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Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

Raspberry Piの上でWindowsを動かしたいと思ったことはありませんか?

残念ながら、Raspberry Piに直接Windowsをインストールすることは現実的ではありません。しかし、諦める必要はありません。Windowsパソコンをサーバーとして設定し、仮想デスクトップセッションを作成すれば、Raspberry Piからそのデスクトップへアクセスできるのです。

この仕組みは「シンクライアント」と呼ばれ、Raspberry Piはその用途にぴったりです。本記事では、Raspberry Piをシンクライアント化して、リモートのWindowsデスクトップへアクセスする方法を詳しく解説します。

シンクライアントとは?

シンクライアントとは、仮想デスクトップをホストする中央サーバーへのリモートアクセスに特化した低スペックマシンのことです。古いPCを流用することもあれば、最小限のハードウェアだけを搭載した最新デバイスの場合もあります。

通常のデスクトップPCがOSの起動やソフトウェアの実行などすべての処理を担うのに対し、シンクライアントは重い処理をサーバーに任せます。正確には、すべての処理をサーバー側で行います。

実は、あなたも気づかないうちにシンクライアントを使ったことがあるかもしれません。Citrixサーバーに接続する業務用PCを扱った経験があれば、それはシンクライアント(またはシンクライアントとして動作する標準デスクトップ)だったわけです。地元の図書館や大学の端末でも、シンクライアント型PCが採用されていることがあります。

シンクライアントの大きな特徴は、リモートサーバー上の仮想デスクトップセッションが、ログオンごとに設定やファイルを保持してくれる点です。フリーアドレス制(ホットデスキング)の環境でも非常に便利な仕組みです。

このプロジェクトでは、Raspberry Piがその「低スペックマシン」の役割を担い、Windows PCをサーバーとして動作させる構成を紹介します。

必要なもの一覧

ここでは、Windows PCに定期的にアクセスしてアプリを利用できるRaspberry Piシンクライアントを作るために、「WTWare」というソフトウェアをインストールして使用する手順を解説します。

作業を始める前に、以下のものを揃えてください。

  • Raspberry Pi 2以降(Raspberry Pi 3B+を使用すると最も安定して動作します)
  • フォーマット済みの空のmicroSDカード
  • Windowsパソコン
  • Raspberry Pi用のモニター、キーボード、マウス
  • 信頼性のある電源アダプター
  • Windows 10 Pro(またはターミナルサービスに対応した以前のバージョン)、もしくはWindows Server 2016が動作するPC

さらに、winterminal.comからダウンロードできる「WTWare」が必要です。今回は評価版(完全版は40ドル)を使用するため、画面の端に「Evaluation Copy」の表示が出ます。

WTWareとはどんなソフト?

WTWareは、Raspberry Pi向けのシンクライアント専用OSです。インストールすると、Windowsターミナルサーバーの快適な体験が得られ、永続的なセッション上でデスクトップアプリを動かせます。

ネットワークブートに最適化されており、Raspberry Piではローカルメディアからの起動にも対応しています。一般的なRDPサーバーとの互換性も備えており、プリンターやスマートカード認証器などのローカルハードウェアもサポートします。

この構成(そしてあらゆるシンクライアント/サーバー環境)の鍵となるのは、ユーザーデータをWindowsサーバー側に保存することです。設定、プログラム、保存データはすべてサーバー上に置かれ、次回以降のセッションですぐにアクセスできます。

また、WTWareはRaspberry PiのPXE(Preboot Execution Environment)サポートを活かし、microSDカードからの起動とネットワーク経由での起動のどちらにも設定可能です。

WTWareのインストール手順

WTWareのインストーラーをダウンロードしたら、ダブルクリックしてWindowsにインストールします。インストールが完了したら、Raspberry Pi用のmicroSDカードをWindows PCに挿入してください。カードは事前にSD Association公式の「SD Card Formatter」でフォーマットしておきましょう。

