Fedora Silverblue入門:rpm-ostreeとFlatpakで実現する次世代のFedora Linux
Fedora Linuxは、最もよく知られているLinuxディストリビューションのひとつです。Red Hatがスポンサーを務めるこのコミュニティ主導のディストリビューションは、後に他のLinuxディストロにも採用されるような先進的なソフトウェアの開発と導入で高い評価を受けています。
Fedora Silverblueは、そうしたソフトウェアを従来のLinuxデスクトップとはまったく異なる形でパッケージングし、提供するプロジェクトです。この新しいモデルは、Fedoraひいては他のLinuxディストリビューションの未来を切り開く可能性を秘めています。すでに今すぐ利用でき、本記事ではその魅力と使い方を詳しく紹介します。
Fedora Silverblueとは?
Fedora Silverblueは、rpm-ostreeとFlatpakを中心としたFedora Linuxのエディションです。簡単に言えば、スマートフォンやChromebookのようなセキュリティモデルとアプリ配信の仕組みを、Linuxデスクトップに持ち込むものです。Silverblueを理解するには、まずこの2つの技術を押さえておくとよいでしょう。
rpm-ostreeとは?
数百のパッケージで構成されるOSを配布する代わりに、Silverblueはシステム全体を単一のイメージとして提供します。アップデートが配信されるときも、個別のパッケージ(バックグラウンドで動作するシステムコンポーネントやライブラリなど)の新バージョンをダウンロードするのではなく、更新内容を含んだ単一の新しいイメージを取得します。
これには大きなメリットがあります。ひとつは安定性です。単一のパッケージが欠落したり破損したりしても、システムが起動しなくなったり誤動作したりすることはありません。システムは「オール・オア・ナッシング」の大きなイメージとして動作します。それでも問題が発生した場合は、正常に動作することが分かっている以前のイメージで起動すれば、簡単に元の状態へ戻せます。
Flatpakとは?
Flatpakは、事実上あらゆるLinuxディストリビューションにアプリをインストールできるユニバーサルなアプリ形式です。これは、DEBやRPMといったディストリビューション固有のパッケージ形式の置き換えとなります。DebianやUbuntuなどDEBパッケージを使うディストロはRPMパッケージをインストールできず、その逆もまた然りです。
Flatpakにはセキュリティ面のメリットもあります。各アプリはサンドボックス化され、システムの他の部分から隔離されています。アプリがファイルやWebカメラなどのコンポーネントにアクセスするには、ユーザーが明示的に許可を与える必要があります。
Fedora Silverblueの始め方
Fedora Silverblueのインストール手順は、Fedora Workstationとまったく同じです。公式サイトgetfedora.orgにアクセスしてページを下へスクロールし、Silverblueを選ぶか、Silverblueのサイトから直接ISOファイルをダウンロードできます。
Fedora LinuxやRed Hat Enterprise Linuxのインストーラーを使ったことがあれば、Silverblueでも何が起こるかは容易に想像できるでしょう。初めての方でも、Microsoft Windowsへのアプリインストールのように、「次へ」ボタンを押し続ければいずれ目的のシステムが導入される、という感覚で進められます。
新しいシステムで再起動すると、真っさらなGNOMEデスクトップと、GNOMEの操作方法を案内してくれる「GNOME Tour」アプリが表示されます。この時点ではまだFedora SilverblueとFedora Workstationの違いには気づかないでしょうが、まもなくその違いに出会うことになります。
アップデートのインストール方法
新しいシステムで最初に行うべきことのひとつが、アップデートの適用です。「GNOME Software」を開いて利用可能なアップデートを確認できますが、うまく動作しないこともあります。これはFedora Silverblue特有の問題ではなく、筆者の経験ではFedora Workstationでも、GNOME Softwareによるアップデートの表示やインストールはあまり信頼性が高くありません。
GNOME Softwareが正しく動作すれば、「再起動して更新(Restart & Update)」というプロンプトが表示されます。Fedora Workstationと違うのは、再起動後にFedoraがパッケージをインストールするのを待つ必要がない点です。Silverblueは、ダウンロード済みの新しいシステムイメージを使ってそのまま起動するだけです。
Linux歴が長い人なら、GNOME Softwareが動かなくても大した問題ではないと感じるかもしれません。コマンドラインからのアップデート適用に慣れている方は多いはずです。これはコマンドラインが唯一の、あるいは最も簡単な方法だからというより、処理が速く、どんなアップデートが適用されるのか詳細な情報が表示されるためです。
Fedora Workstationでは、次のコマンドでアップデートをインストールできます。
