LinuxのLive USBでWindowsウイルスを駆除する方法【ClamAVスキャン手順付き】
ウイルス感染は、誰にでも起こり得るトラブルです。自分が被害に遭わなくても、親戚や友人のPCがマルウェアに感染し、「直せるのはあなただけ」という状況に直面することもあるでしょう。しかも厄介なことに、ウイルスの影響でWindows自体が正常に起動しなくなったり、起動できてもウイルスがシステムの深部に潜り込んでいて、駆除に必要なファイルやツールへアクセスできなくなったりします。
そんなときに頼りになるのがLinuxです。LinuxのLive CDやUSBメモリから起動すれば、Windowsとは独立した環境で動作するため、感染したプログラムを手動で、あるいはLinux用アンチウイルスソフトを使って安全に除去できます。この記事では、起動可能なLinux USBメモリの作成方法と、利用できるアンチウイルスソフトの比較、そして実際のスキャン手順まで解説します。
Linuxディストリビューションの選び方
USBから起動してウイルス駆除に使うLinuxディストリビューションを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 軽量で、USBメモリからの起動・動作が快適であること
- ローカルのハードディスクを自動認識できること
- 永続化(persistence)ファイルに対応しており、追加したプログラムや設定をUSBメモリ上に保存できること
かつてはCrunchBang Linuxがこれらの条件をすべて満たすおすすめの軽量ディストリビューションでしたが、現在は開発が終了しています。代わりに、同じく軽量なUbuntu系ディストリビューションである「Lubuntu」や「Xubuntu」などが良い選択肢となるでしょう。
また、どのディストリビューションを選ぶ場合でも、必ず32ビット版を選んでください。あなたのPCが64ビット対応でも、駆除を依頼される相手のPCがそうとは限りません。できるだけ多くの環境で起動できるよう、移植性を重視することが重要です。
LinuxをUSBメモリにインストールする
起動可能なLinux USBメモリの作成には、専用ツールを使うのが最も簡単です。Windowsから作成するなら「Rufus」や「UNetbootin」、Linux環境からなら「UNetbootin」やddコマンドなどが定番となっています。
特にこだわりがなければ、Windows向けの無料ツール「Rufus」がおすすめです。直感的な操作で起動可能なUSBメモリを作成でき、永続化領域の設定にも対応しているため、アンチウイルスソフトのインストールやウイルス定義の更新内容をUSBメモリに保存できます。使用のたびに再インストールや更新を行う手間が省けるのは大きなメリットです。
Linux用アンチウイルスソフトの比較
多くの商用・非営利のアンチウイルスベンダーがLinux版を提供しています。機能や導入の手間はさまざまですが、代表的なものを以下にまとめました。
| 名称 | ライセンス | ユーザー登録 | スキャン | 修復 |
|---|---|---|---|---|
| AVG | クローズドソース | 不要 | 可 | 不可 |
| Avast | クローズドソース | 必要 | 可 | 可 |
| Panda | クローズドソース | 必要 | 可 | 可 |
| ClamAV | オープンソース | 不要 | 可 | 可 |
本記事ではClam AntiVirus(ClamAV)を使用します。インストールが最もシンプルで、ユーザー登録も不要。さらに、感染ファイルの検出・除去性能も非常に優れています。ほぼすべてのLinuxディストリビューションで、公式サイトまたは各ディストリビューションのオンラインリポジトリから入手可能です。Ubuntuユーザーであれば、パッケージマネージャーから「clamav」を検索してインストールするだけでOKです。
スキャンの実行方法
まず、ClamAVをインストールしたら、最新のウイルス定義データベースへ更新しましょう。ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
sudo freshclam
ClamAVには「ClamTk」というGUIフロントエンドもありますが、ここではコマンドラインインターフェースを使用します。というのも、ClamTkでは細かいスキャンオプションを指定できないケースがあるためです。
スキャンを実行する前に、いくつか確認しておくべき点があります。まずはスキャン対象の場所です。Live LinuxシステムからWindowsのドライブをスキャンする場合、ファイルマネージャーの左ペインから対象ドライブをクリックし、アドレスバーに表示されるパスを確認してください。

次に、スキャンの挙動を制御するための主なオプションを紹介します。
-r # 再帰的にスキャン(ドライブ全体のスキャンに有効) --exclude=.mp3 # 除外パターンを設定(音楽や動画ファイルなどをスキップ) --scan-mail=yes/no # メールファイルをスキャン対象に含めるかどうか --remove=yes/no # 感染ファイルを削除するかどうか。取り扱いには注意
準備が整ったら、実際のコマンドは次のようになります。
clamscan -r --exclude=.avi --remove=yes /media/disk
スキャンが完了すると、検出された脅威や処理結果をまとめた詳細なレポートが表示されます。

これで駆除作業は完了です。あとは、また変なポップアップをクリックしない限り、しばらく安心して使い続けられるはずです。
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