Ubuntuフレーバー徹底比較:標準版・Kubuntu・Lubuntu・Xubuntu・MATE・Budgie・Studio・Kylinの違いとは?
Linuxについて調べたことがあるなら、Ubuntuという名前を耳にしたことがあるはずです。UbuntuはデスクトップPC向けLinuxとして最も人気のあるディストリビューションですが、実はさまざまな種類(フレーバー)が存在することをご存じでしょうか。
Ubuntuはオープンソースプロジェクトであるため、誰でも自由にコードを利用して独自のデスクトップ環境を構築できます。Linux Mintはその代表例です。さらに、公式に認められた派生版として「フレーバー」と呼ばれるバリエーションも複数存在します。本記事では、各フレーバーの特徴を詳しく解説し、どれが自分に最適なのかを見極めていきましょう。
1. 標準版Ubuntu
これはUbuntuの標準エディションで、Ubuntuを開発するCanonical社が直接手掛けているバージョンです。その他のフレーバーは、同社以外のコミュニティメンバーによって作成・メンテナンスされています。
あるアプリが「Ubuntu対応」を謳っている場合、通常はこの標準版を指します(ただし、他のフレーバーやUbuntuベースのディストリビューションでも動作する可能性は高いです)。また、壁紙やアイコンなどに見られるUbuntuブランドの要素は、この標準版に最も色濃く反映されています。過去にはUnityデスクトップ、Ubuntu Software Center、Ubuntu Oneなど、Canonical独自のソフトウェアの拠点でもありました。
標準版UbuntuはGNOMEデスクトップを採用しています。アクティビティ画面を中心にアプリの起動やウィンドウの切り替えを行い、目的のプログラムやファイルを検索して操作するスタイルが特徴です。GNOMEはFedoraなど、他の主要Linuxディストリビューションでもデフォルトインターフェースとして採用されています。
2. Kubuntu
Kubuntuは、KDEコミュニティが開発するPlasmaデスクトップを採用しています。このインターフェースは、あらゆるデスクトップ環境の中でも屈指のカスタマイズ性を誇ることで知られています。
Kubuntuは、Plasmaが好きだけどUbuntuの豊富なソフトウェアサポートも活用したい人に最適な選択肢です。KDE開発元が提供するほぼ素の状態(バニラ)でPlasmaを体験できる点も魅力といえます。
Plasmaは「動作が重い」という印象を持たれがちですが、近年のリリースでは大幅に軽量化されています。場合によっては、標準版Ubuntuよりも快適に動作することもあるでしょう。
3. Lubuntu
Lubuntuは、システムリソースの消費を抑えた軽量版のUbuntuです。そのため、スペックの低い古いマシンに最適です。あるいは、デスクトップ環境自体の負荷を最小限にし、処理能力をアプリやゲームに最大限振り向けたいユーザーにもおすすめできます。
Lubuntuは従来LXDEというインターフェースを使用してきましたが、Ubuntu 18.10以降はより現代的なLXQtへ移行しました。どちらも軽量な選択肢ですが、後者の方が新しい技術ベースとなっています。
興味深いことに、LXQtの開発にはQtツールキットが使われています。これはPlasmaデスクトップと同じものです。一方、GNOMEをはじめとするこのリストの多くのデスクトップ環境は、GTKツールキットを採用しています。
4. Xubuntu
Lubuntuが登場する以前は、軽量なデスクトップを求めるユーザーにとってXubuntuが定番の選択肢でした。現在でも、古いPCを使っている人には有力な候補です。また、多くのデスクトップ環境に見られるアニメーション効果やデザインの演出が苦手な人にも、Xubuntuは向いています。
XubuntuはXfceデスクトップ環境を採用しています。XfceはGNOTEと共通するアプリやコンポーネントを数多く利用しながら、オーバーヘッドを大幅に抑えているのが特徴です。
XfceはLinux向けインターフェースの中でも歴史が長く、成熟した安定した操作性が期待できます。その一方で開発者数が少ないため、大型アップデートや新機能の追加はゆっくりと進みます。今のXfceは10年前のXfceとそれほど変わっていないともいえるでしょう。
5. Ubuntu Budgie
Budgieは、Solusプロジェクトから生まれた比較的新しいインターフェースです。Ubuntu Budgieは、このデスクトップ環境を採用するディストリビューションの中で最も有名な一つです。
Budgieの開発者たちは、Chrome OSやモバイルデバイスからインスピレーションを得ています。伝統的な使い勝手を保ちながら、20年前のコンピュータのような古臭さを感じさせない洗練された外観が魅力です。
なお、Ubuntu BudgieはGTKからQtへの移行が進められており、近い将来大きな変化を遂げる可能性があります。
6. Ubuntu MATE
多くのフレーバーは標準版Ubuntuの代替を提供していますが、Ubuntu MATEは少し毛色が違います。「昔のUbuntuの見た目」を再現しているのです。今Ubuntu MATEをインストールすると、2010年頃のデフォルトUbuntuを使っているような感覚を味わえます。
それはMATEが、Linux界の大きな転換期に誕生したためです。GNOMEはバージョン3.0のリリースで設計を全面的に刷新し、CanonicalもUnityの開発によってUbuntuを新方向へ進めようとしました。そんな中、MATEは多くの人々に愛されていたGNOME 2インターフェースを使い続ける道を提供したのです。
MATEは当時から大きく変わっていませんが、だからこそ古いPCに気軽に導入できるディストリビューションとして優れています。
7. Ubuntu Studio
各フレーバーにはそれぞれの個性がありますが、Ubuntu Studioは唯一、インターフェース自体が主役ではないフレーバーです。このバリアントのテーマは「メディア制作」に集約されます。
画像編集、音声録音、動画編集、3Dモデルのレンダリングにどんなツールが必要かわからない――そんな悩みを解決してくれるのがUbuntu Studioです。これらの作業に必要なアプリが最初からプリインストールされており、HydrogenドラムシーケンサーやDVDStylerといった専門的なソフトウェアまで含まれています。
Xubuntuと同じく、Ubuntu StudioもXfceデスクトップ環境を採用しています。これにより、ウィンドウのアニメーションではなく、目の前の制作作業にPCのリソースを集中させることができます。
8. Ubuntu Kylin【提供終了】
Ubuntu Kylinは、特定の国のユーザーをターゲットとした唯一のフレーバーでした。Canonicalと中国の国防科技大学、そしてコミュニティメンバーが協力し、中国市場に合わせて調整されたディストリビューションとして開発されました。
デフォルトのインターフェースはGNOMEではなくMATEベースで、当時はWindows 7を思わせるテーマが採用されていました。中国語の組み込みサポート、中国暦、Ubuntu Kylin独自のソフトウェアセンターなどの機能が特徴です。
どのUbuntuフレーバーを選ぶべきか?
筆者は長年にわたり複数のUbuntuフレーバーを利用してきました。初めてインストールしたLinuxディストリビューションはXubuntuで、Plasmaデスクトップの魅力に触れたきっかけはKubuntuでした。そして結局、最も長く使い続けたのは標準版Ubuntuです。
結局のところ、Ubuntu StudioとUbuntu Kylinを除けば、どのフレーバーが好きかは「どのLinuxデスクトップ環境がお気に入りか」で決まるといえます。まずはLive USBなどで実際に試してみて、自分の手に馴染む環境を見つけるのがおすすめです。
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