動します。
sudo arm
旧Tor Atlasとして知られる「Tor Metrics」も便利な監視サービスです。このサイトでは自分のリレーを公開情報として確認でき、世界中のTorリレーと出口ノードのグローバルカタログが閲覧できます。リレーのセットアップ完了からサイトへの反映まで、最大4時間ほどかかる点に注意してください。
- まず、以下のコマンドでTorリレーのフィンガープリントを取得します。
# cat /var/lib/tor/fingerprint
- 必要なのは、長い英字の文字列のうち2番目のブロックです。書き留めるか覚えておきましょう。
- ブラウザで以下のURLを開きます。
https://metrics.torproject.org/#details/<relay fingerprint info>
- 自分のノードを見つけるには、セットアップ時に登録したニックネームで検索します。
リレーがすぐに大量のトラフィックを獲得することは期待しないでください。データルーティングが本格的に始まるまで数日を要し、他のクライアントのエントリー候補(ガードノード)として認められるまでには最低でも68日ほどかかります。
とはいえ、すべてが軌道に乗れば、あなたは何百万ものユーザーにより安全なインターネット体験を提供する、拡大し続けるボランティア共同体の一員になれるのです。
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