sudo dnf upgradeしかし、このコマンドはFedora Silverblueでは使えません。代わりに次のコマンドを使用します。
rpm-ostree upgradeSilverblueではこのコマンドにsudoや管理者権限が不要である点に注目してください。Silverblueでは、システムのアップグレードやソフトウェアのインストールに昇格した権限は必要ありません。
アップグレードが完了すると、ターミナルには新しいシステムイメージに含まれるアップグレード済みパッケージの一覧と、再起動用のコマンドが表示されます。ダウンロードされたアップデートを有効にするには、再起動が必要です。
Silverblueへのアプリのインストール方法
初回起動時、GNOME Softwareは普段よりアプリが少なく感じられるでしょう。これは、Fedora Silverblueが通常のFedoraリポジトリにあるRPM形式のアプリをすべて提供していないためです。Silverblueは代わりに「Fedora Container Registry」と呼ばれる、Flatpakアプリ専用のFedoraリポジトリを使用しています。さまざまなGNOMEアプリやゲーム、LibreOfficeのような主要な生産性アプリは利用できますが、ラインナップとしては物足りなさが残ります。
より多くのソフトウェアを入手するには、Flathubにアクセスし、シンプルなセットアップ手順に従ってください。これにより、GNOME Softwareで利用できるアプリが大幅に増えます。
ターミナルからアプリをインストールするには、flatpak installコマンドを使います。DNFと違って、パッケージの正確な名前を知っている必要はありません。Flatpakは通常、探しているものを自動的に推測してくれるか、曖昧な場合には候補を提示してくれます。
欲しいプログラムがFlatpakとして提供されていない場合でも、RPMをインストールする選択肢はありますが、ここからが少し厄介です。
頻繁に使う予定のアプリであれば、rpm-ostree installコマンドでシステムイメージに追加するのがおすすめです。このコマンドに続けて、インストールしたいDNFパッケージの正確な名前を指定します。その後、コンピューターの再起動が必要です。以降、システムイメージのアップグレード時にもこれらのアプリが引き継がれます。Firefoxのようなプリインストールアプリを含むソフトウェアを削除するには、rpm-ostree override removeコマンドを使用します。
もうひとつの方法は、コマンドラインからアプリを起動することです。この場合、アプリはアプリドロワーに表示されず、ドックにもアイコンが現れません。このルートを取るには、Toolboxに慣れておく必要があります。
ターミナルでの作業
Fedora Silverblueにはターミナルが付属しており、普段使っているコマンドのほとんどはそのまま動作します。ただし、パッケージの追加や削除を行いたい場合は、Toolboxというツールを使う必要があります。
Toolboxはコンテナ、つまり隔離されたワークスペースを作成します。そこなら、ベースシステムを汚すことなく、好きなだけパッケージをインストールできます。
Toolboxを作成するには、次のコマンドを実行します。
toolbox create続いて次を入力します。
toolbox enterこれでDNFを使って、好きなFedoraパッケージを自由にインストールできるようになります。作業が終わったらexitと入力してToolboxを抜けましょう。
注意点として、Toolboxのコンテナはセキュリティ的な意味での隔離ではありません。それぞれホームディレクトリやコンピューターの他の領域にアクセスできます。怪しいソフトウェアを試すための安全な場所だと考えないでください。
アプリの権限管理
Flatpak形式には、怪しい、あるいは不正に改ざんされたソフトウェアに対する保護機能が備わっています。システム設定を開いて「アプリケーション」セクションを見ると、その一部を確認できますが、本格的に制御したいなら「Flatseal」という専用ツールのインストールが必要です。
Flatsealを使えば、たとえば特定のアプリのネットワークアクセスをブロックしたり、ハードドライブ上の指定フォルダー内のファイルのみ閲覧できるよう制限したりできます。このプログラムはどのLinuxディストリビューションでも利用可能ですが、Fedora SilverblueはFlatpakに全面依存しているため、システム上の大多数のアプリに対してこのレベルの細かな制御が可能です。
Fedora Silverblueは実用段階にあるのか?
答えはイエスです。すでにFedora Silverblueをメインのディストロとして日常的に使っているコミュニティが存在します。アプリは安定しており、外観もほぼ通常のFedora Linuxと変わりません。Silverblue独自のクセを一度覚えてしまえば、従来のLinuxディストロよりもむしろ使いやすいと感じるかもしれません。
Fedora Silverblueだけがこの道を歩んでいるわけではありません。このコンセプトに魅力を感じたら、すべてのアプリにFlatpakを採用している他のLinuxディストロもあることを知っておくとよいでしょう。今後さらに同様のディストロが登場してくる可能性は十分にあります。
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