PCでNATタイプを変更する方法|UPnP・ポート開放・VPNなど7つの対処法を解説
NAT(ネットワークアドレス変換)とは
ネットワークアドレス変換(NAT)とは、あるIPアドレスを別のIPアドレスにマッピングし直す技術のことです。ネットワークパケットがルーティング機器を通過する際に、IPヘッダー内の情報が書き換えられます。
NATはパケットレベルでIPアドレス情報を変更するため、アドレッシングの状況やネットワークトラフィックへの影響によって、その動作は実装ごとに異なります。また、NAT機器メーカーがその仕様を公開しないケースも多くあります。
NATの目的
NATには主に次のような目的があります。
- セキュリティの強化:プライベートIPアドレスをインターネットから隠すことで、ネットワークを外部からの攻撃から守ります。
- IPアドレスの管理:1980年代以降、ネットワーク上のシステムはIPv4というIPアドレス規格を使用しています。IPアドレスはいわばデバイスの「住所」であり、他のデバイスとの送受信に使われます。一般的なIPアドレスは「xxx.xxx.xxx.xxx」の形式で表され、利用可能なアドレスの上限は約40億です。しかし、多くのアドレスが特殊な用途向けに予約されているため実際に使える数は限られます。例えば2016年だけでも約18億台のモバイルデバイスが販売されており、そこにスマートウォッチ、業務用端末、テレビ、タブレット、PCなどの販売台数を加えると、IPアドレスが足りなくなることは明らかです。NATはこの問題に対する解決策として、ISP(インターネットサービスプロバイダ)が採用している仕組みで、ローカルネットワーク内のすべてのデバイスに単一のグローバルIPアドレスを割り当てます。これにより家庭やオフィスのネットワーク全体が、まるで1台のコンピュータのようにインターネットへアクセスできるようになります。同時に、一定のセキュリティ効果も得られます。
オフィスのLANなどローカルネットワーク内のコンピュータがインターネットとデータを送受信する際には、常にこのNATプロトコルが利用されています。
さらにNATはファイアウォールの役割も担っており、LAN内外を行き来できるデータを判定します。ルーターはNAT経由でデバイスから受けたすべてのリクエストを記録しています。
インターネット接続で起こりうる問題
少し複雑に聞こえますが、ルーターはこの処理を非常に高速に行うため、遅延なくユーザーは気づかずに済みます。ただし、ルーターやISP側のNAT設定が厳しい場合、どの種類のトラフィックをどの程度許可するかによって、問題が発生することがあります。
ネットワーク上のアプリケーションに不具合が出る場合、NATファイアウォールが原因であることが少なくありません。NAT対応ルーターの配下にあるデバイスは通常、エンドツーエンドの接続性を持たないため、一部のインターネットプロトコルに参加できなかったり、インターネットへのアクセス自体に支障が出たりすることもあります。
NATタイプの種類
NATには一般的に3つの設定タイプがあり、オンライン体験の快適さを大きく左右します。
オープンNAT(タイプ1)
制限が一切ないNATタイプです。すべてのデバイスがあらゆる種類のデータをインターネット上で送受信でき、トラフィックを遮断・制御するファイアウォールもありません。データは自由に流れ、アプリも快適に動作します。ただし、ローカルネットワークがハッカーからの攻撃にさらされやすくなる点には注意が必要です。すべてのNATタイプと接続可能で、ゲームのマッチング検索にかかる時間も短く、ラグやホスト移行時の切断が発生する可能性も最小限です。
中程度NAT(タイプ2)
「中程度」に設定すると、1つ以上のポートが開放された状態になります。NATはファイアウォールとして機能し、特定のアプリからの接続のみを許可します。中間的な設定であり、「中程度」または「オープン」のNATタイプを持つユーザーと接続できます。ゲーム検索には多少時間がかかりますが、「厳格」タイプほどではありません。ラグも厳格タイプより少なくなります。
厳格NAT(タイプ3)
最も厳しいNATタイプです。ローカルネットワークに入ってくるデータが強く制限され、ほとんどのサービスがインターネットへの接続に苦労します。多くのルーターで初期設定となっているタイプです。「オープン」NATのユーザーとしか接続できず、ゲーム検索にも時間がかかります。ホスト移行時に約9割の確率で切断され、ラグも発生しやすい点に注意してください。
NATタイプ同士の接続可否一覧
各NATタイプ間の接続可否は以下の表の通りです。
| オープン | 中程度 | 厳格 | |
オープン | ✓ | ✓ | ✓ |
中程度 | ✓ | ✓ | |
| 厳格 | ✓ |
NATタイプを変更する方法
NATを「厳格」から「オープン」に変更するには、通常、ルーターやゲートウェイで特定のポートを転送(ポートフォワーディング)します。なお、同じネットワーク上の複数台のPCやゲーム機で同時に「オープンNAT」を取得することはできません。「中程度NAT」なら2台以上のPCで実現できますが、「オープン」は不可能です。
また、ルーターによってはCone NAT、Symmetric NAT、Full-Cone NATなどの表記が見られることがあります。Cone NATまたはFull-Cone NATを選ぶのが望ましいですが、セキュリティリスクには注意してください。
NATタイプを変更する方法はいくつかありますが、まず最初に試すべきはUPnP(Universal Plug and Play)の有効化です。その前に、プレイしているゲームが必要とするポート番号を把握しておきましょう。
ゲームのポート番号を確認する
ゲームに必要なポート番号は、各ゲームの公式情報やポート開放情報サイトで確認できます。該当するゲームのポートが見つからない場合は、検索エンジンで調べるのが確実です。本ガイドでは例として『Black Ops 3』のポートを使用します。
方法1:ネットワークインフラストラクチャからUPnPを有効化する
ポートとは、ルーターが内外のWebトラフィックを振り分けるためのデジタルチャネルです。UPnPを有効にすると、アプリケーションが自動的にポート転送を要求できるようになり、手動の「ポートフォワーディング」の手間を省けます。結果的には同じことが実現できますが、UPnPならアプリ側がシームレスにポートを要求するため、ポート番号を手入力する必要がありません。
ただし、UPnPには多くのセキュリティ脆弱性が指摘されており、その開放的な性質ゆえにハッカーに悪用されるリスクがあります。また、UPnPは標準化が十分でないため、ルーターによって実装が異なる点にも留意してください。
ルーターでUPnPを有効化する手順は比較的簡単ですが、細部は機種によって異なります。以下は一般的な流れです。静的IPアドレスを設定していない場合、PCとルーターの再接続のたびにこの作業を繰り返す必要がある点にご注意ください。
- 「マイコンピュータ」(エクスプローラー)のアイコンをダブルクリックしてウィンドウを開きます。画面左下の「ネットワーク」をクリックします。
- 「ネットワーク インフラストラクチャ」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。表示されない場合は次のステップへ進みます。
- 「設定」ボタンをクリックします。

