Windows 10
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知っておくべきWindows 10の全エディション徹底解説——HomeからPro for Workstationsまで

マイクロソフトはWindows 10を「最後のWindows」と位置づけましたが、その進化の道のりが簡単だとは誰も言っていませんでした。登場から2年余りで、Windows 10には実に10種類以上のエディションが存在するようになりました。どれも中核となる部分は同じですが、ユーザーのニーズに応じてそれぞれ異なる機能を提供しています。

絶えず追加される新機能と相まって、この多彩なラインナップは「今のWindows 10の最新情報」を追いかけることを難しくしています。本記事では各エディションを順番に解説し、マイクロソフトがなぜこれほど細分化された環境を作り上げたのかを紐解いていきます。

Windows 10 Home(ホーム)

まずはWindows 10の基本となるエディションから。家電量販店で新しいノートPCを買えば、ほぼ確実にWindows 10 Homeがプリインストールされているはずです。名前の通り、一般の家庭ユーザー向けにWindows 10の体験をフルに楽しめる機能が揃っています。

Cortana、Microsoft Storeアプリ、Xboxとの連携、タブレットやタッチ操作への対応など、Windows 10の定番機能はすべて含まれています。ただし、後述のWindows 10 Proにあるビジネス向け機能の一部は省かれています。

Windows 10 Pro(プロ)

Windows 10 ProはHomeの機能をベースに、パワーユーザーやビジネス用途向けの機能を追加したエディションです。最大の違いは、ドメインへの参加、BitLockerによる暗号化への対応、そして企業全体の設定を一括管理できるグループポリシーです。

企業で使われるWindows 10マシンの大半はProであり、IT担当者がこれらのツールを活用できるようになっています。もちろん、熱心なWindows愛好家にもメリットがあります。たとえばレジストリを直接編集するよりも、グループポリシーエディターを使ったほうが安全かつ簡単に設定を変更できるケースは多いのです。

単体購入では明らかに高価なエディションですが、Windows 10 HomeからProへのアップグレードは99ドルで可能です。ただし、ほとんどの家庭ユーザーにとってはそこまで必要ないでしょう。

Pro限定機能の一部は無料の代替手段で補えます。リモートデスクトップならTeamViewer、BitLockerならVeraCryptなどが代表例ですし、一般の家庭利用でドメイン参加が必要になることはまずありません。

Windows 10 S

比較的新しいエディションであるWindows 10 Sは、OSを軽量化したバージョンです。最大の特徴は、アプリをMicrosoft Storeからしかインストールできない点で、従来型のデスクトップソフトウェアは動作しません。標準ブラウザはEdgeに固定され、検索エンジンもBingから変更できません。

Windows 10 Sはデバイスにプリインストールされた形でのみ提供されており、その多くはローエンドで低価格なマシンです。教育市場を主なターゲットとしており、Chromebookの対抗馬という位置づけでした。

50ドルでWindows 10 Proへアップグレードできますが、一般の家庭ユーザーにはおすすめできません。安価なハードウェアと限られたアプリの組み合わせは、デバイスでできることに大きな制約をもたらします。
※なお、後にWindows 10 Sは独立したエディションではなく、ProやHomeに搭載される「Sモード」として再定位されています。

Windows 10 Enterprise(エンタープライズ)

Windows 10 Enterpriseは、大規模企業向けのエディションで、マイクロソフトのボリュームライセンスを通じてのみ販売されます。Windows 7のUltimateのように、家庭ユーザーが全機能を買える上位版は存在しません。

とはいえ問題ありません。Enterpriseの追加機能は企業環境でこそ真価を発揮するからです。代表的なのがDirectAccessで、VPNに似ながらより高いセキュリティを持つ接続経由で、リモートワーカーが社内ネットワークへアクセスできます。またAppLockerを使えば、管理者が特定アプリへのアクセスをブロックできます。さらに、頻繁な更新による業務妨害を避けるため、長期サポートブランチ(LTSB/LTSC)へ移行することも可能です。

このほか、IT担当者が多数のPCへWindowsを標準化された形で一括導入・移行しやすくする裏方的な機能も備えています。小規模事業にはProで十分ですが、数千人規模の従業員を抱える企業なら、Enterpriseによってコスト削減と環境管理を両立できます。

