アンチウイルスソフトがあなたを追跡している?知っておくべきプライバシーリスクと対策
アンチウイルスソフトは、マルウェアからユーザーを守ることを第一の目的としているため、最も信頼されているソフトウェアの一つです。しかし、プライバシーの観点から見ると、セキュリティソフトが思っている以上に多くのデータを送信している可能性があります。
本記事では、アンチウイルスのプライバシーに関する現状と、各社がユーザーのデータをどのように扱っているのかを詳しく解説します。
アンチウイルスがプライバシーを侵害する3つのケース
以下の情報は、プライバシー保護を支援する組織「Restore Privacy」が公開したレポート「Is Your Antivirus Software Spying on You?(あなたのアンチウイルスはスパイ行為をしているのか?)」に基づいています。このレポートでは、アンチウイルスがユーザーを追跡する仕組みについて整理されています。
1. 過去にユーザーデータを販売した事例がある
2020年に起きた最大級のプライバシー騒動の一つが、Avastによる第三者へのクリック情報の販売です。Avastの追跡データは匿名化されていましたが、データを購入した企業は、クリックログと自社サイトのアクセスログを照合することで、ログ上のユーザーが誰なのかを特定できてしまいました。
こうしたスキャンダルは、無料版を提供しているアンチウイルスで発生しがちです。多くの場合、これらの企業はユーザー情報を第三者に販売することで収益を得ているのです。
2. HTTPS通信の中身を覗き見できる
アンチウイルスは、悪意のあるウェブサイトへのアクセスからユーザーを守るために、閲覧先の内容を確認する必要があります。しかし、HTTPSで暗号化されたサイトを訪問すると、コンピューター側でデータが暗号化されるため、アンチウイルスはその内容を見ることができません。
そこでアンチウイルスは、偽のSSL証明書を作成できるプロキシをコンピューター上に構築してこの問題を回避します。HTTPSサイトへ接続すると、プロキシが通信を受け取り、URLをチェックしたうえで、新しい証明書を付けて宛先へ転送するのです。
この仕組みは証明書そのものから確認できます。HTTPSサイトの鍵アイコンをクリックし、証明書の「発行者」欄を確認してみてください。そこにアンチウイルスの名前が表示されていれば、セキュリティソフトが通信を監視していることになります。
3. 追跡機能を持つ追加プログラムが同梱されている
一部のアンチウイルスには、ブラウジングの安全性向上をうたった追加ツールが付属しています。しかしこれらは、望まない可能性があるプログラム(PUP)であり、プライバシー侵害の原因になりかねません。
前述のレポートでは、AVGに同梱される「SafePrice」というPUPが取り上げられています。SafePriceはネット上の商品を最安値で購入できるようにするのが目的とされていますが、その代償としてユーザーの消費習慣を追跡してしまうのです。
このように、アンチウイルスは複数の方法でユーザーを追跡できます。インストールされるPUPの種類や使い方によっては、複数の経路からデータを提供している可能性もあります。
なぜアンチウイルスはデータ収集をするのか?
現在、データは企業にとって非常に価値の高いものとなっています。広告なしでサービスを無料提供している場合、収入源は限られます。そのため、収集したデータを情報を求める第三者に販売せざるを得なくなるのです。
データ収集は今や日常的な出来事になっています。最も有名な例がFacebookで、個人情報を収集して大きな利益を得てきました。Facebookのデータを使って選挙結果を予測モデル化できるほどです。
無料ソフトウェアにおける有名な格言に「製品にお金を払っていないなら、あなた自身が製品だ」というものがあります。そのため、無料アンチウイルスが情報を収集しても驚かない人も多いでしょう。確かに、それ以外に従業員へ給料を払う方法がないのも事実です。
それでも、アンチウイルスによるデータ収集には不安を覚える人が少なくありません。優れたアンチウイルスはユーザーを守り、プライバシー侵害を防ぐべきものだからです。ところが今、アンチウイルスさえも信用できないことが判明しつつあります。特に、かつて強く推奨されていた無料ソリューションについては要注意です。
アンチウイルスにデータを渡さないための方法
残念ながら、アンチウイルスを一切使わないという選択は理想的ではありません。ウイルスやハッカーに対する防御層を持つことは常に重要です。では、アンチウイルスによる追跡を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
無料版よりも有料版を選ぶ
有料アンチウイルスを使うのは原点回帰のように感じられるかもしれません。長年、無料版が有料版より推奨されてきたのに、再びセキュリティにお金を払う時代に戻るのですから。しかし実際には、無料アンチウイルスは存続のためにデータ収集が必要になるほど成長してしまったのです。
だからこそ、データで支払うのではなく、お金で支払う方が賢明です。Windows 10向けのおすすめアンチウイルス特集記事も参考にしてみてください。
無料アンチウイルスを調査し、設定をカスタマイズする
一方で、有料アンチウイルスの価格を支払えない人もいます。その場合は、選ぶ際により慎重になる必要があります。
気に入った無料アンチウイルスがあれば、利用規約を読み、何が記録されるのかを確認しましょう。インストール画面で「次へ」を盲目的に押さず、データ収集を求める項目はすべてチェックを外してください。さらに、設定画面を開き、HTTPS URLチェックなどプライバシーを侵害しうるデフォルト設定を無効にしておくことも大切です。
ダウンロード・インストール時にPUPをチェックする
アンチウイルスをダウンロード・インストールする際は、PUPが一緒にインストールされないよう注意深く読みましょう。インストーラーをよく確認し、「次へ」ボタンを連打しないことが重要です。適当に素早く進めると、不要なソフトウェアのインストールに同意してしまう可能性があり、それがプライバシー侵害や行動追跡につながります。
プライバシー重視のアンチウイルス
アンチウイルスのプライバシー問題という地雷原を避けるのは骨の折れる作業です。インストーラーを精査したり全オプションを確認したりしなくても済む、データを守ってくれるアンチウイルスは存在するのでしょうか?数は少ないものの、実際に存在します。
まず挙げられるのがEmsisoftです。Emsisoftはライセンス情報、コンピューター名、検出したウイルスの詳細を送信しますが、それ以外のデータは一切送信しません。アンチウイルスに行動を監視されたくない人にとって、非常に優れた選択肢といえます。
また、レポートではClamAVも推奨されています。ClamAVは興味深い存在で、プログラム全体がオープンソースです。つまり、コードを自分で確認でき、追跡されていないことを確かめられるのです。
ClamAVは、無料でありながらプライバシーを尊重する珍しいアンチウイルスでもあります。アンチウイルスにお金をかけたくないけれど、データを差し出すことにも抵抗がある人にとって、良い選択肢となるでしょう。
インターネット上で情報を安全に守るために
アンチウイルスはデジタル世界の守護者として信頼しやすい存在です。確かに、コンピューターをウイルスから守り、攻撃を防ぐために常に更新されています。しかし、すべてが順風満帆というわけではありません。一部のアンチウイルスソフトは、ユーザーのデータを収集して販売しているのです。どのアンチウイルスを選び、どんなオプションを有効にするのか、慎重に判断しましょう。
インターネット上でのプライバシー保護をさらに強化したい方は、データを隠せる無料の匿名ブラウザを試してみるのもおすすめです。
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