Outlookがユーザー名とパスワードを繰り返し要求する問題の原因と8つの解決方法
Outlookを起動すると、正しいパスワードを入力しているにもかかわらず、何度も資格情報(ユーザー名とパスワード)の入力を求められる――これは管理者にとって非常に厄介な、よくあるトラブルです。
典型的な症状は次のとおりです。Outlookの起動直後はオンプレミスのExchangeサーバーやOffice 365メールボックスに正常に接続でき、フォルダ一覧や受信トレイの新着メールも表示されます。しかし数分作業を続けると、突然ユーザー名とパスワードの入力ウィンドウが表示されます。パスワードを入力して「OK」を押しても、同じウィンドウが再度現れます。「キャンセル」をクリックすればそのまま作業を続けることはできますが、しばらくするとまたパスワード入力画面がポップアップします。最悪の場合、連続したログイン失敗によってユーザーアカウントがロックされてしまうこともあります。
この問題はOutlook 2019 / 2016 / 365、Windows 7 / 8.1 / Windows 10など、さまざまなバージョンで発生することが確認されています。

多くの管理者はまずメールプロファイルの再作成やOfficeの再インストールを試みますが、残念ながらこれらの対策では効果がないことがほとんどです。Outlookは一定の間隔で依然としてパスワード入力を求めてきます。
この記事では、Outlookの煩わしいパスワード要求ウィンドウを解消するための複数の対処法を紹介します。
まず大前提として、ユーザーが正しいパスワードを入力しているか(パスワードを忘れていないか)を確認してください。また、WebブラウザからOWA(Outlook on the web)にアクセスしてメールボックスにログインできるかも試してみましょう。ドメインのパスワードポリシーによりパスワードの有効期限が切れていて、変更が必要になっているケースもあります。
1. 保存された資格情報を削除する
Windowsの資格情報マネージャーにOutlook関連の保存済みパスワードが残っていないか確認し、あればすべて削除してみてください。
手順:「コントロールパネル」→「すべてのコントロールパネル項目」→「ユーザーアカウント」→「資格情報マネージャー」を開き、「Windows資格情報」を選択します。「汎用の資格情報」の一覧からOutlookやOfficeに関連する保存されたパスワードを見つけて削除します。

資格情報マネージャーには、以下のコマンドで直接アクセスすることもできます。
rundll32.exe keymgr.dll,KRShowKeyMgr

2. 「常に資格情報を入力する」オプションを無効化する
Outlookのアカウント設定を開きます(「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」)。Exchangeアカウントをダブルクリックし、「詳細設定」→「セキュリティ」タブへ移動します。「ユーザー識別」セクションにある「常に資格情報を入力する」のチェックボックスをオフにしてください。
Office 365のメールボックスを接続している場合、このタブには追加で「ログオンネットワークセキュリティ」という項目が表示されます。「匿名認証」が選択されていないことを確認しましょう。

3. Outlook AnywhereとNTLM認証の確認
Outlook Anywhere(MAPI over HTTP)を使ってExchangeメールボックスにアクセスするよう構成している場合は、NTLM認証が使用されていることを確認してください。同時に、Exchangeサーバー側のIISサイトで使用されている認証方式もチェックが必要です。
逆に、問題が発生しているPCがActive Directoryドメインに参加していない場合は、NTLM認証ではなく基本認証(Basic認証)への切り替えを試みてください。
4. Office 365 Autodiscoverのチェックを無効化する
2016年秋頃にリリースされたOutlook 2016の更新プログラム以降、Office 365クラウド接続エンドポイントへの強制的なチェックが有効になりました。FiddlerやTCPViewなどのツールを使うと、autodiscover-s.outlook.comやoutlook.office365.comへの接続試行を追跡して確認できます。
このチェックを無効にするには、次のレジストリキーを開きます。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\AutoDiscover
ここにExcludeExplicitO365Endpointという名前のDWORD値を作成し、値を1に設定してからOutlookを再起動してください。
このExcludeExplicitO365Endpointパラメータは、Outlook 2016 バージョン16.0.6741.2017以降で有効です(Outlook起動時のAutodiscover処理の種類を決定するパラメータ群に対する追加設定となります)。
コマンドプロンプトから以下のようにレジストリを変更できます。
reg add HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\x.0\Outlook\AutoDiscover /t REG_DWORD /v ExcludeExplicitO365Endpoint /d 1
PowerShellのSet-ItemPropertyコマンドレットを使う場合は次のとおりです。
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\AutoDiscover" -Name 'ExcludeExplicitO365Endpoint' -Value 1 -Type DWORD –Force
5. Office 365の認証方式を変更する(先進認証の強制)
オンプレミスExchangeからOffice 365へメールボックスを移行した場合や、Outlookに2つのメールボックス(オンプレミスExchange用とOffice 365用)をRPC接続で接続している場合は、Outlookが先進認証(Modern Authentication)を使用していません。先進認証はMFA(多要素認証)でも利用される仕組みです。この状態では、トークンの代わりに資格情報が直接Office 365へ送信されてしまいます。
RPC接続でも先進認証を強制するには、レジストリキーHKCU\Software\Microsoft\ExchangeにDWORD値AlwaysUseMSOAuthForAutoDiscoverを追加し、値を1に設定します。
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Exchange" -Name 'AlwaysUseMSOAuthForAutoDiscover' -Value 1 -Type DWORD -Force
これらのレジストリ設定は、GPO(グループポリシー)を使ってドメイン内のコンピューターに一括展開することも可能です。
また、Office 365管理センター(「設定」→「サービスとアドイン」)で、対象アカウントに対して先進認証が有効になっていることも確認してください。

逆に、Outlook 2016/2019/365で先進認証を完全に無効化したい場合(管理センター側でも該当の認証方式を無効化しておく必要があります)は、以下のレジストリ設定を行います。
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\SOFTWARE\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity" -Name EnableAdal -Value 0 -Type DWORD –Force
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\SOFTWARE\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity" -Name DisableADALatopWAMOverride -Value 1 -Type DWORD –Force
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\SOFTWARE\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity" -Name DisableAADWAM -Value 1 -Type DWORD –Force
これらの方法により、Office 365メールボックス接続時のOutlook 2016/2019で資格情報が繰り返し要求される問題を解消できるはずです。
6. Outlookプロファイルを再作成する
上記のすべての方法を試しても問題が解決しない場合は、Outlookプロファイルを削除して新規に作成し直してみましょう。新しいプロファイルは、コントロールパネルの「メール」アイコンから、またはoutlook.exe /manageprofilesコマンドで作成できます。

コントロールパネルに「メール」アイコンが表示されない場合は、別途復元方法がありますので、そちらを参照してください。
7. ウイルス対策ソフトとファイアウォールを一時的に無効化する
Exchangeとの接続問題の原因が、ウイルス対策ソフトやファイアウォールである可能性もあります。これらを一時的に無効化し、Outlookが引き続きパスワードを要求してくるかどうかを確認してみてください。
8. Exchangeサーバーへのネットワーク接続品質を確認する
Exchangeサーバーやドメインコントローラーへのネットワーク接続が不安定・低速であることも、Outlookで断続的にパスワード入力を求められる原因になります。iperfなどのツールを使ってネットワーク性能をテストしてみましょう。
さらに、コンピューターのシステム時刻も確認してください。ドメインコントローラーの時刻との差は5分以内である必要があります。それ以上ずれている場合は、ドメイン内のNTP時刻同期の構成を見直しましょう。
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