Windows資格情報マネージャーとは?ログイン情報を安全に保存・管理する完全ガイド
現代のデジタルライフにおいて、認証のためのIDやパスワードはあらゆる場面で求められます。それらをすべて自分で覚えて管理するのは、もはやほぼ不可能と言えるでしょう。
サードパーティ製のパスワード管理ツールが数多く存在する一方で、実はWindowsには標準で「資格情報マネージャー(Credential Manager)」という機能が組み込まれています。本記事では、その特徴や使い方、注意点まで詳しく解説します。
Windows資格情報マネージャーの仕組み
Windows資格情報マネージャーは、ネットワークリソース、Webサイト、アプリケーションなどへのログイン情報を安全に保存・管理できる、Windows標準搭載の機能です。以下のバージョンで利用できます。
- Windows 10
- Windows 8.1
- Windows 8
- Windows 7
- Windows Vista
資格情報マネージャーは、各種ログイン情報を一元的に保管する「保管庫(ヴォルト)」として機能します。これにより、ユーザーはサイトやサービスにアクセスするたびにユーザー名とパスワードを入力する必要がなくなります。
ネットワークリソースやWebサイト、アプリに初めてログインする際、資格情報マネージャーはログイン情報の保存を促します。ここで保存を選択すると、資格情報は暗号化された保管庫に安全に格納されます。
その後、同じリソースへ再度アクセスしようとすると、保存された資格情報が自動的に呼び出され、再入力なしでスムーズにログインできます。
また、保存済みの資格情報の編集、バックアップ、削除といった管理作業も可能です。操作はコントロールパネルから行うほか、コマンドラインインターフェースからも実行できます。
Windows資格情報マネージャーを使うメリット

資格情報マネージャーを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 時間と手間の節約: 過去にログインしたことのあるネットワークリソース、Webサイト、アプリに対して、ログイン情報が自動入力されます。ユーザー名とパスワードを毎回記憶・入力する必要がありません。
- セキュリティの向上: ログイン情報は暗号化された保管庫に保存されるため、不正アクセスから保護されます。パスワードクラッキングやフィッシング攻撃など、パスワード関連のセキュリティ事故のリスクを低減できます。
- 簡単な管理・更新: 保存したログイン情報の管理や更新が容易で、バックアップや復元にも対応しています。
- Windowsとのシームレスな統合: OSに標準で組み込まれているため、追加ソフト不要で手軽かつ安定して利用できます。
LastPassや1Passwordなどのサードパーティ製ツールほど多機能ではありませんが、無料でプリインストールされており、OSの一部として設計されている点は大きな強みです。
資格情報へのアクセスと管理方法
資格情報マネージャーでログイン情報を確認・管理するには、以下の手順を実行します。
- スタートメニューの検索ボックスから「コントロールパネル」を開きます。

- 検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力し、検索結果から選択します。

- 資格情報マネージャーのウィンドウで、「Web資格情報」または「Windows資格情報」のタブを選択します。管理したい資格情報の種類に応じて切り替えてください。

- 詳細を確認する場合: 一覧から対象の資格情報を選択し、下向き矢印をクリックします。
- 編集する場合: 対象を選択して「編集」ボタンをクリックし、内容を変更後に「OK」で保存します。
- 削除する場合: 対象を選択して「削除」ボタンをクリックし、確認画面で「はい」を選択します。
- 新規追加する場合: 追加したい資格情報の種類を選択し、必要な情報を入力します。

