Windows
 Computer >> コンピューター >  >> システム >> Windows

中国発アドウェア「Fireball」の手口が巧妙すぎる――世界2億5000万台が感染の危機

先月のWannaCry(ワナクライ)による大混乱が記憶に新しいところ、今度は中国発のブラウザハイジャック型マルウェア「Fireball(ファイアボール)」が世界中のシステムへ感染を広げています。すでに影響を受けたシステムは2億5000万台に上り、セキュリティ企業Check Pointはこれを「史上最大規模の感染作戦かもしれない」と警告しています。

Fireballはアドウェアに分類されるマルウェアで、その感染手法は典型的なものです。正規のソフトウェアに紛れ込んだバンドル形式で配布され、ユーザーが気づかないうちに密かにインストールされます。インストール後は、ユーザーを広告付きの特定のウェブページへ誘導し続けるのです。

被害状況:インド、ブラジル、メキシコで大規模感染

これまでに大きな被害が出ているのはインド、ブラジル、メキシコですが、米国でも550万件以上の感染活動が確認されています。企業ネットワークへの侵入も深刻で、Check Pointの調査データによると、英国と米国の企業ネットワークの9.3%に少なくとも1台のFireball感染マシンが存在します。ドイツでは9.75%、フランスでは18%に達しており、その蔓延ぶりがうかがえます。

ランサムウェアほど即座に危険をもたらすわけではありませんが、Fireballは長期的に見て感染システム全体のセキュリティを脅かす潜在能力を持っています。

Fireballとは何か?開発元は?

Check Pointの調査によると、Fireballを作り出したのは北京に拠点を置く大手デジタル広告マーケティング会社「Rafotech(ラフォテック)」です。このアドウェアは標的のブラウザを乗っ取り、既定の検索エンジンを偽物に置き換えます。偽の検索ページはGoogleやYahoo!のホームページそっくりに見せかけられており、ユーザーがそこで検索を行うと、入力した情報や閲覧履歴などのプライベートなデータがすべて収集され、収益化されてしまうのです。

Rafotechは「合法性の境界線」を巧みに歩むことで自らを守っています。アドウェアの配布はマルウェアの配布と異なり犯罪とは見なされないためです。多くの企業が無料のソフトウェアやサービスを提供し、データ収集や広告表示で利益を得ていますが、一度ユーザーがソフトウェアのインストールを許可してしまえば、提供者に悪意があると責めることは難しくなるのです。

感染PCでFireballは何ができるのか?

Fireballは正規のソフトウェアの陰に隠れてシステムに侵入します。技術的には、広告配信やインターネットトラフィックの誘導だけなら「脅威」とは呼べないため、厳密にはマルウェアとは言えない側面もあります。しかし、このアドウェアはトラフィック操作にとどまらず、はるかに悪質な振る舞いが可能です。

  • ウェブデータへの無制限アクセス:あらゆるウェブデータにアクセスでき、任意のコードを実行して個人情報を収集できます。
  • 人気フリーソフト経由での感染:Soso DesktopやFVP Imageviewerなど、多くの人気フリーウェアに同梱されてインストールされます。
  • 遠隔操作:さらなるマルウェアのダウンロードなど、リモートからコマンドを実行する能力も持っています。
  • データの売却:収集されたデータは、クレジットカード番号、事業計画、特許情報などを求める入札者に売却される可能性があります。
  • バックドアの設置:感染したすべてのコンピュータにバックドアを仕掛け、サイバー犯罪者が自由にアクセスできる状態を作り出します。

自分のPCが感染しているか確認する方法

まず、ブラウザの既定のホームページと検索エンジンを確認してください。不審な点があれば、ブラウザの拡張機能を調べ、既定の検索エンジンを変更できるかどうか試してみましょう。不審な拡張機能を削除したりホームページを変更しようとしても、何も変更できない場合は、アドウェアに感染している可能性が高いと言えます。専用のアドウェアスキャナーを使ってチェックするのも有効です。

Fireballマルウェアの除去方法

Windowsユーザーの場合

コントロールパネルの「プログラムと機能」の一覧を開き、不明な拡張機能、侵害されたアプリケーション、不審なアプリケーションをすべてアンインストールしてください。

macOSユーザーの場合

Finderで該当アプリケーションを見つけ、ゴミ箱に移動します。ファイルを削除した後、ゴミ箱を空にして完全に削除しましょう。

いずれの場合も、アンチマルウェアやアドウェアクリーナーによるスキャンとクリーンアップを併せて実施することをおすすめします。

各ブラウザの確認方法

  • Google Chrome:メニューアイコンをクリックし、「ツール」→「拡張機能」を選択して、不審なアドオンを削除します。
  • Internet Explorer:設定アイコンから「アドオンの管理」を選び、不審または悪意のあると思われるアドオンを削除します。
  • Mozilla Firefox:ツールタブから同様に、インストールした覚えのないアドオンを削除します。設定から悪意のあるプラグインを無効化することも可能です。
  • Safari:「環境設定」→「拡張機能」タブを開き、不審な拡張機能をアンインストールします。

この脅威はどれほど深刻なのか?

アドウェアは確かに厄介な存在ですが、Fireballの本当の恐ろしさは「何をする意図があるか」ではなく「何ができるか」にあります。開発者はこのアドウェアをボットネット化し、個人ID、プライベートデータ、金融情報へ自由にアクセスできるようにすることが可能なのです。

まとめ

幸いにも、Fireballの駆除はそれほど難しくありません。Windowsのコントロールパネルにある「プログラムと機能」からアドウェアをアンインストールするか、MacではFinderのアプリケーションフォルダから削除することで除去できます。

また、日頃からすべての拡張機能やアドオンをチェックする習慣をつけましょう。不審なアドオン、拡張機能、プラグインを見つけたら、すぐに削除することが重要です。大きな被害が発生するのを待つのではなく、今すぐ悪質・不審なアドオンを一掃し、既定のホームページを確認して迅速な診断を行いましょう。

  1. マルウェアとは?知っておくべき10の種類と感染を防ぐ7つの対策

    コンピュータは私たちの生活を大きく便利にしましたが、便利さの裏には常にリスクが潜んでいます。技術の発展とともに、サイバー脅威もより強力かつ蔓延するものとなっています。現在、マルウェアによる標的型攻撃は10億件を超え、その危険性はピークに達しています。パソコンの不調から金銭的な損失まで、マルウェアは意図的にさまざまな被害をもたらしているのです。予防策を講じることで安全性を高めることはできますが、100%の保証を得るのは難しいのが現状です。そこで本記事では、マルウェアについて知っておくべきあらゆる情報を徹底的に解説します。マルウェアとは?マルウェア(malware)は、「malicious(悪意の

  2. ファイルレスマルウェアとは?仕組み・攻撃手法・対策を徹底解説

    マルウェアにはさまざまな種類や脅威レベルが存在します。その中でも特に危険とされるのが「ファイルレスマルウェア(Fileless Malware)」です。 「ファイルレス」という名前から、ファイルが関与しないのにどうやって感染が広がるのかと不思議に思う方も多いでしょう。たとえば、何もファイルをダウンロードしていないのに、どうして自分のPCが乗っ取られてしまうのか――疑問に感じるのは当然です。 ここで、攻撃者の思考に少し踏み込んでみましょう。攻撃者がファイルレスマルウェアを使う理由は以下の通りです。 通常の状況ではアンチウイルスソフトに検知されにくいため(その理由は後述します) 検出対象となるフ