Windows 10のSモードとは?通常のWindowsへの切り替え方法を徹底解説
マイクロソフトは長年にわたり、Windowsにさまざまな独特な仕組みを導入してきました。そのひとつが「Sモード」で動作するWindowsです。
近年、Windows 10が「Sモード」で動作すると記載されたノートパソコンをよく見かけるようになりましたが、Sモードについての説明はほとんどありません。しかも、広告には「Sモードを解除すれば通常版のWindows 10として使える」という情報すら載っていないことが多いのが実情です。
Windows 10のSモードとは?
名前のとおり、Sモードは独立したOSではなく、Windows 10のひとつの「モード」です。
「S」が何の略なのかは公式には明かされていませんが、マーケティングの内容から推測すると、「Security(セキュリティ)」「Speed(速度)」「Smaller(軽量)」、あるいは「Schools(学校向け)」のいずれか、もしくはそのすべてかもしれません。Windowsの名称は昔から謎めいたものが多いのです。
Sモードのセキュリティ
Windows 10のSモードは、通常版のWindows 10よりも安全であると宣伝されています。インストールできるのは、Microsoft Storeでマイクロソフトの審査を通過したアプリのみです。利用できるアプリの数は制限されますが、日常的な用途が妨げられることはありません。
2019年9月末時点で、Microsoft Storeには66万9,000以上のアプリが登録されていました。Spotify、Slack、Netflix、Microsoft Officeスイートといった日常的に使うアプリはすべて揃っているので、必要なものは見つかるはずです。
さらに、SモードではWebブラウザとしてMicrosoft Edgeがデフォルトに設定され、変更できません。マイクロソフトは2017年のNSS LabsによるWebブラウザセキュリティレポートを挙げ、EdgeがChromeやFirefoxよりも安全だと主張しています。ただし、このレポートは3年前のものであり、現在でも当てはまるかは議論の余地があります。
また、PowerShellやコマンドプロンプト(CMD)での作業、Windowsレジストリの編集なども、セキュリティ強化のためSモードでは行えなくなっています。要するに、管理者レベルのツールはSモードから排除されており、外部からハッキングされにくい構造になっているのです。
Sモードの速度
マイクロソフトは、Sモードの方が高速だとも主張しています。少なくとも起動速度に関しては妥当な話でしょう。通常版Windows 10の膨大な処理を読み込む必要がないため、起動が速くなるのは理にかなっています。
Edgeがデフォルトブラウザである点については、「ChromeやFirefoxより閲覧が速い」という主張もありますが、Webブラウジングの体感速度には多くの要因が絡むため、断定的な評価は難しいところです。
Sモードとディスク容量
容量の観点で見ると、SモードのWindowsのインストールサイズは約5GBです。一方、通常版Windows 10のフルインストールは、エディションや選択した機能によって約20GB〜40GBになります。Sモードなら最低15GBのディスク容量を節約できる計算です。
後述のとおり、SモードはWindows 10の最小システム要件ぎりぎりの環境でも快適に動作しやすいというメリットもあります。
学校向けとしてのWindows 10 Sモード
教育市場は、OSの覇権を握るうえで非常に重要な分野です。若い頃に最初に触れたOSは、大人になってからも好まれる傾向があります。また、学校で業務スキルを教えるのに使われるOSは、企業でも採用されやすく、若手社員が早く戦力になれます。マイクロソフトが今日の地位を築けた大きな理由のひとつがここにあります。
Googleもそれを理解しており、小型・高速・低価格のChromebookを学校に大量に導入してきました。Sモードは、その対抗策としてマイクロソフトが打ち出した戦略なのです。
Windows 10 Sモードの速度、セキュリティ、そして軽量さは、学校市場のニーズにぴったり合っています。さらに、Sモードには教育向けのサポート機能も充実しています。たとえば「Set Up School PCs」アプリのような管理者ツールや、教師がマイクロソフト製品の活用法を学べる「Microsoft Educator Center」などが用意されています。
軽量なOSは消費電力も抑えられるため、バッテリー駆動時間の延長にもつながります。生徒が一日中、充電なしで使い続けられることが狙いです。
なぜSモード搭載のノートPCが増えているのか?
その理由は、SモードならローエンドのハードウェアでもノートPCを販売できるからだと考えられます。これは決して悪いことではありません。Windowsパソコンが必要でも、高機能なノートPCを買う余裕がない人にとって、購入のハードルが大きく下がります。Windows端末がChromebookに対抗できるようになるのです。
通常版Windows 10とSモードのWindowsは、インストールのための最小システム要件が同じです。
- 1GHz以上のプロセッサまたはSoC(System on a Chip)が必要。
- RAM 2GB以上、ストレージ32GB以上が必要。
- DirectX 9以降に対応したグラフィックカードと、800×600ピクセル以上の解像度のディスプレイが必要。
- Sモード特有の追加要件は、初期セットアップ時にインターネットに接続できることのみ。
この程度のスペックのノートPCでWindows 10 HomeやPro、Enterpriseを使おうものなら、すぐにストレスを感じることは目に見えています。ほぼ使い物にならないでしょう。だからこそ、私たちははるかに高いスペックの、そしてはるかに高い価格のパソコンを買うことになります。
一方、SモードのWindows 10なら、この最小スペックでも十分快適に動作する可能性が高いのです。最小スペック前後で作られた端末は、数百ドル、数千ドルもする高機能ノートPCに比べて、はるかに手頃な価格で入手できます。
Sモードから通常のWindowsへ切り替える方法
Sモードの正体がわかったところで、「完全なWindows体験が得られないのでは」と心配する必要はありません。通常版のWindowsを使いたくなったら、いつでもSモードを解除して通常モードに切り替えられます。追加料金も一切かかりません。ただし、切り替え前にデバイスのスペックが十分かどうかは確認しておきましょう。
最も重要な注意点は、一度通常のWindowsモードに切り替えると、簡単にはSモードに戻せないということです。購入時に復元メディアを作成していれば、そこからSモードの状態に復元することは可能です。
将来的にマイクロソフトが双方向で簡単に切り替えられる仕組みを提供するのではないかという噂もありますが、現時点で公式発表はありません。
- WindowsキーとXキーを同時に押します。開いたメニューから設定をクリックします。
- 設定ウィンドウで更新とセキュリティをクリックします。
- 更新ウィンドウの左側にあるライセンス認証をクリックします。
- Windows 10 Homeに切り替えるまたはWindows 10 Proに切り替えるという項目を探し、ストアに移動をクリックします。
- Microsoft Storeが開き、Sモードの解除ページが表示されます。取得ボタンをクリックしましょう。数秒後に完了の確認メッセージが表示されれば手続きは終了です。これでパソコンは完全なWindows 10 HomeまたはWindows 10 Proで動作するようになり、Microsoft Store以外のプログラムも自由にインストールできるようになります。
Sモードに戻すことはできるのか?
繰り返しになりますが、一度Sモードを解除したWindows 10を、再びSモードに戻すことはできません。せいぜい、Sモードだった頃の復元メディアが残っていれば、パソコンを完全にリセットして元の状態に戻せる程度です。
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