GPOを使ってドメイン内の全コンピューターにファイルやフォルダーを自動コピーする方法
GPOによるファイル自動配布の概要
グループポリシー(GPO)を利用すると、特定のファイルやフォルダーをドメイン内のすべてのコンピューターへ自動的にコピーできます。コピー先はデスクトップ、ユーザープロファイルフォルダー、ローカルドライブ上の任意のディレクトリなど自由に指定可能です。これを活用すれば、設定ファイルやINIファイル、EXE実行ファイル、DLLライブラリ、スクリプトなどを、共有リポジトリから自動的に配布・更新できます。
本記事では例として、app.exe と settings.xml の2つのファイルを、Active Directory ドメインの一部ユーザーのデスクトップへ配信するケースを取り上げます。
ファイル配布には、ログオンスクリプト(xcopy や robocopy など)を使う方法もありますが、グループポリシー基本設定(GPP)を使えば、GUI操作だけで簡単にファイルやフォルダーをコピーできます。
ステップ1:ソースファイル用の共有フォルダーを準備する
まず、配布元となるファイルを格納する共有フォルダーを作成します。専用ファイルサーバー上のネットワーク共有フォルダーでも問題ありませんが、ドメインコントローラーの SYSVOL ディレクトリを使うのが便利です。SYSVOL は DFS によってドメイン内のすべての DC 間で自動的にレプリケートされるため、WAN 回線への負荷を抑えられます。本記事では \\woshub.com\SYSVOL\woshub.com\scripts\CorpApp にファイルを配置しました。なお、このフォルダーに対して Authenticated Users グループに読み取り権限が付与されていることを必ず確認してください。
ステップ2:GPOでファイルコピーを設定する
- 新しい Active Directory セキュリティグループ CorpAPPUsers を作成します。PowerShell では次のコマンドレットを使用します:
New-ADGroup CorpAPPUsers -path 'OU=Groups,OU=DE,dc=woshub,DC=com' -GroupScope Global -PassThru –Verbose
続いて、デスクトップにファイルを自動配布したいユーザーをグループに追加します:Add-AdGroupMember -Identity CorpAPPUsers -Members asmith, bmuller, tweber - グループポリシー管理コンソール(
gpmc.msc)を開きます。 - 新しい GPO オブジェクト(CopyCorpApp)を作成し、対象ユーザーのコンピューターが含まれる OU にリンクします。
- GPO を編集モード(
Edit)で開きます。 - 次のグループポリシー基本設定セクションを展開します:[ユーザーの構成] → [基本設定] → [Windows の設定] → [ファイル]。すべてのコンピューターにコピーしたい場合は、[コンピューターの構成] 側の同様のポリシーを使用する方が適切です。
- [新規作成(New)] → [ファイル(File)] を選択します。
- 共有ネットワークフォルダー内のソースファイルと、クライアント側のコピー先ディレクトリを指定します。特定のファイルを1つずつ指定することも、
*(アスタリスク)を指定してフォルダー内の全ファイルを一括コピーすることも可能です。
GPOファイルコピーで選択できる4つのアクション
- Create(作成):コピー先に同じ名前のファイルが存在しない場合のみコピーされます。
- Replace(置換):既存ファイルを削除したうえで常にソースファイルで置き換えます。
- Update(更新)(既定の動作):ファイルが存在しない場合は作成され、すでに存在する場合は必要に応じて更新されます。
- Delete(削除):対象のファイルを削除します。
環境変数を使ったコピー先の指定
コピー先としては、コンピューター上の具体的なフォルダーパスを直接指定できるほか、環境変数も利用できます。たとえば、現在のユーザーのデスクトップにコピーする場合は %DesktopDir% を指定します。GPP で使用できる環境変数の一覧は、設定ダイアログで F3 キーを押すことで確認できます。
Item-Level Targeting で適用対象を絞り込む
- 特定のユーザーだけにファイルを配布したい場合は、ポリシー設定の [共通(Common)] タブを開き、[項目レベルのターゲット設定(Item-Level Targeting)] を有効にして [ターゲット設定(Targeting)] をクリックします。
- 表示されたウィンドウで、GPO の適用条件を細かく設定できます。今回の例では、CorpAPPUsers グループのメンバーのみに適用を限定します。[新しい項目(New Item)] → [セキュリティ グループ(Security Group)] を選択し、対象のドメインユーザーグループを指定してください。
- GPO をユーザーではなくコンピューターが所属する OU にリンクしている場合は、GPO ループバック処理モードの有効化が必要です。[コンピューターの構成] → [ポリシー] → [管理用テンプレート] → [システム] → [グループポリシー] の「ユーザーのグループポリシーのループバック処理モードを構成する」を有効にし、モードを [マージ(Merge)] に設定します。
- 最後に、クライアントコンピューターでグループポリシーを更新し(
gpupdate /forceを実行するか、サインアウト後に再サインイン)、2つのファイルがデスクトップへ自動的にコピーされていることを確認しましょう。
応用例:スクリプトやツール類の配布
この手法を活用すれば、スクリプト、アプリケーションの実行ファイル、各種システムツール(PsTools、iperf、Portqry など)をユーザーのコンピューターへ効率的に配布できます。さらに、Program Files へファイルをコピーしつつ、GPO でデスクトップにそのショートカットを作成するといった運用も可能です。
フォルダーごとコピーする場合の注意点
最後に、フォルダー単位でのコピーについて補足します。GPP の [ファイル] 機能には、フォルダーを中身ごとまとめてコピーする組み込み機能はありません。代わりに、[コンピューター(ユーザー)の構成] → [基本設定] → [Windows の設定] → [フォルダー] のポリシーを使ってターゲットコンピューター上にフォルダーを作成しておき、その後、前述の手順でそのフォルダーへファイルをコピーする方法が有効です。
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