Steamトレーディングカードを売って無料のSteamクレジットを稼ぐ方法
PCゲーミングは決して安い趣味ではありません。快適に遊べるマシンを組むと、フラッグシップ機のコンソールの何倍もの費用がかかります。限られた予算でやりくりしているゲーマーにとっては、1円でも節約したいところでしょう。
幸い、ゲーム代を抑える方法はいくつもあります。Humble Bundleのようなサイトを利用すれば、大金をかけずにライブラリを充実させられますし、Steamの季節セールを狙えば最新のAAAタイトルを通常価格の何分の一かで入手することも可能です。
ですが、さらに一歩進んだ節約術があるとしたら、試してみたくはありませんか?
Steamトレーディングカードとは
2013年、Valveは「Steamトレーディングカード」を導入しました。仕組みはシンプルです。対応ゲームをプレイすると、バーチャルなトレーディングカードが手に入ります。すべての開発者が参加しているわけではありませんが、対応タイトルはかなり多く存在します。
Valveがこのシステムに期待していたのは、プレイヤー間の交流を促すことでした。たとえばあるゲームに16枚のカードがあるとしましょう。プレイヤーが全実績解除まで含めてゲームをやり尽くしても、手に入るのはその一部だけ。仮に8枚だとすると、しかもその中には重複分が含まれているかもしれません。
コンプリートセットを揃えると、カードを合成してバッジを作れます。バッジにはそのゲーム限定の絵文字やプロフィール背景といった特典が付き、Steamレベルの経験値にもなります。
カードはプラットフォーム上で他のプレイヤーとトレードすることも可能です。野球カードの交換のようなイメージですね。「あなたが欲しいカードを持っているから、私が欲しいカードと交換しよう」という具合です。
あるいは、カードを売却してSteamクレジットに換えることもできます。現金として引き出すことはできませんが、別のSteamゲームやゲーム内アイテムの購入資金に充てられます。
期待はほどほどに
そもそもSteamトレーディングカードの存在を知らなかった、という人も少なくないでしょう。これはどちらかといえば、熱心で競争心の強いコアなプレイヤー向けの機能だからです。
筆者のようにシングルプレイヤー作品中心で遊んでいる人なら、気づかないうちに数百枚のカードを溜め込んでいる可能性もあります。
手持ちのカードを確認するには、まずインベントリを開きます。次にドロップダウンメニューから「すべてのSteamアイテム」を選択してください。
ただし、カードを売って大儲けできると期待するのは禁物です。
現実のトレーディングカードと同じように、Steamのカードにも希少性による価値の差があります。高値で取引されるカードもある一方で、最も一般的なカードの価値はわずか数円程度です。
筆者は先週、溜め込んでいたカードをまとめて売却しましたが、ほとんどが5〜15セント(約7〜20円)程度での落札でした。コレクションで一番高かったカードでも60セントでした。
売上額を左右するのは、主に2つの要素です。プレイしたゲームの数と、純粋な運です。筆者の場合、約120枚を売って約4ドル(600円前後)になりました。大金ではありませんが、捨てたお金ではないはずです。もちろん、結果は人それぞれです。
Steamトレーディングカードの売り方
カードの売却先は「コミュニティマーケット」です。ここで面白いのが動的な価格設定の仕組みです。カードに固定価格は定められていないため、出品者自身が自由に価格を決められます。
要するに、コミュニティマーケットは需要と供給という経済の基本原則に基づいて動いています。とはいえValveも放置しているわけではなく、取引量や平均取引価格を表示することで、出品者の価格設定をサポートしています。
出品の手順は以下の通りです。カードを選択して「売る」をクリックすると、価格の入力画面が表示されます。「受け取りたい金額」または「購入者が支払う金額」のどちらかを指定する形式です。ご想像の通り、Valveは各取引から一定の手数料を差し引きます。
残念ながら、Steamではカードの一括出品はできません。1枚ずつ個別に売りに出す必要があります。正直、地味に面倒で反復作業の連続です。コレクションの規模によっては、それなりに時間もかかります。
出品されたカードは15日間マーケットに掲載されます。売れ残った場合は、価格を下げて再出品すれば新たな買い手を呼び込みやすくなります。
良いニュースは、筆者の体験では売却まであまり待たなくてよかったことです。カードの大半は1時間以内に売れました。Steamウォレットの残高が数十円単位でじりじりと増えていくのを見ていると、妙な達成感があって病みつきになります。
一方で厄介な点もあります。初期設定のままだと、カードが売れるたびに確認メールが届きます。筆者のスマートフォン(そしてApple Watch)は、まる1時間振動し続けることになりました。
Steamトレーディングカードの巧妙な設計思想
ここで豆知識をひとつ。2012年、Valveはヤニス・バルファキスを「エコノミスト・イン・レジデンス」(常駐経済学者)として招へいしました。彼の研究テーマは当初、バーチャル経済、とりわけ仮想商品の価格変動の仕組みでした。
バルファキスは国際的に著名な思想家です。3つの大陸の大学で教鞭を執り、多数の著作を発表しており、2015年から2016年にはギリシャの財務大臣も務めました。
在任中、彼はギリシャの経済再建において中心的な役割を担い、いわゆる「トロイカ」(欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金)との交渉でギリシャの債務問題の再編に取り組みました。
Steamトレーディングカードのシステムはあまりに見事に設計されているため、そのメカニズムの随所にバルファキスの影響を見出さずにはいられません。Valveは「希少性」という要素を持ち込むことで、事実上、プレイヤー間に市場を作り出したのです。思い出してください。どんなにゲームをやり込んでも、カードのフルセットは自力では揃いません。
コンプリートを目指すなら、システムと関わるしかありません。他のプレイヤーとトレードするか、コミュニティマーケットで購入するかです。価格を決める要因は現実の市場と同じく、供給、需要、そして希少価値です。
さらにValveは、コレクション作りに興味のないプレイヤーにもカードを売るインセンティブを与えることで、供給側の流動性を確保しています。
その一方でValve自身は各取引から手数料を得るため、市場を維持する強い動機になります。また、開発者に対して今後のタイトルへのトレーディングカード搭載を促すことで、この仮想経済の長期的な持続も図っています。実に巧妙な仕組みです。
そこまで深く考える人は多くないかもしれません。それでも筆者はこう言いたいのです――「無料でゲームが買える仕組みに、文句を言えますか?」
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