Windows 10 Education(エデュケーション)

Educationエディションには、Enterpriseが持つ企業向け機能がすべて含まれています。マイクロソフトによれば「事実上、教育向けの既定設定を備えたWindows 10 Enterpriseの派生版」です。過去にはCortanaを無効化していましたが、現在のビルドでは有効になっています。

また、ヒントや「提案」という名の広告表示も無効化される点が特徴です。

既定設定以外の大きな違いは価格で、Enterpriseより大幅に安く抑えられています。学校はコストを抑えながら、学生用PCでゲームや不適切なコンテンツをブロックできる強力なWindowsを導入できるわけです。

興味深いことに、EnterpriseへのアップグレードにはWindows 10 Proが必要ですが、Educationにはその制約がありません。Windows 10 HomeのPCからでもEducationへ移行できるため、学校の負担はさらに軽減されます。

Windows 10 Pro Education(プロ エデュケーション)

似た名前が続いて混乱してきましたか? Windows 10 Pro Educationは、まさに2つのエディション名を組み合わせたもので、状況をさらに複雑にしています。

Educationと同様、これはProに教育環境向けの既定設定を加えたバリエーションです。

Editionとの最大の違いは、K-12(初等中等教育)プログラムで割引価格の新デバイスにプリインストールされる点です。学校側はボリュームライセンス契約を結ばなくても、教育向けPCを購入できます。専任のIT部門を持たない小規模校でも、Enterprise級の機能が不要であれば、Pro Educationの機能だけで十分に端末管理を行えます。

両Education系エディションには「Set Up School PCs(学校の PC をセットアップする)」アプリが付属し、管理者をガイドしながら標準的なWindowsイメージを作成できます。不要なアプリ(bloatware)の削除、学校ドメインへの自動参加、授業時間中の再起動を避けるWindows Update調整などのオプションを選べます。この作業を一度行えば、パッケージをUSBメモリに入れて他のマシンへ素早く適用可能です。

Windows 10 Mobile(モバイル)

Windows Phoneがまだ存在していたのをご存じでしたか? 後継はWindows 10 Mobileと呼ばれ、スマートフォン向けWindowsの次世代版です。「あらゆるデバイスで1つの統合OSを実現する」というマイクロソフト構想の一環でした。デスクトップ版Windows 10と同じStoreアプリにアクセスでき、Continuum機能を使えばスマホを大画面のPCのように操作できました。

Windows Phone 8.1からの改善点は多いものの、AndroidとiOSの二強体制の中で、Windows 10 Mobileはモバイル市場でほぼ無力でした。拙いロールアウトと有力アプリの不足により、普及は大きく制限され続けました。
※Windows 10 Mobileのサポートは2020年1月に終了しており、現在は過去の存在となっています。

Windows 10 Mobile Enterprise(モバイル エンタープライズ)

MobileのEnterprise版は、一般向け版とほぼ同一です。予想通り、更新の延期・管理、テレメトリの制御、より強力な展開機能など、ビジネス向け機能が加わっています。

仕事で「幸運にも」Windows 10 Mobile端末を使っているなら、おそらくこのエディションが動作しているはずです。

Windows 10 IoT(Internet of Things)

過去のWindowsでは、軽量版としてWindows Embeddedが提供されていました。たとえばWindows XP Embeddedは、ATM、POSレジ、タイムレコーダーなどの小型機器を駆動する用途で爆発的に普及しました(残念ながら今も現役の機器があります)。

Embedded系エディションは必須コンポーネントのみを含むことでフットプリントを最小化しつつ、デバイスにWindowsのパワーをもたらします。そしてその後継こそが、Windows IoTです。

ご存じの通りIoTは日常のあらゆる物をインターネットに接続しましたが、このエディションは、ホビイストから企業ユーザーまでがそれを活用できるようにするものです。Windows 10 IoTは、リソースの乏しい人気の小型デバイスでも動作します。

マイクロソフトは2つの種類を用意しています。Windows 10 IoT Coreは誰でも無料でダウンロードでき、Raspberry Piのようなデバイスにインストール可能です。一方のEnterprise版はWindows 10 Enterprise相当の高性能版で、産業用ロボット、POSレジ、その他のIoT機器への導入に適しています。