フォーマット手順は以下の通りです。SD Card Formatterをダウンロードして起動し、Select card欄でmicroSDカードを選択(自動検出されます)し、Quick formatが選択されていることを確認します。

さらにCHS format size adjustmentにチェックを入れ、Formatをクリックして処理が完了するまで待ちます。

Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

次に、スタートメニューから「WTWare Configurator」を起動し、SD boot card for Raspberry Piのメニューオプションを選択します。SDカードの正しいドライブレターが選択されていることを確認してNextをクリックしましょう。

Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

続く画面では、Raspberry Piをどんなタイプのシンクライアントにするかを選択します。選択肢は2つあります。

Local boot: シンクライアントOSのファイルをSDカードから起動します。

Network boot: Raspberry Pi 2および3向けに、SDカードをネットワークブート用に設定します。加えて、Raspberry Pi 3を1度だけSDカードから起動させ、以降はSDカードなしで起動できるように設定するオプションもあります。

Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

この段階では、最もシンプルなLocal bootを選ぶのがおすすめです。セットアップに慣れたら、Network bootにステップアップするとよいでしょう。

シンクライアントのネットワーク設定

NextをクリックしてNetworkタブへ進み、DHCPサーバーによるIP自動取得と、Raspberry Piへの固定IP指定のどちらかを選びます。Wi-Fiを使う予定がある場合は、Work over WiFiにチェックを入れてください。

再度Nextをクリックしたら、希望する構成を選択します。初回はデフォルト設定のままで問題ありません。Nextをもう一度押し、Save parameters into config.txt fileにチェックを入れましょう。これにより、後からシンクライアントの設定を編集できるようになります。この画面では、好みのディスプレイ解像度も設定しておきましょう。

最後にもう一度Nextをクリックすると、Password to enter terminal setup menu(ターミナル設定メニュー用のパスワード)を設定できます。完了したらWriteをクリックしてインストールを開始します。

Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

警告画面が表示されたらYesをクリックし、データがSDカードに書き込まれるのを待ちます。

Raspberry Piシンクライアントの初期設定

イメージがmicroSDカードに書き込まれたら、カードを取り出して電源オフ状態のRaspberry Piに挿入します。電源を入れると、Raspberry Piはターミナル管理画面で起動します。

この画面でNetwork mediaオプションを使い、Wi-Fi無線とEthernetのどちらかを選択し、認証情報を適切に入力します。ネットワークのSSIDとパスフレーズが必要です。

Configuration filesが正しく受信できていることが確認できたら、Connect for configuratingオプションに進みます。ここでも無線ネットワークを設定し直し、構成ファイルが正しく紐づいているか確認してください。うまくいかない場合はConfiguratorに戻り、ターミナル管理画面に表示されたMACアドレスで該当端末を選択し、Create empty individual configuration fileをクリックします。

Raspberry PiをWindowsシンクライアントとして活用する方法【WTWare導入ガイド】

ここまで完了すれば、あとはRDP仮想デスクトップセッションにログインするだけで、Raspberry Pi上でWindowsやインストール済みのアプリを使い始められます。

なお、既存の任意のWindowsアカウントでサインイン可能ですが、現在Windowsにサインイン中の同じアカウントを使用すると、そちらは強制的にログアウトされる点に注意してください。新しいアカウントが必要な場合は、Windows側で作成しておきましょう。

Raspberry PiでWindowsを使うベストな方法

Raspberry Pi向けのOSは数多く存在しますが、Windowsはその中に含まれていません。VNCやRDPで接続する方法を除けば、Raspberry Piで最新のWindows機能を実現するには、今回のようなシンクライアント構成が最良の選択と言えるでしょう。

シンクライアント化まではしなくても、Raspberry Piでもっと生産性を高めたい方は、実際にRaspberry PiをメインPCとして1週間使ってみた体験記も参考にしてみてください。思った以上に実用的かもしれません。


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