- 「追加」ボタンをクリックします。
- 新しいウィンドウが表示されるので、ウィンドウ下部の「追加」をクリックします。

- さらに新しいウィンドウが表示されます。以下のように入力します。
1つ目の欄(サービス名):任意の名前を入力
2つ目の欄:自分のIPv4アドレスを入力(コマンドプロンプトで「ipconfig」と入力すると確認できます)
3つ目の欄:28950を入力し、プロトコルはUDPを選択
4つ目の欄:再度28950を入力
入力後「OK」をクリックします。(※28950はBlack Ops 3のポートです) - もう一度「追加」をクリックします。1つ目の欄に任意の名前(例:「MW3 OPEN NAT」)、2つ目の欄にIPアドレス、3つ目の欄に3074(UDPを選択)、最後の欄にも3074を入力します。
- 必要なポートの登録が完了したら「OK」をクリックします。

- 「適用」→「OK」の順にクリックします。

- 開いたウィンドウをすべて閉じ、ゲームを起動します。うまくいけばNATタイプが「オープン」になっているはずです。
- ゲームを起動してNATタイプを確認します。
なお、ルーターやアクティブな接続を再起動するたびに、上記の手順をやり直す必要がある点にご注意ください。
この方法の難点は、対策が一時的なものであることです。ルーターやモデムを再起動するたびに設定はリセットされます。ただし、手順に慣れれば2〜3分でNATを開放できるので、手軽さでは優れています。
方法2:設定ファイルを編集して恒久的に修正する
この方法を使えば、問題を恒久的に解決できます。
- ブラウザからルーターの管理ページにログインします。
- ルーターの設定ページを開きます。
- 「設定の保存/復元(Save or Restore Configuration)」という項目を探してクリックします。

