Red Hat Atomic Host(RHAH)とは?コンテナホスティングに最適化された軽量OS
Red Hat Atomic Hostは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の派生版として提供されるサポート付きオープンソースOSで、コンテナホスティングに最適化されたミニマルな設計が特徴です。正式名称は「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」ですが、一般的には「Red Hat Atomic」「Atomic Host」、あるいは略称の「RHAH」と呼ばれています。
Project Atomicは、Atomic Hostを含むオープンソースのコンテナOS技術群を指すアップストリームプロジェクトです。このアップストリーム版のAtomic Hostは、Red Hatだけでなく、FedoraやCentOSなどのLinuxディストリビューション上でも動作します。Red Hatは長年の実績を持つLinuxベンダーであり、エンタープライズ顧客との強固な関係を築いてきました。Red Hat Atomic HostはRHELサブスクライバー向けに提供され、そのバージョンはRHELと同期して管理されます。また、Red Hat OpenShiftのユーザーは、使用中のOpenShiftのバージョンに対応するRHAHのバージョンを組み合わせることで、基盤部分での最大限の互換性と自動化を実現できるとされています。
Project AtomicにおけるコンテナホスティングOSの設計思想は、大規模ワークロード、すなわち基本的に同一構成の分散マシンを多数運用する環境に適しています。Red Hat Atomic Hostには、Docker、atomic、etcd、flannelなどのコンテナ運用ツールがOS自体に組み込まれています。一方で、コンテナ運用に不要なライブラリやパッケージは含まれておらず、軽量かつ高効率な動作を実現しています。
Red Hat Atomic Hostのデプロイ方法
Red Hat Atomic Hostは、物理ハードウェアのほか、Red Hat Enterprise VirtualizationやVMware vSphereといった認定ハイパーバイザー、さらにAmazon Web Services(AWS)やGoogle Compute Platformなどのプライベートクラウド・パブリッククラウドインフラにもデプロイ可能です。読み取り専用ファイルシステムを採用しており、汎用のRHELよりもパッケージ数が少なく、ホストへの変更は「atomic」という単一のコマンドで管理できます。RHELとは異なり、Red Hat Atomic Hostシステムは一時的(エフェメラル)で高度に自動化されたデプロイメント向けに設計されているため、個々のホストに対するカスタマイズや細かな制御は意図的に限定されています。
Red Hat Atomic Host OSのアップデートは、「atomic」管理コマンドを使ってダウンロードからデプロイまでを1ステップで実行でき、シンプルな更新と変更のロールバックが可能です。イメージを更新する際、以前のバージョンはロールバック用に保持されますが、2つのバージョンが混在することはありません。
Project Atomic(Red Hat Atomic Hostおよびその他のバージョン)は、コンテナ向けに設計・最適化された数多くのOSの一つです。その他の代表的なOSには以下のようなものがあります。
- Container Linux by CoreOS
- Alpine Linux
- Boot2Docker
- Windows Server 2016
- Ubuntu Core
- RancherOS
セットアップの手順
Atomic Hostを稼働させるには、管理者はまずRed HatからAtomic Hostのイメージをダウンロードし、Red Hatのvirt-managerツールを使って仮想マシン(VM)を作成します。次にメタデータISOを作成し、init.isoを仮想マシンにアタッチして起動した後、コンテナオーケストレーション技術のKubernetesを有効化し、最後にコンテナ間通信を有効にします。その他のインストール方法も用意されています。たとえば、AWSのユーザーはAmazon Machine Image(AMI)から最新版のRHAHを直接デプロイできます。
Red Hatは、最小構成のAtomicディストリビューション向けに、OSおよびアプリケーション管理のための技術も提供しています。具体例としては、デバッグ用途に活用できる「RHEL Atomic Tools」コンテナや、永続性があり依存関係の多いアプリケーションをコンテナ化するためのパッケージレイヤリング技術などが挙げられます。たとえば、VMware Toolsパッケージをインストールすれば、VMwareベースの環境においてAtomic Hostがより快適かつ高速に動作するようになります。
編集部注: Red Hatはかつて「Atomic Enterprise Platform」という技術の開発を進めていましたが、これは最終的にリリースされませんでした。Atomic Enterprise PlatformはOpenShiftプロジェクトの一環であり、Atomic Hostとは無関係です。
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