Windows 10 Team(チーム)

Microsoft Surfaceファミリーには、Surface Hubというインタラクティブホワイトボードが存在します。他のスマートボード同様、ビジネス向けに設計され、拠点間のコラボレーションやビデオ会議に使われます。このデバイスこそが、Windows 10 Teamという特別版で動いているのです。

TeamはEnterpriseをベースにしていますが、巨大ボード専用に作られているためいくつか違いがあります。UIは大型タッチスクリーン向けに最適化され、誰でもログインなしで低権限のユーザーアカウントにサインインできます。セッション終了時には、OneDriveに保存しなかったローカルファイルが削除されます。Windows 10 Sと同様、従来型デスクトップアプリはインストールできません。

Teamは特定の1デバイス専用の特殊なエディションなので、一般ユーザーが遭遇することはまずないでしょう。

Windows 10 Pro for Workstations(ワークステーション)

上記のエディションだけでも十分多いのに、マイクロソフトはさらなる新バージョンを発表しました。それがPro for Workstationsで、高負荷なワークロードを扱うハイエンドPC向けに設計されています。

新機能には、「回復性のあるファイルシステム(ReFS)」、永続メモリ対応、高速なファイル共有、拡張されたハードウェアサポートなどが含まれます。

要するに、日々大量の計算処理を回し続ける作業をよりスムーズにするバックエンド改善の詰め合わせです。マイクロソフトによれば、データ破損の減少、ネットワーク経由の高速データ転送、最大6TBのRAM活用が実現するとのことです。

Pro for Workstationsは2017年秋のFall Creators Updateとともに登場しました。毎日休みなく計算処理を走らせるパワーマシンでもない限り、このエディションが活躍するのはビジネスの世界だけでしょう。

まとめ:全エディション早見表

かなりの情報量でしたね。迷子になった方のために、全バージョンの簡潔なまとめをどうぞ。

  • Windows 10 Home: 標準エディション。家庭ユーザーに必要な機能をすべて搭載。
  • Windows 10 Pro: Homeをベースに、パワーユーザー・中小企業向け機能を追加。
  • Windows 10 S: Storeアプリ限定の軽量版。Chromebookの対抗馬(現在はSモードへ移行)。
  • Windows 10 Enterprise: ボリュームライセンス専用。大規模企業展開のための高度な機能を搭載。
  • Windows 10 Education: Enterpriseの教育向け派生版。教育特化の既定設定と学校向けの低価格。
  • Windows 10 Pro Education: 割引購入できる学校向けPCにプリインストールされる、教育向けPro。
  • Windows 10 Mobile: マイクロソフトのモバイルOS。あまり普及せず(サポート終了済み)。
  • Windows 10 Mobile Enterprise: 企業が従業員のMobile端末を管理するための版。
  • Windows 10 IoT: Windows Embeddedの後継。Raspberry Piやロボット、POSシステムなど小型機器向けの軽量Windows。
  • Windows 10 Team: Surface Hubスマートホワイトボード専用の特殊版。
  • Windows 10 Pro for Workstations: 高負荷な計算処理を常時行う強力なPC向け。

バージョンが多すぎる?

以上が、市場に出ているWindows 10の主要バージョンのすべてです。しかし、実はこれでも世の中に流通する各種ビルドまでは網羅していません。

たとえばIntel Clover Trailプロセッサ搭載PCはCreators Updateへアップグレードできず、マイクロソフトはそうした特定デバイスに対し2023年までAnniversary Updateベースのサポートを続けると表明していました。Anniversary Update自体の一般サポートは2018年終了予定だったため、Windows 10の断片化はさらに一層深まることになりました。

今後、いくつの新エディションが登場するのかは誰にも分かりません。使われなくなったものは引退していくかもしれませんね。幸い、家庭ユーザーが把握すべきバージョンはごくわずかです。残りは企業に任せておきましょう。

あなたは今どのWindows 10バージョンを使っていますか? 初めて知ったエディションはありましたか? 一番興味深いと思うバージョンを、ぜひコメント欄で教えてください!

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