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MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

マスターカード、南アフリカで指紋認証デビットカードを発表

4月20日、MasterCard(マスターカード)は南アフリカにおいて、指紋認証機能を搭載した新型デビットカードの提供を開始すると発表しました。同社はこの国を実証実験の場と位置づけ、技術を磨きながら調整を重ね、将来的に他国へ展開していく計画です。

決済がこれまで以上に素早くなると、概ね好意的な反応が寄せられています。しかし一つの疑問が浮かびます。果たして指紋認証は、従来の暗証番号(PIN)よりも本当に安全なのでしょうか。「便利で先進的な認証方式=より強固なセキュリティ」とは限らないからです。

生体認証は強力なトレンド

MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

パスワードで機密情報へのアクセスを制御する仕組みは、古代の衛兵が通行人に合言葉を求めていた時代から存在します。デジタル時代においても、ユーザーアカウントを守る安価かつ手軽な手段として広く使われてきました。一方、指紋認証は大企業や政府機関が関心を持つ程度のものでした。

しかし、AppleとSamsungがスマートフォンへの指紋センサー搭載で競い合うようになり、状況は一変しました。以降、ハイエンド製品に生体認証を組み込むことがトレンドとなり、SamsungのGalaxy S8に至っては虹彩スキャナーまで搭載しています。

人々がこの認証方式を信頼するのは、それが「唯一無二」だからです。攻撃者があなたと同じ指紋や虹彩パターンを持っているとは考えにくく、自分の端末やアカウントが「生物学的に結びついている」という安心感があります。MasterCardがこの信頼性に着目し、カード本体に指紋センサーを搭載してPIN不要の安全な決済を実現しようとしたのは、理にかなった判断と言えるでしょう。

懸念すべき理由

MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

一方で、銀行口座という極めてプライベートな情報を、PINではなく指紋と紐づけることへの疑問も呈されています。一見すると理にかなっています。4桁のPINの組み合わせは10,000通り(0000〜9999)しかありませんが、指紋には数十億通りのパターンがあり、推測はほぼ不可能です。

しかしこの論理には落とし穴があります。泥棒やハッカーは、盗んだカードの認証情報を総当たりで推測することはほとんどありません。手間がかかるうえ、一定回数失敗するとカードがロックされてしまうからです。彼らは「認証情報そのものを盗む」ことで推測の手間を省きます。ATMに偽のキーパッドを取り付ける、被害者の背後から入力を覗き見るなど、PINを入手する手口はいくらでも存在するのです。

では、指紋は盗めないのでしょうか? 答えはノーです。

MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

実際、指紋を盗むことは驚くほど簡単です。有名なハッカーのヤン・キスラー氏は、ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相の高解像度写真から指紋データを抽出し、生体認証でロックされたデータにアクセスできるレベルで再現してみせました。

MasterCardの指紋認証デビットカード――本当に安全なのか?知っておくべき懸念点

さらに、指内部の静脈パターンを照合することで耐性を高める試みも、スイスの研究者たちが特殊な撮影技術による回避手法を発見したことで無効化されました。そして忘れてならないのが、2015年7月の米人事管理局(OPM)の情報漏洩事件です。ハッカーは2,150万人分の社会保障番号とともに、560万人分の指紋データも盗み出しました。

なぜこれが重要なのか

大規模なデータベースが侵害されパスワードが流出した場合、被害は深刻ですが、速やかにパスワードを変更すれば被害の拡大を防げます。では、指紋が盗まれたらどうなるでしょうか?

ここが問題の核心です。指紋は「取り消し不能なデータ」です。生まれつき持っているもので、生涯変わりません。虹彩など他の生体情報も同様です。せいぜい別の指に使い替えるくらいしか対策はなく、指は10本しかありません。著名人である場合や、高解像度写真がネット上に公開されている場合は、この現実から逃れることはできません。

結局のところ、生体認証が最も効果を発揮するのは、公的な生活を送っていない人々(例:政府要員)が、高度に管理されたセキュリティ環境の中で使用する場合です。コンシューマー向け技術としては、利便性と引き換えにセキュリティを犠牲にしている可能性があります。皮肉なことに、公的な存在になるほど指紋の安全性は低下していきます。

現状のまま生体認証だけを過信することは、数年後にハッカーたちが大規模な指紋・虹彩データベースを狙い始めたときに爆発する「時限爆弾」になりかねません。

コンシューマー向け技術における生体認証を、より安全にする方法はあると思いますか? ぜひコメントで教えてください!

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