Windows プロビジョニングパッケージの作成方法とデバイスへの適用手順
プロビジョニングパッケージとは、1台または複数のデバイスを業務用途に備えさせるための小型の実行ファイルです。オフィスとプライベートの両方で同じデバイスを使う場合、データの混在を防ぐためにあらかじめ一定のルールを設けておく必要があります。Windows 11/10 には Enterprise Data Protection 機能が搭載されていますが、それでもプロビジョニングによってデバイスにルールを適用しておけば、業務と個人利用の両方に適した環境を簡単に整えられます。本記事では、Windows 10 におけるプロビジョニングパッケージの作成方法と展開方法について詳しく解説します。
Windows プロビジョニングパッケージとは
プロビジョニングパッケージは、デバイスを使用可能な状態にするためのコマンド群と考えることができます。法人向けの機能ですが、個人利用向けにデバイスを初期設定し直す目的でも活用できます。また、複数のデバイスに一括で設定を適用できるため、オフィス用途に限らずさまざまなシーンで役立ちます。たとえば、スマートフォンやタブレットに対して、ロック画面・壁紙・アプリなどに関する同一のルールセットを適用することも可能です。
TechNet によると、「Windows 10 では、新しいイメージをインストールすることなく、迅速かつ効率的にデバイスを構成できるプロビジョニングパッケージを作成できます。これにより、組織内の複数デバイスの構成にかかる時間を大幅に削減できます」とのことです。
プロビジョニングパッケージで構成できる主な項目は以下の通りです。
- アプリケーション: インストールするアプリや、アプリに与える権限を選択できます。
- MDM(モバイルデバイス管理): Microsoft Intune やその他の MDM サービスへのデバイス自動登録に利用できます。
- 証明書: 証明書のインストールと管理を行えます。
- 接続性: Wi-Fi プロファイルを作成・インストールでき、各デバイスで手動設定する手間が省けます。
- ユーザー権限: アプリやデータアクセスに関する権限を指定できます。同じパッケージを使えば、複数のデバイスに同一の権限を付与できます。
- データ: 必要に応じて、ドキュメント・動画・音楽・画像などのファイルも配布できます。
- スタートメニューやその他のカスタマイズ: パッケージ作成時にユーザーへ提供する機能を選択し、スタートメニューやロック画面などをカスタマイズできます。
プロビジョニングパッケージは、メール、SD カード、PC とデバイスの直接接続(推奨)、USB フラッシュドライブのいずれかの方法で配布・適用できます。
プロビジョニングパッケージのメリット
BYOD(Bring Your Own Device)や BYOS(Bring Your Own Service)といった働き方が企業で普及するにつれ、企業データを守るために各デバイスを適切に構成することが不可欠になっています。手動でルールを適用することも可能ですが、従業員が多い場合には非常に手間のかかる作業となります。
そこで活躍するのが、Windows デバイス向けのプロビジョニングパッケージです。プロビジョニングパッケージウィザードを使ってパッケージを作成すれば、そのパッケージを各デバイス上で実行するだけで、ルールなどを複数のデバイスへ展開できます。膨大な作業量と時間を大幅に節約できるのです。
さらに、プロビジョニングパッケージを使えば新規デバイスの初期構成が完了するため、OS イメージの展開(イメージング)が不要になります。MDM や Windows のエンタープライズデータ保護機能に頼らなくても、従業員所有のデバイスを素早く構成できます。
要するに、プロビジョニングパッケージは、会社支給か従業員所有かを問わず、従業員が使用するデバイスの構成や再構成にかかる時間と労力を削減するための強力な手段だと言えます。
Windows でのプロビジョニングパッケージの作成方法
パッケージの作成とデバイスの構成には、Windows Imaging and Configuration Designer(Windows ICD)を使用します。プロビジョニングパッケージは拡張子「.ppkg」を持つファイルで、Windows ICD で選択したカスタマイズ内容が格納されます。
- 新しいプロビジョニングパッケージを作成するには、Windows ICD のスタートページから「New provisioning package」を選択します。
- 次のページで、プロジェクト名と ppkg ファイルの保存先を入力します。
- 「次へ」をクリックし、パッケージを作成する対象の Windows エディションを選択します。デフォルトは「Windows Common」ですが、ここでは Windows 10 を想定しているため「Windows 10」を選びます。
- 「完了」をクリックすると、パッケージへのルール追加を開始できます。
プロビジョニング画面は下記の画像のような外観になります。左ペインの利用可能なオプションから項目を選択すると、右ペインに対応するルールが表示されます。パッケージに含めたい項目を選んでください。

なお、表示されるコンポーネントは選択した Windows エディションによって異なります。ご自身の環境で、画像とまったく同じウィンドウやオプションが表示されるとは限りません。エディションごとに内容が変わるため、目的のオプションが見つからなくても心配いりません。
- パッケージの構成とカスタマイズが完了したら、「Export」ボタンをクリックします。
- 表示されるドロップダウンメニューから「Provisioning Package」を選択します。
- プロジェクト情報の入力ページが表示されます。内容はステップ2で入力したものと同じです。変更したい場合は修正し、そのまま進む場合は次のページへ移動します。
- このステップは任意です。プロビジョニングパッケージを暗号化するかどうかを選択できます。第三者による設定の改ざんを防ぐため、暗号化を有効にすることをおすすめします。
- 次のページで、ppkg ファイルの保存先を選択し、「次へ」をクリックします。
- 「Build」をクリックします。ビルドにはある程度時間がかかるため、その間にコーヒーでも淹れて待ちましょう。
プロビジョニングパッケージを Windows デバイスに適用する
現時点で正式版がリリースされていない段階では、Windows Insider プログラムを通じて試すことができます。選択肢は2つあります。「PC を構成する」か「電話を構成する」のどちらかです。
PC を構成する場合、展開時(deployment)または実行時(runtime)に構成を適用できます。後者のほうが簡単で、プロビジョニングパッケージをダブルクリックし、「許可」をクリックするだけでデバイスの構成が始まります。一方、展開時に PC を構成するには、Windows ICD のコマンドラインを使用する必要があります。
スマートフォンの場合、展開時にプロビジョニングパッケージを適用することはできません。実行時に適用する必要がありますが、手順は PC とほぼ同じです。USB ケーブルでモバイルデバイスを PC に接続し、プロビジョニングパッケージをダブルクリックします。「許可」をクリックすれば、パッケージがデバイスを自動的に構成します。
このように、Windows 10 のプロビジョニングパッケージを活用すれば、デバイスのセットアップと構成が格段に簡単になります。各デバイスを手作業で設定する必要はなく、特に大規模な組織では、従業員が使用するデバイスのプロビジョニングにかかる日数を大幅に節約できるでしょう。
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