知っておきたいSteam詐欺の全手口と安全対策ガイド
PCゲーマーにとってSteamは欠かせない存在です。新作から名作まで膨大なタイトルが揃い、信じられないほどのお得なセール、充実した機能、そして巨大なマルチプレイコミュニティまで、総合的なゲームプラットフォームとして他の追随を許しません。その一方で、セールのたびに財布が悲鳴を上げるのも日常茶飯事。ついつい「必要だった」と言い訳しながら買い物かごに放り込んでしまう経験は、多くのゲーマーに共通するものではないでしょうか。

しかし、そんなSteamには一つだけ注意すべき落とし穴があります。それは、ゲームやアイテム、現金を狙う詐欺師たちの存在です。本記事では、Steamで発生しがちな代表的な詐欺の手口と、それらから身を守るための具体的な方法を詳しく解説します。
フィッシング詐欺
Steam関連の被害として最も多いのがフィッシング詐欺です。攻撃の規模や巧妙さは詐欺師によってさまざまですが、Steamでは大量のゲームが日々売買されているうえ、CS:GO、Dota 2、Team Fortress 2といった世界的タイトルのゲーム内アイテムも数百万単位で取引されています。これらの価値あるアイテムこそが、詐欺師にとって格好の標的となっているのです。
狡猾な詐欺師たちは、TF2Backpack、csgolounge、dota2lounge、SteamGameSwap、GlobalOffensiveTradeなどの取引掲示板や、あまり有名ではないキー取引サイトなどを狙います。幸い、こうした手口は比較的見分けやすいものです。例えば、以下のようなメッセージが届いたら要注意です。
「こんにちは[ユーザー名]さん。友人があなたとトレードしたいのですが、『1日のフレンド追加上限に達しました』というエラーが出て追加できません。代わりにあなたから彼を追加してもらえませんか? 彼のユーザー名は staemcommunnity.com/id/… です」
注目してほしいのはユーザー名の中の太字部分です。「steamcommunity」の綴りがわずかに異なる――このような小さな違いこそ、フィッシング詐欺を見抜く最大のヒントになります。
念のため確認しておきましょう。Steamの公式ドメインは steamcommunity.com と steampowered.com のみです。さらに、すべての公式SteamページはEV SSL証明書(Extended Validation SSL)で保護されており、ブラウザのアドレスバーにはHTTPS接続とともに「Valve Corporation」の名称が表示されます。綴りが微妙におかしい、文法が不自然、ファイルのアップロードを求められた――こうした兆候があれば、それは間違いなく詐欺です。すぐにやり取りを中断してください。

忘れないでください。現実世界と同じく、「うますぎる話」は大抵うまい罠です。発売されたばかりのAAAタイトルを知らない人から無料でもらえると言われたら、その理由を疑ってください。インターネット上では、相手が誰なのか本当に確かめることはできないのですから。
ファイルのアップロードを求められる手口
最近のフィッシング詐欺では、Steamスタッフになりすまし、特定のファイルを探してアップロードするよう指示してくる手口が見られます。
ターゲットになるのはSSFN(Sentry File)というファイルです。これは通常、ログインのたびにSteam Guardによる認証を行わずに済むためのファイルですが、これを渡してしまえば、詐欺師はSteam Guardなどのセキュリティ制限を回避できてしまいます。この攻撃は、偽装または乗っ取られたプロフィールや偽のログイン画面と組み合わせて実行され、パスワードを盗み出されます。つまり、このファイルを渡すことは、城の鍵をそのまま差し出すようなものなのです。

ユーザーの警戒心が高まったことで、この手口はやや減少傾向にありますが、依然として知っておくべき脅威です。繰り返しますが、ValveやSteamがファイルのアップロードを求めてくることは絶対にありません。そう要求してくる相手がいたら、警報が鳴ったと思って即座に距離を取りましょう。
悪質ソフトウェアを使った詐欺
ソフトウェアを使った詐欺も、今なお詐欺師にとって非常に儲かる手法です。多くの場合、キーロガーなどを使ってパスワードを盗み出すことが目的です。人気YouTubeゲームチャンネルのコメント欄には、「無料でSteamギフトを複製できる裏技!!111」のような書き込みがあふれています。そこにあるリンクは、スパイウェア、マルウェア、キーロガー、ウイルスなど、あらゆる悪意のあるプログラムへの入り口です。
回避方法はシンプルです。「そんな都合のいい話は存在しない」と心得ること。Steamアイテムの複製技なんてありませんし、無料アイテムが待っていることもありません。こうした誘惑には近づかないこと。最悪の場合、失うのはSteamアカウントやゲームだけでは済まないかもしれません。
また、外部サイト経由だけでなく、Steam内で乗っ取られたアカウントを使った手口もあります。実績値が高く、VAC BANの履歴もなく、プレイ時間や所持ゲーム数も十分にある「普通のアカウント」から突然フレンド申請が届き、チャットでファイルを送ってくるケースです。送られてくるファイルは、ウイルス感染サイトへのリンクの隠れ蓑だったり、感染した .exe、.bat、.dll、.scr ファイルだったりします。
知らない人からいきなりフレンド申請が来て、早々にファイルを送ろうとしてきたら強く警戒してください。そもそも、誰であれファイルを受け取るときは慎重になるべきです。
なりすまし
コミュニティ対応を行うValveの従業員は、必ず「Valve Employee」バッジまたは「Volunteer Steam Community Moderator」バッジをプロフィールに表示しています。相手のプロフィールを開いてバッジを確認すれば真贋を見分けられます。バッジがなければ、その窓は閉じて問題ありません。