- 新しいページが読み込まれたら、「今すぐ設定をバックアップ(back up configuration now)」を選択します。
- 数秒待つとウィンドウが表示されるので、ファイルを保存して「OK」をクリックします。
- 万が一に備えて、このファイルのコピーを2つ作成しておきましょう。
- ファイルを開きます(メモ帳で開くのが一般的です)。
- Ctrl + Fキーを押して検索ボックスに「[connection.ini]」と入力します。
- 見つかったら、その下にある「last bind」を探します。
- 「last bind」の下に、以下の行を追記または貼り付けます(※ポート番号はお使いのゲームに合わせて変更してください)。
"bind application=CONE(UDP) port=3074-3075"
続けて、その下に次の行を追記します。
"bind application=CONE(UDP) port=3478-3479"
さらにその下に、もう1行追記します。
"bind application=CONE(UDP) port=3658"
(※使用しているポートはBlack Ops 3のものです)
- ファイルを保存します。
- 再びルーターの管理ページを開き、先ほどと同じ設定タブに移動します。
- オプションから編集した新しい設定ファイルを選択します。
- 「今すぐ設定を復元(Restore Configuration Now)」をクリックし、完了まで待ちます。
- ルーターのページを閉じてルーターを再起動します。ゲームを起動すると、NATが「オープン」になっているはずです。
方法3:ルーター設定からUPnPを有効化する
- Windows + Rキーを押します。
- 「cmd」と入力してEnterキーを押します。
- 「ipconfig」と入力してEnterキーを押します。
- 「デフォルトゲートウェイ」の値を確認して控えます。
- 確認したアドレスをWebブラウザのアドレスバーに入力し、ルーターの設定画面を開きます。
- 「WAN」、「インターネット」、「ローカル」などの類似メニューを探します。
- UPnPの項目を見つけて有効(ON)にし、「保存/適用」ボタンをクリックします。UPnPの項目がない場合は、後述のポートフォワーディングの方法へ進んでください。

- ルーターを再起動します。
その後、問題が解決したかどうかを確認してください。改善しない場合は次の方法へ進みましょう。
方法4:Windowsのネットワーク探索を有効にする
- スタートメニューを開きます。
- 設定を開きます。
- 「ネットワークとインターネット」をクリックします。
- 「共有オプション」をクリックします。
- 現在接続中のネットワークに割り当てられたネットワークプロファイルを展開します。
- 「ネットワーク探索」のセクションで「ネットワーク探索を有効にする」を選択します。併せて「ネットワーク接続デバイスの自動セットアップを有効にする」にもチェックを入れます。

- 「変更の保存」をクリックします。
- 問題が解決したかどうかを確認します。
- 解決しない場合は方法1に戻り、左側の「ネットワーク」からルーターが表示されているかを確認し、そこから手順を続行します。
方法5:ポートフォワーディングを設定する
お使いのルーターにUPnPのオプションがない場合は、ポートフォワーディング(ポート開放)が最善の選択肢となります。
- portforward.comなどのポート開放情報サイトにアクセスし、お使いのルーターの型番を選択します。
- 対象のゲームを選択し、手順を読んだうえでデフォルトのポート番号をメモします。
- ブラウザのアドレスバーにデフォルトゲートウェイのIPアドレスを入力して、ルーターの管理ページにアクセスします。
- ルーターのユーザー名とパスワードの入力を求められます。
- ルーターの管理画面で「ポートフォワーディング(Port Forwarding)」セクションを探します。「詳細設定」の中にある場合もあります。わからない場合はルーターの取扱説明書を参照してください。

- ここでポート転送のルールを作成します。ルーターによっては「追加(Add)」などのボタンを押す必要があります。ルール名は任意の名前を付けて構いません。
- 両方のポート欄に、ゲームのデフォルトポート番号を入力します。
- 「IPアドレス」欄には、自分のPCのIPアドレスを入力します。転送先IP(出力IP/サーバーIP)としても同じIPアドレスを指定し、どの端末に向けるかをルーターに伝えます。
- UDPとTCPの両方を選択します。
- 「保存」または「適用」をクリックし、ルーターを再起動します。
方法6:DMZを設定する
この方法は、セキュリティ上のリスクが高いため推奨されません。あくまで最終手段としてご利用ください。
- コマンドプロンプトを開きます。
- 「ipconfig」と入力します。
- 自分のIPアドレスとデフォルトゲートウェイを控えます。
- ブラウザにデフォルトゲートウェイを入力してルーターの管理画面にアクセスします。
- 「サービス(Services)」をクリックします。
- DMZ(非武装地帯)をクリックします。
- DMZのIPアドレスとして、自分のシステムのIPアドレスを入力します。

- 設定を保存して終了します。
- 正常に機能しているかどうかを確認します。
なお、システムのIPアドレスが変わった場合は、DMZのIP設定も新しいIPアドレスに合わせて更新する必要があります。
方法7:VPNの利用を検討する
VPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)は、自分のコンピュータとVPNサーバーをつなぐ特殊なネットワークです。VPNを使えば、NATのファイアウォールを完全に回避できます。コンピュータから送信されるすべてのデータは暗号化されるため、物理的なネットワークはその内容を認識できず、NATの制限も適用されません。
さらに、VPNを使用するとISPがトラフィックの内容を監視してポート制限を課すことも不可能になります。VPNのトラフィックはすべて、あらかじめ開放されている既定のポートを通過するためです。

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