Androidスマートフォンで匿名でWebを閲覧する方法 ― OrbotとTorの使い方
スマートフォンでウェブサイトにアクセスすると、その記録は携帯キャリア、ネットワーク事業者、そして政府に知られてしまいます。中国のようにインターネット検閲を行っている国では、特定のサイトにそもそも接続できないこともあります。PC向けの「Tor」を使えば匿名での閲覧や検閲回避が可能ですが、Androidでは「Orbot」というアプリを利用することで、スマートフォンからでも同じことが実現できます。
モバイルデータ通信でもWi-Fiでも、Orbotの動作は変わりません。PC用のTor Browser Bundleと同様に、Torネットワークに接続し、匿名でウェブを閲覧できる環境を整えてくれます。
本当にどれほど匿名なのか?
Torの仕組みについて詳しく知りたい方は、「Tor入門」や「オニオンルーティングの仕組み」に関する解説記事もあわせてご覧ください。
簡単にまとめると、Torは「オニオンルーティング」と呼ばれる技術によってあなたの居場所を隠します。ウェブサイトにアクセスする際、直接接続するのではなく、暗号化されたデータパケットを中継ノードに渡します。そのノードがデータを次のノードへ転送し、これを繰り返して最終的に「出口ノード」へ到達します。出口ノードがデータを復号して宛先へ送信するため、ウェブサイト側から見ると、アクセス元は出口ノードの所在地になります。サイトからの応答も出口ノード経由で各ノードを通って戻ってきます。データは毎回同じ経路をたどるのではなく、異なるノードを経由します。
実際のところ、Torで匿名閲覧している場合、接続先のサービスがあなたの実際の所在地を特定することは非常に困難です。また、インターネット接続を監視する者にとって、あなたが何をしているのかを見ることはほぼ不可能です。監視者に見えるのは暗号化されたデータだけで、「Torを使っていること」までは推測できても、Torで何をしているのかまでは分かりません。

なぜ匿名閲覧が必要なのか?
イランのような国で活動する反体制派にとって、これは政府に批判的な情報を投稿しても追跡されないことを意味します。また、検閲を回避してウェブサイトへアクセスできるため、インターネット検閲が行われている中国などでは特に有用です。アメリカをはじめ世界のどこにいても、PRISMのような監視プログラムによって自分の閲覧履歴が大規模なデータベースに保存・紐付けされるのを防げます。
以前はこうした機能はPCでTorを使う人だけのものでした。しかし現在ではAndroidからもTorに接続できるため、外出先でも匿名性を保てます。キャリアやネットワーク事業者、政府による盗み見を防ぐだけでなく、モバイルでTorを使うメリットは他にもあります。例えば、AndroidでTwitterをTor経由で利用できます。一部の権威主義的な政府は、民主化運動の情報拡散を防ぐためにTwitterへのアクセスを遮断してきましたが、AndroidのTwitterアプリをTor経由に設定すれば、政府がアクセスをブロックしていてもTwitterを使い続けることが可能です。

OrbotでTorに接続する
この仕組みの中核となるのがOrbotです。このAndroidアプリはTorネットワークに接続し、ローカルプロキシを作成することで、スマートフォン上の他のアプリもTor経由で通信できるようにします。
Orbotのセットアップは簡単です。アプリをインストールして起動し、セットアップウィザードに従って進めるだけです。
スマートフォンのroot権限を持っている場合、Orbotはトランスペアレントプロキシとして動作できます。つまり、すべてのネットワークトラフィックを自動的にTor経由に強制できるのです。ただしこの方法では、一部のアプリが実際のIPアドレスを漏洩する可能性がある点に注意が必要です。本格的に匿名で閲覧したいなら、IPアドレスを隠すよう設計されたブラウザを使うべきです。root権限がなくても問題ありません。Orwebなど他のアプリと組み合わせてOrbotを活用できます。

Orbotのアイコンを長押しすると、Torネットワークへの接続が始まります。接続が完了すると、アイコンが緑色に光ります。

Orwebで匿名ブラウジング
編集注: 本記事は2013年7月に公開されましたが、その後、Orwebには実際のIPアドレスが漏洩する脆弱性があることが判明し、プライバシー保護の観点から必ずしも理想とは言えないことがTor公式ブログで確認されています。現在では「Tor Browser」がAndroid向けに公式提供されているため、新たに匿名閲覧を始める場合はこちらの利用を推奨します。
Orbotがインストールされ起動していれば、Orwebブラウザで匿名閲覧が可能です。OrwebはOrbotやTorとの連携を考慮して設計されています。例えば、Orwebは閲覧履歴や訪問したサイトに関する情報を一切保存しません。また、デスクトップ版のTor Browser Bundleと同様に、デフォルトでJavaScriptとFlashを無効化します。JavaScriptやFlashは、理論上、ウェブサイトがスマートフォンの実際のIPアドレスを特定するために悪用される可能性があります。
Orbot画面上部の地球儀アイコンをタップすれば、Orwebを起動できます。正常に動作していれば、Orwebが開き「Torに接続済み」というメッセージが表示されます。これでOrwebブラウザを使って匿名でウェブを閲覧できます。

Orbot対応のその他のアプリ
Orbotは他のアプリのプロキシとしても利用できます。プロキシに対応しているアプリなら、理論上、そのトラフィックをOrbotのTorプロキシ経由で送信できます。さらにOrbotには、Orbotと連携して動作するよう設定できるアプリの一覧が含まれています。例えば、安全にチャットするためのGibberbot(現在は提供終了)、Tor経由で検索できるDuckDuckGoアプリ、Firefox for AndroidとProxy Mobileアドオンの組み合わせ、あるいはTwitterのプロキシ設定を「localhost」ポート8118に変更するといった使い方が挙げられます。
root権限があってトランスペアレントプロキシを設定していれば、他のアプリも理論上はOrbot経由で動作するはずですが、Torとの互換性が確認済みのアプリを使うのが最も安全です。

なお、Torはルーティング処理のオーバーヘッドがあるため、通常の接続に比べて閲覧速度はかなり遅くなります。しかし、匿名での閲覧や検閲回避が必要な状況であれば、速度の低下は十分に払える代償と言えるでしょう。
AndroidでTorを活用するコツが他にあれば、ぜひコメント欄でお聞かせください!
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