生物学的データ分析におけるデータマイニングの4つの重要な側面
生命科学の分野では、膨大かつ複雑な生物学的データを扱うために、データマイニング技術が不可欠となっています。ここでは、生物学的データ分析におけるデータマイニングの主要な側面を4つに分けて解説します。
1. 異種分散型ゲノム・プロテオームデータベースの意味的統合
ゲノムやプロテオーム(タンパク質)のデータセットは、世界中の多数の研究機関で、さまざまな実験手法によって生成されています。そのため、これらのデータは分散しており、異種的で、形式も多岐にわたります。
こうした多様なデータを意味的に統合することは、複数のサイトにまたがる生物学的データの横断的な分析において極めて重要です。さらに、研究論文などの文献と、それに関連する生物学的エンティティ(遺伝子やタンパク質など)との正確なリンクを見つけることも欠かせません。
このような統合とリンク分析により、ゲノム情報と生物学的記録の体系的かつ協調的な分析が可能になります。これを支えるために、基本データと更新データを保存・管理するための統合型データウェアハウスや分散フェデレーテッドデータベースの開発が進められてきました。
具体的には、データクリーニング、データ統合、参照照合(リファレンス調整)、分類、クラスタリングといった手法が、生物学的データの統合や、分析用データウェアハウスの構築を強力にサポートします。
2. 核酸・タンパク質配列のアライメント、インデックス化、類似性検索、比較解析
過去20年間で、さまざまな生物配列アライメント手法が開発されてきました。中でもBLASTとFASTAは、ゲノム・プロテオームデータを体系的に分析するための代表的なツールとして広く利用されています。
ただし、生物学的配列解析の手法は、データマイニング研究で提案されている一般的な逐次パターン分析アルゴリズムとは大きく異なる点があります。
- ギャップとミスマッチへの対応: 挿入・欠失・変異を扱うために、クエリ配列と検索対象の配列データとの間に生じるギャップ(隙間)やミスマッチ(不一致)を許容できる必要があります。
- アミノ酸の置換を考慮したマッチング: タンパク質配列の場合、自然界で実際に起こりやすい置換によって互いに変化しうる2つのアミノ酸は、「マッチ」として扱わなければなりません。
3. 構造パターンの発見と遺伝子ネットワーク・タンパク質経路の解析
生物学において、タンパク質配列は三次元構造へと折りたたまれ、それらの構造は相対的な位置関係や距離に基づいて相互に作用します。このような複雑な相互作用こそが、精巧な遺伝子ネットワークやタンパク質経路(パスウェイ)の基盤となっています。
そのため、巨大でありながら複雑に入り組んだこうした生物学的ネットワークの中から、構造パターンや規則性を発見することが極めて重要です。近似的な頻出構造パターンを効率的に発見し、相互接続された生物学的ネットワークにおける規則性と不規則性を研究するために、強力かつスケーラブルなデータマイニング手法の開発が求められています。
4. 相関分析とパス解析
相関分析(アソシエーション分析)は、共起する遺伝子配列を特定し、遺伝子を疾患進行の各段階に関連付けることに活用できます。この手法を用いることで、対象サンプルにおいて発現が予想される遺伝子のタイプを絞り込むことが可能になります。
また、こうした分析は、機能的に関連する遺伝子群(チーム)の発見や、それらの間の相互作用・相互関係の解明にも大きく貢献します。疾患メカニズムの理解や創薬ターゲットの探索において、相関分析とパス解析は重要な役割を果たしています。
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