SteamやValveの従業員が、パスワードやその他のファイルを求めてくることは決してありません。情報を提供しないからといって脅してくることもあり得ません。[Valve]、[Steam]、[Verified]などのタグを名前に付けている人物を見かけたら、名前をクリックして実際のプロフィールを開き、正体を確認しましょう。
さらに厄介なことに、詐欺師はあなたのフレンドリストを調べ、友人になりすますこともあります。ユーザー名をわずかな綴りの違いでコピーするのです。信頼を得た後、「アイテムをちょっと貸してほしい」と持ちかけられ、トレードしたアイテムは二度と戻ってこない――という被害が起こります。
金銭絡みの詐欺
これは一般的な詐欺とほぼ同じ構造です。Steam越しに「レアなTF2ハットをトレードしない?」と持ちかけられ、Steamのトレード画面に移動します。ところが相手は「Steam外でPayPalで支払うから、先にアイテムを渡して」と提案してくるのです。

ここで警報が鳴らないなら、それは危機感の欠如です。即座に断りましょう。
どうしてもSteam外での取引が必要な場合は、仲介者(ミドルマン)を立てるのが有効です。ただし、ここにも罠が潜んでいます。
仲介者は双方が信頼する実績ある人物であるべきです。それぞれが取引対象を仲介者に預け、仲介者が両者へ渡す仕組みです。しかし中には、この仕組みを逆手に取る詐欺師もいます。「Steam公認の仲介者がいる」と特定の人物を提案してきて、承諾した瞬間、極めて似た名前の偽物がフレンド申請してくるのです。取引分を渡した直後に削除・ブロックされ、アイテムもゲームも現金も失うことになります。

相手から先に仲介者を提案された場合は特に警戒が必要です。詐欺防止コミュニティサイト SteamRep.com が認定仲介者のリストを公開しています(ただし同サイトとの公式な提携関係があるわけではありません)。また、SteamRepの検索機能を使えば、個人のアカウント状態、BAN履歴、フレンドリスト、フレンドリストBANの有無などを調べられます。トレードのたびに一度確認する習慣をつけましょう。
Redditロングコンス詐欺
厳密には古典的なロングコンス(長期詐欺)ではありませんが、この手口には相当な手間がかけられています。詐欺師が特定のゲーム専用のトレード用サブレディット(subreddit)を作成し、偽アカウントを作り込み、コメント欄を更新し続け、カスタムCSSまで使って本物らしく見せかけるのです。
そうして作られたサブレディットの中には、詐欺師のフィッシングサイトへのリンクが埋め込まれています。冒頭のフィッシング詐欺で紹介した「わずかに綴りが違うドメイン」が大量に張り巡らされており、うっかり騙される可能性はかなり高いでしょう。
チャージバック詐欺
PayPalを利用した、こちらもよく見られる手口です。典型的な流れは以下のとおりです。
- 詐欺師がSteamでトレード相手にコンタクトを取る。
- 会話の中でアイテムを要求し、支払いはPayPalで行うと主張する。
- 詐欺師は実際にPayPalで支払う。トレード相手は入金を確認し、アイテムを渡す。
- 詐欺師はPayPalのチャージバック機能を使い、「商品が届いていない」と主張して金銭を取り戻す。
- 詐欺師は相手を削除・ブロック。トレード相手はアイテムも金も失う。
技術的知識がほとんど不要で実行しやすいため、比較的多発している手口です。取引相手からのPayPal提示には常に注意を払いましょう。
まとめ
デジタルの武器を手に、Steamで接触してくる全員を撃退……する必要はありません。
大切なのは、適度な警戒心です。知らない人から声をかけられたら、少し疑ってかかる。とはいえ、全員が詐欺師というわけではなく、真面目にトレードを楽しんでいる人も大勢います。現実世界と同じく、完全に確信が持てるまでは何もサインせず、何も渡さず、何も支払わないこと。これが鉄則です。
あなたはSteamで詐欺に遭ったことはありますか? アイテムは取り戻せましたか? 通報しましたか? Valveの対応はどうでしたか? ぜひコメント欄でお聞かせください!
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