Apple File System(APFS)とは?HFS+より優れている理由を解説
Appleの最新macOSに関するニュースを追いかけているなら、「Apple File System(APFS)」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。一見地味で注目されがちではないテーマですが、実はOSのユーザー体験を支える中核的な仕組みです。APFSは2017年の正式完成が予定されていましたが、Sierraの開発者向けプレビューですでにその一部を体験できます。
従来のファイルシステムとの違いと改善点
おさらいすると、ファイルシステムとは、OSがデータを保存・取得する際に使用する基本的な構造のことです。そのアプローチはファイルシステムごとに異なり、コンピューターの処理速度が向上するにつれ、新しいファイルシステムはその性能を活かして新機能を実装し、現代のストレージニーズへ対応できるよう進化してきました。
現在、新しいMacに搭載されているHFS+は、登場から18年が経過しています。さらにその祖先にあたるHFSは、映画『トップガン』よりも歴史が古いのです。例えるなら古いトヨタ車のような存在で、今でも問題なく動作します(意外にも快調ですが)、表彰台に立てるような代物ではありません。
APFSはHFS+の単なるアップグレードではなく、「現代水準」への大躍進と言えます。Appleユーザーにとって大きな前進である一方、他システムを追い越すというよりは、ようやくキャッチアップできたという感が強いのも事実です。それでも、このアップデートは一日も早く求められていたものだったのです。
クローン機能とデータ整合性
APFSは「コピーオンライト(Copy-on-Write)」と呼ばれる方式を採用し、ファイルの複製を瞬時にクローンとして作成します。HFS+ではファイルを複製する際、すべてのビットが物理的にコピーされていました。一方、APFSはメタデータを操作してディスク領域を割り当てることでクローンを生成します。実際のデータコピーは、クローン側のファイルが変更されるまで行われません。クローンがオリジナルから分岐した際には、その変更点だけが保存される仕組みです。
コピーオンライトは、データ整合性の向上にも寄与します。従来のシステムでは、上書き操作が保留中のままボリュームがアンマウントされると、ファイルシステムの一部が他の部分と不整合を起こす可能性がありました。コピーオンライトでは、既存ファイルを上書きするのではなく、空きディスク領域へ変更内容を書き込むことでこの問題を回避します。書き込み操作が正常に完了するまで旧ファイルが正規のバージョンとして扱われ、新ファイルの書き込みが成功して初めて旧ファイルは削除されます。
システムスナップショット
スナップショットも主要な新機能の一つで、これも部分的にコピーオンライトアーキテクチャによって実現されています。スナップショットとは、ある時点におけるファイルシステムの状態を読み取り専用でマウント可能なイメージとして保存したものです。ファイルシステムが変化しても、変更された部分だけが記録されるため、バックアップがよりシンプルかつ信頼性の高いものになります。Time Machineのハードリンク方式が抱えてきた課題を考えると、これは大幅な改善といえるでしょう。
I/Oサービス品質(QoS)
ルーターの設定画面などで「Quality of Service(QoS)」という言葉を見かけたことがある方も多いでしょう。QoSとは、帯域幅の使用に優先順位を付け、重要なタスクが遅延しないように制御する機能です。ルーターではユーザー定義のルールに基づいて、指定したタスクに最大の帯域を割り当てます。報道によれば、AppleのQoSはアクティブウィンドウなどユーザーが直接操作する処理を優先し、Time Machineバックアップのようなバックグラウンドタスクは優先度を下げられるそうです。つまり、あの虹色のビーチボール(処理待ちマーク)が表示される機会が減るかもしれません。
ネイティブ暗号化
スノーデン事件以降の世界において、暗号化への関心は高まる一方です。Appleも自社システムのセキュリティをますます強化しており、強力な組み込み暗号化の搭載は自然な流れといえます。APFSでは、現行の「ディスク全体を暗号化するか、まったくしないか」という二者択一の方式に代わり、より柔軟な暗号化スキームが導入されました。ユーザーは単一のキーで全データを暗号化することも、複数の暗号化キーを使用して個別のファイルやフォルダをそれぞれロックすることも可能です。もちろん、何も暗号化しないという大胆な選択をすることもできます。
SSD・フラッシュストレージの最適化
フラッシュストレージの最適化はAPFSの目玉機能として掲げられていますが、その実装内容は決して驚異的とは言えません。Appleは同社特有の高度なハードウェアとソフトウェアの統合を最大限に活かすのではなく、従来SSDのコントローラーチップが担当していた機能の一部をOS側へ移管しました。どちらかといえば、SSD向けに最適化されたというより、SSDを認識できるようになったファイルシステム、というのが実情です。
パーティションの動的サイズ変更
APFSドライブ上の論理パーティションは、動的にサイズを変更できます。ユーザーが必要なパーティション数を指定すれば、あとのディスク領域の割り当てはファイルシステムが自動的に調整します。各パーティションは実際にファイルを保存している分の容量しか占有せず、余ったディスク領域はどのパーティションからでも自由に利用可能です。確かに便利な機能ですが、実態としてはメタフォルダに近いものとも言えます。
まとめ
では、この変更は本当に重要なのでしょうか? 開発者やパワーユーザーにとっては間違いなく嬉しい進化です。一方、一般的なMacユーザーにとっては、体感的な違いはほとんどないはずです。素晴らしいアップデートではあるものの、まだ不足している要素もあります。ネイティブ圧縮機能が搭載されていない点は特に顕著で、ユーザーデータに対するチェックサムもありません。もちろん、正式リリースまでに状況は変わる可能性がありますので、今後の動向に注目していきましょう。
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