Windows 10が起動しないときの対処法|原因と5つの解決策を徹底解説
Windows 10の起動プロセスは、実はシンプルな仕組みで成り立っています。パソコンの電源を入れると、まずUEFIまたはBIOSファームウェアが読み込まれ、ハードウェアに対して「POST(Power On Self Test)」と呼ばれる一連のチェックが実行されます。エラーが見つからなければ、BIOSはマスターブートレコード(MBR)をスキャンし、そこからWinload.exeという重要なファイルがRAMに読み込まれます。このファイルが読み込まれると、NTOSKRNL.EXE(Windowsの中核を担うNTカーネル)とHAL(ハードウェア抽象化レイヤー)が起動され、Windowsの起動プロセスが本格的に始まります。
つまり、Windowsが起動できない場合、多くはコンピュータがWinload.exeを読み込めていないことが原因です。この状態は決して好ましいものではなく、必ずしもOSを元通りにできるとは限りません。しかし、回復環境(RE)に入ってブートファイルの破損を確認したり、コマンドプロンプトで修復を試みたり、ハードディスク自体に問題がないか調べたりすることは可能です。
解決策1:破損したブートファイルの修復
起動トラブルが発生した場合、最初に確認すべきはブートファイルです。ブートファイルは、Windows Updateの途中で中断・フリーズが発生した際などに破損することがあります。ここではchkdskコマンドを実行して不整合を修復します。作業はすべて回復環境(RE)上のコマンドプロンプトから行います。ブートパラメータが破損しているため、Windows自身では修復できず、通常の回復ツールでも対処できないケースがあるためです。
- パソコンを再起動し、起動時にF11キーを押して回復環境に入ります。「トラブルシューティング」を選択してください。
- 表示されたオプション一覧から「詳細オプション」をクリックし、「コマンドプロンプト」を選択します。
- コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを実行します。Windowsが別のドライブにインストールされている場合は、「c」の部分を該当するドライブ名に置き換えてください。
chkdsk c: /r /x
チェックディスクユーティリティがスキャンのみを行い修復を実行しなかった場合は、次のコマンドを実行します。
sfc /scannow
システムファイルチェッカー(SFC)は、OS内の破損をスキャンして復元できるWindows標準のユーティリティです。Windowsリソース保護と連携しており、フォルダやレジストリキー、重要なシステムファイルも保護対象となっています。
- 処理が完了するまで待ち、途中でキャンセルしないでください。すべての操作が終わったらパソコンを再起動し、正常に起動できるか確認しましょう。
解決策2:Bootrec(bootrec.exe)を使用する
Bootrecは、Windows回復環境(Windows RE)に用意されているMicrosoft純正のツールです。パソコンの起動に失敗すると、Windowsは自動的にREで立ち上がります。この環境には、コマンドプロンプトやスタートアップ修復など、問題を解決できる複数のツールが備わっています。ここではコマンドプロンプトからBootrecを使ってみましょう。
- パソコンを再起動します。Windowsロゴが表示されたタイミングでF8またはF11キーを押します。
- 解決策1と同じ手順で「コマンドプロンプト」まで移動します。
- コマンドプロンプトで以下のコマンドを順番に実行し、それぞれ完了するのを待ちます。
bootrec /fixmbr
bootrec /fixboot
bootrec /scanos
bootrec /rebuildbcd
各コマンドが正常に完了したという確認メッセージが表示されるはずです。その後システムを再起動すれば、問題が解決している可能性があります。
解決策3:ネットワークドライバーを無効化する
2018年初頭のWindows更新プログラムにより、世界中の多くのデバイスでネットワークドライバーが壊れる事象が発生しました。原因は不明ですが、影響を受けたユーザーは本記事で扱っているのと同じ「OSが起動できない」という問題に直面しました。この問題への対処としては、セーフモードで起動してすべてのネットワークドライバーを無効化する方法があります。正常に起動できたら、ドライバーを以前のバージョンに戻しましょう。
- Windows 10をセーフモードとコマンドプロンプトで起動します。
- セーフモードに入ったら、Windowsキー+Rを押し、ダイアログボックスに「devmgmt.msc」と入力してEnterキーを押します。
- 「ネットワークアダプター」のカテゴリを展開し、各ネットワークアダプターを1つずつ右クリックして「無効化」を選択します。
- すべてのネットワークドライバーを無効化したら、セーフモードを終了して通常どおりの起動を試みます。
- 正常に起動できたらデバイスマネージャーを開き、アダプターを右クリックして「プロパティ」を選択します。ここに「ドライバーのロールバック」というオプションがあれば実行してください。ない場合は、インターネットから旧バージョンのドライバーをダウンロードしてアクセスしやすい場所に保存し、「ドライバーの更新」→「コンピューターを参照してドライバーを検索」(手動更新)を選択してインストールします。
注意:原因となるソフトウェアがすでに分かっている場合は、セーフモードで起動してそのソフトをアンインストールまたは無効化してから、通常どおりの起動を試してみてください。
解決策4:コマンドプロンプトでレジストリを復元する
