iPhoneの「テキスト爆弾」とは?クラッシュバグの事例別対処法を徹底解説
注意! 特定の記号を含むメッセージ、ツイート、メールを開いただけで、iPhoneやMacがクラッシュする恐れがあります。
iOSは堅牢なセキュリティで定評があり、Appleも侵入困難なオペレーティングシステムの構築に力を注いでいます。しかし、OSに潜むバグや脆弱性を突こうとするハッカーや悪質ないたずら者によって、Appleユーザーが被害を受けるケースは後を絶ちません。
残念ながら、こうした脆弱性が悪用されると、デバイスの誤作動を招き、最悪の場合はセキュリティリスクにさらされることもあります。
通常、Appleはこうしたバグへ迅速にパッチを適用するため、Appleデバイスが攻撃に無防備な状態になるのは数日程度です。だからこそ、iPhoneやMacを常に最新の状態に保つことが重要なのです。
2020年4月に話題になった「イタリア国旗/シンド語テキスト事件」では、あるテキストメッセージを受信するだけでiPhoneやiPadがクラッシュしました。
テキストメッセージのバグがiPhoneなどのデバイスをクラッシュさせる事例は今回が初めてではなく、過去にも同様のインシデントが複数発生しています。本記事では、それぞれの事例と対処法を詳しく解説します。
シンド語/イタリア国旗テキスト爆弾(2020年4月)
2020年4月、iPhoneやiPadをクラッシュさせる特殊な文字列が出回りました。この文字列は、インド・イラン語派に属するシンド語で書かれたもので、イタリア国旗の絵文字が添えられていました。ただし、問題の本体はシンド語の特定の文字の組み合わせにあるため、絵文字の種類は問いませんでした。
イタリア国旗テキスト爆弾の対処法
この問題はiOS 13.4.5で修正される見通しでした。当時このバージョンはベータ段階でしたが、まもなく正式リリースされる予定でした。被害に遭った場合は、以下の手順を試してください。
- 該当メッセージを受信した場合は、Siriを使って送信者宛てに新規メッセージを送信します。こうすれば、iPhone上で問題のテキストを直接表示せずに済みます。
- 新しいメッセージを送信すると、問題の文字列はプレビュー画面から消えます。
- 問題のテキストを完全に除去するには、メッセージスレッドごと削除する必要がある場合があります。
「死の黒点(Black Spot of Death)」(2018年)
2018年にも、iPhoneをクラッシュさせるテキストメッセージが出回りました。「死の黒点(Black Spot of Death)」と呼ばれるこのバグでは、受信すると黒い丸の絵文字が表示されます。
この黒い点の中身は、iPhoneをクラッシュさせる一連のHTML文字だったのです。なお、この悪意あるテキストは当初、Android向けWhatsAppで確認されました。
死の黒点の対処法
この問題はiOS 11のアップデートで修正済みです。当時は以下の方法で対処できました。
- ホームボタンを2度押してマルチタスク画面を開き、メッセージアプリを上方向にスワイプして強制終了します(iPhone X以降は画面下部を上に長押しスワイプ)。
- Siriに送信者への返信を依頼し、問題のメッセージが最新でなくなるようにしてから、メッセージアプリで該当スレッドを削除します。
- または、メッセージアプリのアイコンを3D Touch(強く長押し)し、「新規メッセージ」→「キャンセル」と操作してメッセージ一覧を表示させ、問題のメッセージを左スワイプで削除する方法もあります。
テルグ語テキスト爆弾(2018年2月)
2018年2月には、インドの言語「テルグ語」に使われるUnicode記号2種が、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、Apple TVをクラッシュさせることが判明しました。

前述のシンド語テキスト爆弾と同様、原因はAppleのOSが一部の英語以外の文字を適切に処理できないことにあります。
メッセージ、メール、Twitter、Slack、Instagram、Facebookなどを開いた際にこの文字が表示されると、ソフトウェアがクラッシュする可能性があります。最悪の場合、アプリが二度と開けなくなり、再インストールしか復旧手段がないこともありました。
テルグ語テキスト爆弾の対処法
この問題はiOS 11.2.6で修正されました。
ChaiOSテキスト爆弾(2018年1月)
2018年1月に拡散した悪意あるリンクはGitHubページへ誘導するもので、メッセージアプリからクリックするとiOSやmacOSをクラッシュさせる能力を持っていました。
メッセージアプリだけのクラッシュで済む場合もあれば、ロック画面に戻されてしまうことや、最悪の場合はデバイスのフリーズ・再起動に至ることもありました。
この問題を発見したTwitterユーザーのAbraham Masri(@cheesecakeufo)氏によると、リンクを開くことでデバイスがフリーズ、レスプリング(再読み込み)、動作遅延を起こし、場合によってはバッテリー関連の問題が発生するといいます。レスプリングとは、iOSのGUI基盤であるSpringBoardからデバイスが再起動する現象で、所要時間は約10秒、完了するとロック画面に戻ります。
