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次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

世界経済は、政権交代の混乱や各国の緊急事態宣言など、さまざまな出来事によって成長の足止めを余儀なくされています。しかし、そんな中にあってもテクノロジー業界は影響を受けるどころか、以前にも増して加速度的に進化を続けています。

テクノロジーは単に成長しているだけではありません。次の10年に向けた目標を掲げ、すでに開発に着手しています。その一部は初期段階の製品として私たちの手に届き始めており、より成熟した洗練された製品はこれから登場してきます。

本記事では、次の10年間で私たちが利用することになる21のテクノロジーのうち、前編として最初の11項目をご紹介します。

次の10年間の21のビッグテクノロジー

1. テレプレゼンス(遠隔臨場感)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

テレプレゼンスとは、ロボットによる遠隔操作の高度な形態で、操作者にまるでその場所にいるかのような感覚を与え、バーチャルリアリティ(VR)に近い体験を実現する技術です。遠隔操作されるロボットと操作者は、互いに大きく離れた場所に置くことができ、制御やフィードバックは有線、光ファイバー、無線リンク、あるいはインターネットを介したテレメトリーによって行われます。遠隔手術支援や危険現場での調査など、活用の幅は今後さらに広がると期待されています。

2. 第5世代移動通信(5G)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

モバイルデータの消費量は日々爆発的に増加しており、通信技術のさらなる進化が不可欠です。4Gはゴールではなく、私たちはまもなく「5G」と呼ばれる次世代の通信の波を体験することになります。

5Gは次世代無線技術の総称で、当初は国際電気通信連合(ITU)による標準規格が確定していませんでしたが、現在では標準化が進み、世界各国で商用サービスが展開されています。モバイルネットワークの高密度化が急務とされており、この開発の目的は消費者からの急増する需要に応えることにあります。

5Gで達成が目指される主な目標は以下の通りです。

  • 大幅に高速化されたデータ通信
  • 超低遅延(ウルトラローレイテンシー)
  • より「つながった世界」の実現

3. コンピュータビジョン(コンピュータ視覚)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

コンピュータビジョンとは、コンピュータや機械に、人間と同じように周囲の世界を見て視覚的に認識する能力を与える技術です。市場には多様なセンサーが登場しており、機械を人間のように動作させることが可能になっています。

コンピュータビジョンは、カメラからの映像入力をセンサーとして活用する技術です。「映像をセンサーとして使う」ことは、機械に人間の行動を再現させるための重要な鍵となります。

映像や画像ストリームから有用な情報を自動的に抽出・分析・理解することで、この技術は驚くべき成果を生み出す可能性を秘めています。

その応用例として身近なのが、Amazon Goストアです。レジに並ぶことなく買い物が完了する仕組みは、まさにコンピュータビジョンの結晶といえます。

4. ミックスドリアリティ(複合現実)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

ミックスドリアリティ(MR)とは、現実世界と仮想世界を融合させ、物理的な物体とデジタルオブジェクトが共存し、相互に作用できる新しい環境を作り出す技術です。ハイブリッドリアリティと呼ばれることもあります。

MRは類似のテクノロジーの中でも最も可能性が広く、近い将来スマートフォンに取って代わる存在になるかもしれません。AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の両方の長所を組み合わせることを目指し、完全な仮想空間から現実世界までの連続的なスペクトラム全体を提供します。MRには、拡張現実(AR)や拡張仮想(AV)といった構成も含まれます。

現在の代表例としては、Microsoft HoloLensやMagic Leapなどが挙げられます。

5. 自動走行車

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

自動運転車とは、周囲の環境を自ら感知し、人間の操作なしに走行できる車両のことです。車両の自動化は、メカトロニクス、人工知能(AI)、マルチエージェントシステムなどを組み合わせて実現されます。一般向けの普及はまだ途上ですが、Google傘下のWaymoをはじめとする大手企業が設計・実証実験を積極的に進めています。

自動運転車は、車の所有形態やラストワンマイル移動に新たな概念をもたらすだけでなく、物流や配送の在り方を根本から変える潜在力を持っています。

6. 人工知能(AI)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

人工知能の父と称されるジョン・マッカーシーは、「人工知能とは、知的な機械、特にインテリジェントなコンピュータプログラムを作る科学と工学である」と述べています。

人工知能とは、コンピュータ、コンピュータ制御のロボット、ソフトウェアに、人間の脳のように知的に思考させる技術です。AIの基本的な目標は、考え、学び、人間のように振る舞う機械へ人間の知能を実装することにあります。もう一つの目標は、専門家システム――知的な振る舞いを示し、学習し、説明し、助言を行うシステム――の創造です。

人工知能の基盤となるのは「人工ニューラルネットワーク」であり、これによってAIの目標達成が可能になっています。

人工ニューラルネットワークとは、生物の神経回路網の構造と機能を模した計算モデルのことです。

7. 神経科学

神経科学とは、神経系がどのように発達するのか、その構造、そしてどのような働きをするのかを研究する学問分野です。脳、脊髄、そして感覚神経細胞(ニューロン)のネットワークを含む神経系全体が研究対象となります。技術の急速な進歩と、脳や神経系の仕組みに関する知見の蓄積により、かつては純粋なSFの世界だったことが、今日では「神経科学」と呼ばれる成長著しい科学研究領域となりました。