上記の解決策がすべてうまくいかない場合は、コマンドプロンプトを使ってWindowsを復元します。まず一部のファイルをバックアップしてから作業を進めます。手順は一つずつ丁寧に説明します。一つの手順も省略せずに実行してください。省略するとPCが使用不能になる恐れがあります。
- 更新プログラムのインストール失敗後、Windowsが無限ブートループに陥っている場合は、プラグを抜いて電源を切断します。ノートパソコンの場合はバッテリーを取り外します。バッテリーが取り外せない機種なら、電源ボタンを5秒間長押しすれば即座に電源が切れます。
- 再度電源を入れると、自動修復の画面が表示されるはずです。表示されない場合は、もう一度同じ方法で電源を切り、3回目には表示されます。その後、前述の方法で「コマンドプロンプト」へ移動します。
- コマンドプロンプトで「c:」と入力します。これはWindowsがどこにインストールされているかを確認するためです。続けて「dir」と入力して内容を一覧表示します。結果に「Program Files」が見えれば、Windowsはこのドライブにインストールされています。なければ「d:」など別のドライブ名を入力して確認してください。下の例では、インストールファイルがDドライブに存在しています。
- Windowsがインストールされている正しいドライブに移動したら、以下のコマンドを入力します。
cd \windows\system32\config
MD backup
以前にこの解決策を試したことがある場合は、「backup」ではなく「backup1」など別の名前を使用してください。
- 次に、以下のコマンドでファイルをバックアップします。
copy *.* backup
手順4で指定したのと同じ名前を使用してください。この例では「backup」という名前を使っています。
- 続けて以下のコマンドを入力します。
CD regback
dir
数字の付いた項目がいくつか表示されるはずです。もし数字が表示されずゼロばかり並んでいる場合は、この解決策を続行することはできません。代わりにシステムの復元を使用する必要があります。
- 以上の手順が完了したら、次のコマンドを入力します。
copy *.* ..
このコマンドは「copy *.*」(アスタリスク・ドット・アスタリスク)、半角スペース、「..」(ドット・ドット)の順に入力します。確認メッセージが表示されたら「A」(All=すべて)を入力します。
- これでWindowsが再起動します。処理したファイル数によっては起動にかなり時間がかかる場合があります。最後まで完了させ、途中でキャンセルしないでください。しばらく待てば、問題なくパソコンにログインできるようになっているはずです。
注意:この方法では、Windowsの一部の機能が使えなくなる可能性があります。発生頻度は非常に低いですが、万が一起こった場合でも、問題はごく軽微なものがほとんどで、深刻な事態にはなりません。
解決策5:データをバックアップしてシステムの復元を行う
上記の方法で手動復元ができない場合は、RE内でデータを手動バックアップしてからシステムの復元を実行する必要があります。なお、このバックアップは自動ではないため、ファイルのコピー先として外付けハードディスクやUSBメモリが必要です。
- 前述の方法でRE内の「コマンドプロンプト」を開きます。コマンドプロンプトで「notepad」と入力して実行すると、RE環境内で通常のメモ帳アプリが起動します。
- メモ帳で「ファイル > 開く」を選択します。「ファイルの種類」の欄で「すべてのファイル」を選択すると、このエクスプローラーでPC上のすべてのファイルが表示できるようになります。
- バックアップしたいデータの場所へ移動し、右クリックして「コピー」を選択します。
- 再びPC(マイコンピューター)へ移動し、リムーバブルドライブを見つけて、コピーした内容をすべて貼り付けます。重要なデータをすべて外付けハードディスクやUSBにバックアップできるまで、この手順を繰り返します。
データのバックアップが完了したら、システムの復元を開始できます。システムの復元を実行するには、あらかじめ復元ポイントが作成されている必要があります。通常、Windowsは更新プログラムの適用時や新機能のインストール時に自動的に復元ポイントを作成します。
- 前述の方法で詳細オプション画面へ移動し、「システムの復元」をクリックします。
- 一覧から復元ポイントを選択し、システムの復元を実行します。復元ポイント作成後にPCに入力されたデータの一部が失われる可能性がある点に注意してください。
注意:この画面には「前のビルドに戻る」というオプションもあります。更新プログラムが原因でWindowsが壊れたと確信できる場合は、前のバージョンに戻してみると問題が解決するかもしれません。
最終手段:Windowsのクリーンインストール
ここまで紹介した手順でも正常に起動できない場合は、Windowsを新規インストールする必要があります。ただし、データを保持したままインストールする方法はまだ残されています。
Windowsのインストールには、インストール先のドライブが必要です。インストール中の選択画面で、別のドライブにWindowsをインストールすることも可能です。こうすれば古いドライブのデータはそのまま残るため、後からアクセスできるようになった際に新しいドライブへデータをコピーし、古いドライブをフォーマットできます。Windows 10のインストール方法については、詳しく解説した記事も参考にしてください。
補足のヒント
Windowsのインストールメディアが入ったUSBメモリやディスクを挿入し、「コンピューターを修復する」を選択することでも回復環境に入れます。上記の手順でREに入れない場合に、この方法を活用してください。
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