IBMが予測する、今後5年間で世界を変える5つの技術ブレークスルー
IBMは、今後5年以内に、人工知能(AI)、クリプトアンカー、ブロックチェーン技術を基盤とするテクノロジーが、新たなソリューションへの道を開くと予測しています。これらの技術は、食品安全性の向上、製造部品の真正性の確認、遺伝子組み換え製品の識別、偽造品の検出、高級品の由来証明といった課題の解決に役立つと期待されています。
塩粒よりも小さい世界最小のコンピューターから、AIを搭載した顕微鏡まで――ここでは、今後5年間で私たちの生活に大きな影響を与えるとされる技術革新を5つご紹介します。
1. 塩粒より小さい世界最小のコンピューター

製造コスト10セント未満の世界最小のコンピューターは、データの監視、通信、分析、さらにはアクションの実行までを行うことができます。この超小型デバイスは、ブロックチェーン技術とクリプトアンカー(暗号アンカー)を組み合わせて設計され、身の回りのあらゆる機器に組み込まれる予定です。
IBMリサーチの責任者を務めるアルビンド・クリシュナ氏は次のように述べています。「ブロックチェーンの分散型台帳技術と連携させることで、製品の出どころから顧客の手に届くまで、その真正性を保証することができます。」
2. AI搭載のロボット顕微鏡

クラウドでネットワーク接続され、世界各地に配置されるこのロボット顕微鏡は、地球規模で海洋の健康状態を常時監視できるほどの堅牢性を備えています。AIを搭載したロボットは、水域が健全かどうかを判定するだけでなく、大規模な水域における水質汚染の程度を監視することも可能です。
クリシュナ氏は、特にAIとの連携を中心に、多様な技術が融合することで、従来は解決が困難だった環境問題にも対処できるようになると強調しています。
3. 偽造品対策を支えるクリプトアンカー

クリプトアンカーは、QRコードのような微小なコードを製品に埋め込むことで、商品が顧客の手に届くまでの間、その起源を認証し続ける仕組みです。万が一改ざんが行われた場合でも検知でき、偽造品の撲滅と食品サプライチェーンの安全性確保に大きく貢献します。
詐欺や偽造による世界的な損失は年間6,000億ドルに上るとされています。クリプトアンカーが実用化されれば、食品からダイヤモンド、さらには命を救う医薬品まで、あらゆる製品の信頼性が担保されることになります。
4. 格子暗号(ラティス暗号)

機密性の高いデータがオンライン上で収集・保存される機会が増える一方で、ハッカーの技術力も日々向上しており、セキュリティ対策には常に進化が求められています。高性能なコンピューティングデバイスが安価になり入手しやすくなる中で注目されているのが「格子暗号」です。これは、機密データを複雑な代数構造の中に隠すことで保護する手法です。
格子暗号はハッカーの攻撃に対して極めて強い耐性を持ち、強力な暗号化コードによって、悪意ある第三者から個人の大切なデータを守り抜きます。
5. AIのバイアス問題

AIシステムの精度は、学習に使われたデータの質に大きく依存します。もし学習データが偏った形で収集されていれば、AIが出す結果は現実世界にそぐわないものとなり、不公平な判断や決定を生む原因にもなり得ます。
バイアスの少ない意思決定を実現するAIシステムの研究開発が進められていますが、最大の課題は「AIはデータから学習する」という点にあります。学習データに偏りがあれば、AIにも必ず偏りが生じてしまうため、中立的で質の高いデータセットを用いた訓練が不可欠なのです。
おわりに
以上の5つの技術ブレークスルーは、いずれも私たちの生活や社会を大きく変える可能性を秘めた魅力的なものです。IBMという技術大手が本気で取り組んでいるだけに、その実現には大きな期待が寄せられます。とはいえ、実際にこれらの技術が普及し、成果を上げるまでにはまだ時間が必要です。今後の動向にぜひ注目していきましょう。
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