【C++】STLのlistにおけるpush_front()関数の使い方を徹底解説
本記事では、C++のpush_front()関数の仕組み、構文、そして具体的な使用例について詳しく解説します。
STLにおけるlistとは
listは、シーケンス内の任意の位置に対して定数時間での挿入・削除を可能にするデータ構造です。listは双方向連結リスト(doubly linked list)として実装されており、非連続的なメモリ割り当てが可能です。
配列やvector、dequeと比較すると、listはコンテナ内の任意の位置への要素の挿入・抽出・移動において優れたパフォーマンスを発揮します。一方で、要素への直接アクセス(ランダムアクセス)は遅いという特徴があります。また、listはforward_listとよく似ていますが、forward_listは単方向連結リストであり、前方方向にしかイテレートできない点が異なります。
push_front()とは
push_front()はC++ STLに組み込まれている関数で、ヘッダーファイル<list>内で宣言されています。この関数は、listコンテナの先頭に要素を追加(挿入)するために使用されます。
コンテナが空の場合は、渡された要素が最初の位置に配置され、その要素が先頭要素となります。すでに要素が存在する場合は、新しい要素が先頭に追加され、それまで先頭にあった要素は2番目の要素へと移動します。この関数を呼び出すたびに、コンテナのサイズは1ずつ増加します。
構文
void push_front (const value_type& element1); void push_front (value_type&& element1); // 引数には、追加・挿入したい要素を1つだけ指定します。
戻り値
この関数は戻り値を返しません(void型)。
使用例1:push_back()との組み合わせ
#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
int main(){
// リストを作成
list<int> myList;
// 要素を挿入
myList.push_back(1);
myList.push_back(2);
myList.push_back(3);
myList.push_back(4);
// push_front()適用前のリストを表示
cout<<"List : ";
for (auto i = myList.begin(); i!= myList.end(); i++)
cout << *i << " ";
// push_front()を呼び出し
myList.push_front(0);
cout<<"\nList after calling push_front() : ";
for (auto i = myList.begin(); i!= myList.end(); i++)
cout << *i << " ";
return 0;
}
出力結果
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
List : 1 2 3 4 List after calling push_front(): 0 1 2 3 4
この例では、まずpush_back()を使って末尾から1〜4の要素を追加しています。その後push_front(0)を呼び出すことで、値0がリストの先頭に挿入され、すべての既存要素が一つ後ろにずれることが確認できます。
使用例2:初期化済みリストへの挿入
#include <iostream>
#include <list>
int main (){
// 値30を持つ整数を2つ格納して初期化
std::list<int> myList (2,30);
myList.push_front (20);
myList.push_front (10);
std::cout<<"elements in my list are : ";
for (std::list<int>::iterator i = myList.begin(); i!= myList.end(); ++i)
std::cout << ' ' << *i;
std::cout << '\n';
return 0;
}
出力結果
上記のコードを実行すると、以下のような出力が得られます。
Elements in my list are : 10 20 30 30
この例では、リストを初期化した時点で値30が2つ格納されています。続いてpush_front(20)、push_front(10)の順に呼び出しているため、後から追加した10が最終的に先頭に来るという点に注目してください。push_front()は常に現在の先頭に要素を追加するため、複数回呼び出した場合は最後に追加した要素が先頭になります。
まとめ
push_front()は、listコンテナの先頭に要素を定数時間O(1)で挿入できる便利な関数です。双方向連結リストであるlistの特性を活かした関数であり、先頭への頻繁な追加が必要な場面でvectorなどよりも高いパフォーマンスを発揮します。ただし、ランダムアクセスが苦手というlistの特性も理解した上で、用途に応じて適切なコンテナを選択することが重要です。
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