数ある技術開発の中でも、脳とコンピュータを直接つなぐアプローチは、これまでで最も人間に密着したものです。ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発が進み、アイデンティティ、責任能力、人間拡張の許容限界といった従来の概念に挑戦しようとしています。

また、頭皮の表面から脳波(EEG)信号を記録する非侵襲的な手法も実用化されつつあります。この技術は多くのゲームや車の操縦に活用されているほか、将来的には兵士同士がテレパシーのように意思疎通することにも役立つと期待されています。

8. クリスタルボール・インターネット(未来予測)

この「クリスタルボール」は、星の配置に基づいて占うものではありません。「テキストマイニング」によって今後の出来事を予測するものです。オンライン上に蓄積される膨大なデータを分析し、ブログ、ツイート、Facebookの投稿、Instagramの投稿の洪水の中から人々の感情を読み取ります。この分析を通じて、世界中の人々のムードについて前例のない洞察を得て、将来何が起こるのかを予測できるのです。

研究者たちは株式市場の動きを予測するプログラムも開発しています。Googleは検索クエリを通じて起こりうる状況を予測する強力なプラットフォームであり、例えば求人関連の検索が増加すれば、失業率の上昇を示唆する兆候となります。

9. デジタルウォレット

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

デジタルウォレットとは、個人が電子決済を行えるようにする電子デバイスのことです。パソコンでのオンラインショッピングや、スマートフォンを使った店頭での支払いなどが含まれます。

人類学者によれば、外出時にほとんどの人が持ち歩くのは「鍵」「財布」「携帯電話」の3つだそうです。デジタルウォレットがあれば、後の2つを1台の端末に集約でき、キャッシュレス社会への道が大きく開けます。あらゆるものがデジタル化へ向かうこの時代において、現金もまたその例外ではないのです。

10. コンピュータアイウェア(スマートグラス)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

Snapchatの眼鏡型デバイス「Spectacles」はすでに市場に登場しています。次の10年で、写真を撮影してソーシャルメディアにアップロードする方法は一変するでしょう。スマートなサングラスが、その作業すべてを代わりに担ってくれるのです。

YouGen.tvのデザインチームはまさにそれを実現しようとしています。一人称視点で捉えたデータはソーシャルネットワークへライブ配信でき、他人の目を通して世界を見ることができるようになるため、教育や学習の分野において計り知れないインパクトを持つでしょう。

11. ゲノム配列解析(ゲノムシークエンシング)

次の10年間を変える21のビッグテクノロジー【前編】

ゲノムは人間の細胞の設計図となるものです。ゲノム配列解析とは、ゲノムを構成するDNAヌクレオチド(塩基)の並び順――生物のDNAを形成するA、C、G、Tの順序――を解明することです。

ゲノムには人体に関する多くの隠された情報が刻まれており、その研究は病気の根本原因を解き明かす手がかりをもたらすかもしれません。

ゲノム配列解析はしばしば「解読」に例えられます。ゲノム配列とは、謎めいた言語で書かれた非常に長い文字列なのです。

次の10年のテクノロジーは、このリストにとどまりません。リストはまだまだ続きます。残りのテクノロジーについては、後編の記事で詳しくご紹介します。

  1. 1990年代――テクノロジーが大きく進化した10年間の軌跡:最終章・1999年

    シリーズもいよいよ最終回です。前回のブログでお知らせしたとおり、今回はインフォグラフィックを使って、1990年代最後の年となる1999年のベストガジェットをご紹介します。 それでは、懐かしいガジェットの数々とともに、思い出の旅にお付き合いください。 1999年、90年代を締めくくる名機たち 今回のブログをもって、1990年代のベストガジェットをたどる長い旅路もついに完結となります。 ただし、前回お伝えしたように、これで「進化し続けた1990年代」シリーズが終わるわけではありません。いつもとは少し趣向を変えて、次回の内容はあえて明かさないでおきます。ですがひとつだけお約束できます――それは、1

  2. IBM Watsonが切り拓くヘルスケアの未来:AIテクノロジーがもたらす医療革命

    ここ数十年、ヘルスケア業界は急速な成長を遂げており、その需要は年々増加の一途をたどっています。ライフスタイルの変化、健康意識の高まり、都市化などが、医療サービス需要の拡大を後押しする主な要因です。果たして、延々と続く検査、高額な薬代、長い待ち時間といった苦痛を経験したことのない人がいるでしょうか。これは患者にとってだけでなく、患者対応と研究の両立という高いプレッシャーの中で日々働く医師や看護師にとっても、大きな負担となっています。 あらゆる問題を迅速かつ正確に解決してくれるシステムへの期待は、まさに今こそ求められています。映画「エリジウム」に登場するような、あらゆる病気や身体の不調を治療し、仕