ウィンドウマネージャーに切り替える前に知っておくべき7つのこと
自分だけのデスクトップ環境を作り上げたい——そんな思いから、多くのLinuxユーザーがウィンドウマネージャーの導入に踏み切ります。現在使っているデスクトップ環境を捨ててウィンドウマネージャーへ移行するメリットは数多くありますが、ユーザー一人ひとりの目的やスキルレベルは異なるため、すべての人に当てはまる「万能の選択」というわけではありません。
ここでは、デスクトップ環境をウィンドウマネージャーに置き換える前に、知っておくべき重要なポイントを紹介します。
ウィンドウマネージャーとデスクトップ環境の違い
ウィンドウマネージャーとは、GUI上でウィンドウの配置や表示を管理するプログラムのことです。デスクトップ環境の一部として動作する場合もあれば、単体でスタンドアロンのデスクトップとして使うこともできます。
一方、デスクトップ環境は通常、ウィンドウマネージャーに加えてウィジェットや各種ユーティリティなどを含み、アプリケーションと連携しながら快適な操作体験を提供します。代表的なデスクトップ環境には、KDE Plasma、GNOME、Xfce、LXQt、Cinnamonなどがあります。
ウィンドウマネージャーの例としては、i3wm、bspwm、dwm、そしてKDEで使われているKWinやGNOMEで使われているMetacityなどが挙げられます。
1. ウィンドウマネージャーはシステムリソースの消費が少ない
「空いているRAMは無駄なRAMだ」という考え方に共感するタイプでしょうか。それとも、軽量なデスクトップを使ってメモリ消費を抑えたいタイプでしょうか。後者に当てはまるなら、おめでとうございます。ウィンドウマネージャーはまさにうってつけの選択です。
Unihostの調査によると、GNOMEとKDEはそれぞれ736MB、633MBのメモリを使用します。一方、i3wmやawesomeといったウィンドウマネージャーは、実行中でもわずか3MB、9MB程度しか消費しません。ただし、この数値にはステータスバーやメニューなど、別途インストールが必要なユーティリティの分は含まれていない点に注意してください。
まとめると、見た目にある程度妥協してでもパフォーマンスを優先したいなら、ウィンドウマネージャーが向いています。とはいえ、ウィンドウマネージャーのデスクトップが地味で魅力に欠けるというわけでは決してありません。
2. ウィンドウマネージャーはカスタマイズ性が非常に高い
KDE Plasmaのようなデスクトップ環境も高いカスタマイズ性で知られていますが、自由度の高さではウィンドウマネージャーに遠く及びません。ウィンドウの配置方法、外観、タイトルバー、タスクバーなど、デスクトップのあらゆる要素を思い通りに変更できます。
ウィンドウマネージャーの真の力を目の当たりにしたいなら、Redditのr/unixpornコミュニティを覗いてみましょう。ユーザーたちが投稿する凝りに凝ったデスクトップカスタマイズ(いわゆる「ライス」)がずらりと並んでいます。自分好みの見た目と操作性を持つデスクトップを実現したいなら、ウィンドウマネージャーは間違いなく最良の選択肢となるでしょう。
3. ウィンドウマネージャーは設定が複雑
強力なカスタマイズ性の裏には、それ相応の複雑さが潜んでいます。ウィンドウマネージャーの挙動や外観は、通常「設定ファイル(コンフィグファイル)」と呼ばれるテキストファイルによって制御されます。導入後しばらくは、設定ファイルの編集、変数の書き換え、コマンドの追加といった作業に時間を費やすことになるでしょう。
経験豊富なLinuxユーザーなら比較的スムーズに乗り越えられる段階ですが、初心者にとって設定ファイルの編集方法を習得するのは一筋縄ではいきません。さらに厄介なことに、各ウィンドウマネージャーで設定ファイルの構文が異なります。これは、それぞれ異なるプログラミング言語で開発されており、コマンドの解釈形式も違うためです。
4. 基本的なユーティリティは手動でセットアップが必要
デスクトップ環境と違い、ウィンドウマネージャーにはメニューやステータスバーといった基本的なユーティリティすら同梱されていません。必要なプログラムを一つひとつ、自分の好みに合わせてインストール・設定する必要があります。しかも、新しいプログラムを追加するたびに新しい設定ファイルが登場するため、複雑さはさらに増していきます。
初めてのウィンドウマネージャー体験を「真っ暗な画面だけ」という残念な結果にしたくなければ、WM本体に加えて、メニューシステム、ステータスバー、壁紙設定ツール、コンポジタなども一緒にインストールしておきましょう。
5. ウィンドウマネージャーはキーボード中心の操作体系
マウスでの操作に慣れ親しんだ人にとって、ほとんどのウィンドウマネージャーが採用しているキーボード主体のナビゲーションへの適応は容易ではありません。とはいえ、マウスやタッチパッドが一切使えなくなるわけではありません。
マウスでのクリックや操作は引き続き可能ですが、一般的にウィンドウマネージャーはキーボードを多用するユーザーに最適な環境です。
ウィンドウマネージャーの操作は、Modキー(通常はSuperキー)を組み合わせた独自のキーバインドに依存します。たとえばi3wmでターミナルを開くにはMod + Enterを押します。同様に、Mod + HやMod + Vで、次に開くウィンドウの配置を水平・垂直に切り替えられます。
ウィンドウマネージャーは高度にカスタマイズできるため、設定ファイルに新しいキーバインドを追加したり、デフォルトの割り当てを変更したりすることも自由自在です。
6. 理想のウィンドウマネージャー選びは難しい
LINUXの他のソフトウェアと同じように、選択肢となるウィンドウマネージャーの多さに圧倒されることでしょう。選択肢が豊富なことは一部のユーザーにとって喜ばしいことですが、別のユーザーにとっては迷いやフラストレーションの原因にもなりかねません。
どれを選ぶべきかは、求める機能次第です。スタッキング型とタイリング型のどちらが好みですか?慣れ親しんだプログラミング言語で書かれたウィンドウマネージャーが必要かもしれません。いずれにせよ、複数の候補の中から自分に合ったものを選べるのは間違いありません。
7. ウィンドウマネージャーへの適応には時間がかかる
Linuxを最初にインストールしたとき、デスクトップに慣れるのに苦労したのではないでしょうか。ウィンドウマネージャーへの移行でも同じことが起こります。しかし、努力と時間を惜しまなければ、最初の学習フェーズはすぐに乗り越えられます。
デスクトップを自分でカスタマイズするわけですから、システムについてはすでに大半を把握しているはずです。プログラムの起動、ワークスペースの切り替え、ユーティリティの修正など、覚えるべきことはいくつかあります。インターフェースに早く慣れる最善の方法は、既存のデスクトップ環境と併用する形でウィンドウマネージャーをインストールし、日常的に使い込むことです。
初心者でもウィンドウマネージャーを使うべき?
Linux初心者がいきなりウィンドウマネージャーに触れると、その複雑さに圧倒されがちです。初心者がWMを使ってはいけないというルールはありませんが、ウィンドウマネージャー特有の難しさを考えると、一般的にはおすすめできません。とはいえ、Linuxは本来、細部までいじり回すのが好きな人や新しいことに挑戦したい人のためのOSであり、何をインストールして使うかは完全にあなたの自由です。
デスクトップ環境をウィンドウマネージャーに置き換えるべきなのは、それに伴う地道な作業をやり遂げる覚悟がある場合だけです。まだ移行の準備が整っていないなら、まずはさまざまなデスクトップ環境を試してみて、自分に合ったものを見つけることを検討してみてください。
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