また、9to5Macの報道によれば、MacのSafariでも問題が発生する可能性がありました。
このバグは「ChaiOSバグ」と呼ばれ、2015年に猛威を振るった類似の攻撃「Effective Power」の再来とも言われました。データへの不正アクセスにつながるものではないため深刻なセキュリティ被害ではありませんが、うっかりクリックすると大きな迷惑となります。
ChaiOSバグの対処法
リンク付きのiMessageを受信しても、絶対にリンクをクリックしないでください。
すでにクリックしてしまった場合は、メッセージを再び開くとデバイスが再びクラッシュする恐れがあるため、該当スレッドを完全に削除するのが最善策です(もし相手が友人だと思っていたなら、連絡先から削除しておくのもよいでしょう)。
レインボーテキストクラッシュバグ(2017年1月)
2017年1月に発生した「レインボーiPhoneテキストクラッシュバグ」は、iPhoneを使用不能にする(ただし恒久的ではない)バグでした。iOS 10系全般に影響を及ぼし、ユーザー側で予防する手立てはほとんどありませんでした。
従来のバグ(後述の動画クラッシュバグなど)のようにユーザーが何らかの操作をすることが前提だったのに対し、このバグはテキストを開かずともiPhoneをクラッシュさせられる点が特徴的でした。バグには2つのバージョンがあり、1つはiPhoneを一度だけクラッシュさせるもので、もう1つは繰り返しクラッシュを引き起こす悪質なものでした。悪意あるいたずらや端末の故障(ブリック化)を防ぐため、後者の詳細はここでは割愛します。
YouTubeチャンネルEverythingAppleProの調査によれば、無害なバージョンは白旗・数字の0・虹の絵文字という、わずかな要素だけで成立しました。クラッシュの仕組みはこうです。絵文字同士には、両者を合成して「虹色の旗」を作るよう指示する不可視のVS16制御文字が仕込まれています。しかしiOS 10はこの合成処理に対応できず、結果としてiPhoneがクラッシュしてしまうのです。
レインボーバグの対処法
通常は数秒後にiPhoneが再起動し、正常な状態へ戻りますが、メッセージアプリから該当テキストとスレッドを削除することをおすすめします。万が一、メッセージアプリを開くたびにフリーズする場合でも、以下の手順で簡単に復旧できます。この方法は、軽度のバグだけで、繰り返しクラッシュを引き起こすタイプのバグにも有効です。
- iPhoneでSafariを開き、「vincedes3.com/save.html」にアクセスします。
- ページを開くと「このページをメッセージで開きますか?」というダイアログが表示されるので、「開く」をタップします。
- メッセージアプリへ自動的に切り替わります。アプリが開けたら、悪意あるテキストスレッドとVincedesのメッセージを削除すれば、iPhoneは元通りになります。
iPhoneクラッシュ動画バグ(2016年11月)
2016年11月には、iOSユーザーに一時的な障害をもたらす動画バグが出回り、友人や家族、ネット上のうかつなユーザーへのいたずらに利用する者まで現れました。
このバグは、iOSデバイスのSafariで特定の.mp4動画を再生しようとしたすべてのユーザーに影響し、デバイスの動作が極端に遅くなり、やがて完全にフリーズしました。
クラッシュの原因として最有力視されたのは、動画ファイルがメモリリークを伴う破損状態にあり、iOSがその処理方法を判断できなかったことです。その他、ファイル末尾にサイズ未定義の余分な構造データが含まれているという説や、動画コーデック自体の問題だという説もありました。
このバグはiOS 5以降を搭載するあらゆるiPhoneに影響し、中でも当時最新だったiOS 10.2 beta 2のユーザーが最も深刻な被害を受けました。ベータ版ユーザーは、通常シャットダウン時に表示されるクルクル回るスピナー画面に固定されてしまうものの、端末自体は電源が切れないという症状に見舞われました。
iPhoneクラッシュ動画の対処法
動画の被害に遭ってiPhoneがクラッシュしても、心配はいりません。簡単な復旧方法があります。ホームボタンと電源ボタンを同時に長押しして強制再起動してください。なお、iPhone 7/7 Plusはホームボタンがソフトウェア制御のため手順が異なり、電源ボタンと音量(下)ボタンを同時に押し続けて再起動します。
Appleが脆弱性を修正するまでの間、このいたずらを避ける方法は限られますが、多くの報告によれば問題の動画は「vk.com」や「testtrial.site90.net」といったドメインから配信されていたといいます。つまり、これらのドメインを含むURLのリンクを安易にクリックしなければ、基本的には被害を回避できます。
幸い、このバグはiOSデバイスに恒久的なダメージを残さず、強制再起動すれば正常に戻ります。Appleは速やかにパッチを開発し、OTAアップデートとして配信しました。iOSを最新版へ更新すれば、たとえSafariで動画を再生しても問題は発生しなくなります。
Appleのセキュリティ対策については、関連記事「AppleがMacをマルウェアから守る仕組み」「iPhoneはウイルスに感染するのか?」もぜひご覧ください。
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