Microsoft マルウェア駆除ツール(MSRT)とは?仕組みと限界を徹底解説
Windows Updateのインストール履歴をチェックしていると、「Microsoft 悪意のあるソフトウェアの削除ツール(Malicious Software Removal Tool/通称MSRT)」が毎月のように登場することにお気づきではないでしょうか。このツールは一部のマルウェアを駆除してくれますが、対応範囲はごくわずかです。つまり、アンチウイルスソフトの代わりにはなりません。
実はこのツールは、Windows標準環境におけるアンチウイルス機能の不足を補う「応急処置」として存在しています。流行中のワームなど、蔓延しやすいマルウェアを検出・駆除することで感染拡大を抑え、さらなる被害を防ぐのが主な役割です。しかし、多種多様な脅威からシステムを常時守り、そもそもの感染を未然に防ぐ本格的なアンチウイルスソフトの代替にはなり得ません。
Microsoft マルウェア駆除ツールの仕組み
毎月第2火曜日は、マイクロソフトがセキュリティ更新プログラムを公開する「パッチチューズデー」です。この日に合わせて新しいバージョンのMSRTもリリースされ、Windows Updateを自動インストールに設定していれば、更新版がダウンロードされてクイック スキャンモードで自動実行されます。スキャンでは、よく知られた代表的なマルウェアがシステム上で動作していないかを素早く確認し、見つかれば駆除します。
このツールの目的
MSRTは、Blaster(ブラスター)、Sasser(サッサー)、Mydoom(マイドゥーム)といった、大量のPCへ急速に感染を広げるワーム型マルウェアへの対抗策として開発されました。この種のマルウェアは1台のPCだけにとどまらず、感染したマシンからさらに他のマシンへと感染を広げ、ネットワーク全体に深刻な負荷をもたらします。
MSRTを活用することで、マイクロソフトは流行中の特定マルウェアを多数のPCから一斉に駆除でき、特に猛威を振るうマルウェアの拡散速度を落とすことができます。最新のアンチウイルスを導入していないユーザーによる被害を軽減する効果はありますが、あくまで補助的な存在であり、アンチウイルスソフトの必要性をなくすものではありません。
MSRTの大きな限界
このツールには、非常に重大な制約があります。具体的には以下の通りです。
- すでにコンピュータに感染済みのマルウェアしか検出できない
- 駆除できるのはごく一部の種類のマルウェアのみ
- システム上で動作中のマルウェアしか検出対象にならない
- 更新とスキャンは月1回しか行われない
それでもアンチウイルスソフトが必要な理由
本格的なアンチウイルスソフトは、MSRTとは正反対のアプローチでPCを保護します。
- マルウェアが起動する前に、実行そのものをブロックする
- 既知のあらゆるマルウェアの検出を試みる
- 動作していない潜伏中のマルウェアまで含め、ファイルシステム全体をスキャンする
- 常にバックグラウンドで稼働し、定義ファイルを毎日(あるいはそれ以上の頻度)で更新する
手動で実行する方法
MSRTは通常、ユーザーの操作なしにサイレントモードで実行されますが、手動で起動することも可能です。スタートメニューの検索ボックスに「mrt」と入力してEnterキーを押せば、mrt.exeが起動します。
ツールのバージョンが60日以上古い場合、新しいバージョンのダウンロードを促す画面が表示されます。ここでも、マイクロソフト自身が「アンチウイルス製品の利用」を推奨している点に注目してください。
「このツールが検出および駆除する悪意あるソフトウェアの一覧を表示する」というリンクをクリックすると、対応しているマルウェアの短いリストが確認できます。この一覧はマイクロソフトの公式サイトでも閲覧可能です。
この画面からは、標準の「クイック スキャン」ではなく、PC内のファイル全体を調べる「完全スキャン」を実行することもできます。ただ正直に言えば、完全スキャンを実行する価値はあまりありません。詳細なフルスキャンを行いたいなら、本格的なアンチウイルスソフトを使うべきです。MSRTの完全スキャンでも、検出できるのは依然として限られた種類のマルウェアだけだからです。
スキャンを実行すると、「悪意のあるソフトウェアは検出されませんでした」というメッセージが表示されることを願うばかりですが、この結果を鵜呑みにしてはいけません。ツールがチェックするのは一部のマルウェアだけなので、システムにマルウェアが一切存在しないという保証にはならないのです。
アンチウイルスソフトの活用を
マイクロソフトは無料のアンチウイルスとして、かつて「Microsoft Security Essentials」を提供していましたが、現在ではWindows 8以降に標準搭載された「Windows Defender(現:Windows セキュリティ)」へと統合されています。つまり、最近のWindowsであれば追加インストールなしでも基本的な保護を受けられます。もちろん、より強固なセキュリティが必要なら、サードパーティ製のアンチウイルス製品を選択するのも良いでしょう。いずれにせよ、MSRTだけに頼るのは推奨できません。
あなたはどのアンチウイルスソフトを活用していますか? ぜひコメント欄で教えてください。
画像クレジット:Laptop with Bacteria via Shutterstock、Computer Worm Illustration via Shutterstock
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