また、コマンドプロンプトを使って管理することも可能です。手順は以下の通りです。
- 検索ボックスに「cmd」と入力し、検索結果からコマンドプロンプトを開きます。
- 保存済みの資格情報一覧を表示するには、次のコマンドを入力します。
cmdkey /list - 特定の資格情報の詳細を確認するには、「CREDENTIAL_NAME」を確認したい資格情報の名前に置き換えて次のコマンドを実行します。
cmdkey /v CREDENTIAL_NAME - 資格情報を追加または更新するには、「CREDENTIAL_NAME」「USERNAME」「PASSWORD」を適切な値に置き換えて実行します。
cmdkey /add:CREDENTIAL_NAME /user:USERNAME /pass:PASSWORD - 資格情報を削除するには、「CREDENTIAL_NAME」を削除したい資格情報の名前に置き換えて実行します。
cmdkey /delete:CREDENTIAL_NAME
コマンドライン操作が必要になることはまずありませんが、こうした選択肢があることを知っておくと安心です。
よくある問題とトラブルシューティング
資格情報マネージャーは、日常的にアクセスするWebサイトやネットワークリソースのログイン情報を保存するのに便利なツールです。しかし、他のソフトウェアと同様に、不具合が発生することもあります。
ここでは、よくある問題とその対処法を紹介します。
- ログイン情報が保存されない場合: サービス自体に問題が生じている可能性があります。スタートメニューの検索ボックスに「services.msc」と入力してEnterキーを押し、サービス一覧から「Credential Manager」を見つけて右クリックし、「再起動」を選択してください。
- 保存したログイン情報が表示されない場合: 保存された資格情報自体に問題がある可能性があります。該当する資格情報を一度削除して再登録してみましょう。資格情報マネージャーを開き、削除したい項目を選択して「削除」をクリックします。その後、情報を再入力して保存してください。なお、操作前に必ずログイン情報を安全な場所に控えておきましょう。
- 資格情報マネージャーが動作しない場合: サービスまたはOS自体に問題がある可能性があります。まずはPCを再起動して様子をみてください。改善しない場合は、Windows Updateの実行を検討しましょう。
資格情報マネージャーはWindowsの不可欠な構成要素であるため、サードパーティ製ツールよりもトラブルシューティングが難しい場合があります。ただし、深刻な不具合はまれで、上記の対処法で大抵は解決できます。
資格情報のバックアップ方法
資格情報マネージャーはすべてのログイン情報を暗号化して保護してくれますが、PCが故障・紛失した場合はどうなるのでしょうか。万が一に備えて、バックアップを作成しておきましょう。
- スタートメニューの検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力して開きます。
- 「資格情報のバックアップ」をクリックし、選択した資格情報をファイルにエクスポートします。
- 保存先の場所を選択し、ファイル名を指定します。

- 「保存」ボタンをクリックしてファイルを保存します。

- このバックアップファイルを使用すれば、資格情報を失ったり削除したりした場合でも復元できます。
エクスポートされたバックアップファイルは、資格情報マネージャー専用の特殊な形式で保存されるため、テキストエディタなど他のプログラムでは開けません。PCの紛失や破損に備えて、外付けハードディスクやクラウドストレージなど、安全な場所に保管しておくことをおすすめします。
証明書ベースの資格情報
資格情報マネージャーは、証明書ベースの資格情報の保存・管理にも対応しています。これは、本人認証を行い、特定のリソースやサービスへのアクセスを許可するために使用されるデジタル証明書のことです。

証明書ベースの資格情報を使用するには、まずコンピューターに証明書をインストールし、その後「Windows資格情報」の下にある「証明書ベースの資格情報を追加する」から資格情報マネージャーに登録します。
強力なパスワードの生成について
残念ながら、Windows資格情報マネージャーにはパスワード生成機能がありません。主な役割は、各種Webサイトやアプリケーションのログイン情報の保存と管理です。

そのため、パスワードの生成にはブラウザの機能を活用するのがおすすめです。主要なブラウザのほとんどは、強力なパスワードジェネレーターと管理機能を備えています。Windowsに標準搭載されているMicrosoft Edge(Internet Explorerの後継)にも同様の機能があるため、追加で何かをダウンロードする必要はありません。
自分で安全なパスワードを作りたいという方は、「最も安全なパスワードを作る3つの方法」などの記事も参考にしてみてください。
Windows資格情報マネージャーの代替ツール
より高機能なパスワード管理を求める場合、無料・有料を問わずさまざまな代替ツールが利用できます。代表的なものは以下の通りです。
- LastPass: 無料で使えるパスワードマネージャー。ログイン情報の保存やフォームの自動入力に対応し、脆弱なパスワードを発見・修正できる「セキュリティチャレンジ」機能も備えています。
- 1Password: 有料のパスワードマネージャー。パスワード生成、共有、監査などの機能を提供し、ブラウザ用の拡張機能も充実しています。
- KeePass: 無料かつオープンソースのパスワードマネージャー。ログイン情報の保存や自動入力に加え、パスワード生成、共有、監査機能も利用できます。
- Dashlane: 有料のパスワードマネージャー。パスワード生成、共有、監査機能に加え、ブラウザ向けの管理ツールも内蔵しています。
- RoboForm: 有料のパスワードマネージャー。パスワード生成、共有、監査機能を提供し、ブラウザ統合型の管理機能も備えています。
これ以外にも、同様の機能やさらなる機能を提供するツールが数多く存在します。資格情報マネージャーで問題が発生している場合や、より高度な機能が必要な場合は、別のパスワードマネージャーへの乗り換えを検討する価値があるでしょう。
特に注意すべき点として、Windows資格情報マネージャーでは、管理者権限を持つユーザーであれば誰でも保存された資格情報を閲覧できてしまうことが挙げられます。これはサードパーティ製ツールにはない脆弱性であり、パスワードの保存場所を選ぶ際には重要な判断材料となるでしょう。
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