今まさにあなたを監視しているかもしれない5つのスマートデバイス
数週間前、サムスンのスマートテレビがユーザーの私的な会話を録音している可能性があるとして、メディアで大きな騒ぎが起こりました。同社のプライバシーポリシーには、「個人的またはその他の機密情報を開示しないでください。その情報は音声認識機能の使用を通じて第三者に送信されるデータに含まれます」と記載されていたのです。
サムスンはすぐに「音声認識を無効にするか、テレビをWi-Fiネットワークから切断すればよい」と説明して懸念を鎮めようとしましたが、そもそもそのような条項がプライバシーポリシーに盛り込まれていたという事実は、少なくとも強い不安を覚えるものです。
しかし、私たちを監視しているのはスマートテレビだけではありません。Facebookはクリックの一つひとつを記録し、Googleはウェブ上での移動を追跡し、スマートフォンは気になるほど頻繁に位置情報を保存しています。私たちはジョージ・オーウェルの描いたディストピアにどんどん近づいているのです。さらに、スマートホームやIoT(モノのインターネット)の普及がこの問題に拍車をかけており、今や私たちを監視するデバイスはありふれた存在になりつつあります。
本記事では、そうしたデバイスの中から代表的なものを取り上げ、何が記録され、誰が利益を得ているのかを詳しく見ていきます。
Sense(センス)
Senseとは?
Hello社が製造するSenseは、「眠りと寝室を理解するための世界初のシステム」をうたうデバイスです。寝室内の騒音、光、温度、湿度、空気中の粒子などを監視するベッドサイドデバイスと、枕に取り付けて加速度センサーとジャイロセンサーで睡眠中の動きや睡眠の質を測定する「スリープピル」の2つのパーツで構成されています。昨年、Kickstarterで最も支援を集めたプロジェクトの一つでもありました。
なぜ懸念すべきなのか?
最大の問題は、ベッドサイドデバイスに「常時オン」のマイクが内蔵されている点です。集められたすべての音声はSenseのクラウドに送信され、所有者がいつでも再生できる状態になっています。8時間分のいびき自体は大した情報ではありませんが、プライバシーの観点から見れば悪夢以外の何物でもありません。個人的な話題から、大人同士の親密な会話の音まで、あらゆる音声が所有者のコントロールできない空間へ送り込まれるのです。
さらに懸念すべきは、Hello社のプライバシーポリシーに、データ削除に関する責任を負わない旨が明記されている点です。
「お客様は、サービスによって維持またはアップロードされたデータその他のコンテンツの削除または保存の失敗について、Helloが一切の責任を負わないことに同意します」
つまり、うっかり金銭面の話や個人情報、その他の機密事項を口にしてしまっても、その音声はクラウドに長期間保存され続ける可能性があるのです。
LGスマート冷蔵庫(Smart Thinq)
どんなデバイス?
キッチンの隅にある、食材(やビール)を保管するあの家電……のことです。冗談はさておき、この冷蔵庫は調理や食事の準備に関わるすべてを引き受けることを目指しています。庫内の在庫確認、買い物リストの作成支援、消費期限の接近通知、レシピの提案、スマートフォンとの同期、さらには天気予報の告知までこなします。
なぜ懸念すべきなのか?
スマート冷蔵庫が効果的に機能するためには、Wi-Fiネットワークへの接続が不可欠です。つまり、ハッカーや犯罪者に乗っ取られるリスクを常に抱えているということです。実際、CIA科学技術局のドーン・メイヤーリックス副局長は、コロラド州で開催されたアスペン安全保障フォーラムで「スマート冷蔵庫がDDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)に利用された」と述べ、「少なくとも1台のスマート冷蔵庫が、10万台以上のインターネット接続デバイスと75万通以上のスパムメールが関与した大規模スパム攻撃の一翼を担った」と主張しました。
これはIoT全体のセキュリティに対するより深刻な懸念を浮き彫りにします。今後数年でアクセスポイントは指数関数的に増加し、現在一般家庭で保護すべきアクセスポイントが10未満だったとしても、IoTの普及によって数百に膨れ上がる可能性があります。適切なセキュリティ対策がなければ、冷蔵庫から車載エンターテインメントシステムまで、あらゆる機器が個人データへの侵入経路になり得るのです。
Chevrolet MyLink
どんなデバイス?
MyLinkは、アメリカの自動車メーカーChevrolet(シボレー)が開発した製品で、普通の車をスマートカーへと変貌させることを目的としています。ハンズフリーでのオーディオ操作、電話帳へのアクセス、SiriusXMの利用などが可能です。これ自体は便利な機能ですが、プライバシーの観点から問題なのは、「パフォーマンスデータレコーダー付きバレットモード(Valet Mode)」と呼ばれる内蔵データ収集機能です。
なぜ懸念すべきなのか?
「バレットモード」では自分の車を遠隔監視でき、「パフォーマンスデータレコーダー」はGPS位置情報、速度、回転数(RPM)、ギア、走行距離などのデータを記録します。問題なのは、プライバシーポリシーによってChevroletが運転データをプロファイリングし、「匿名化・集計された形」で第三者に販売できることになっている点です。つまり、他の企業があなたの運転スタイルや走行場所を知ることができてしまうのです。この情報が最終的に警察の手に渡ることはあるでしょうか?十分あり得ます。近い将来、クラウド経由でスピード違反の切符が自動発行される未来を想像するのは決して難しくありません。
iSmart Alarm
どんなデバイス?
iSmart Alarmは、クラウドベースのリアルタイム型「インテリジェント」ホームセキュリティシステムです。2012年にシリコンバレーで創業され、CNetやPC Magなどの有力媒体から複数の賞を受賞しています。自宅各所からのオンデマンド動画ストリーミング、電源コンセントのコントロール、不審者の即時通知、照明の制御、システムのリモート管理などの機能を提供します。
なぜ懸念すべきなのか?
誰もいない自宅の映像をインターネットへストリーミングするという発想には、即座に警鐘が鳴るはずです。データはどこに保存されるのか?誰がアクセスできるのか?犯罪者があなたの在宅パターンを割り出すことはできないのか?侵入通知を受け取ったとき、警報器メーカー側にも同じ通知が届くのだろうか?
こうした懸念は、家庭内のすべての「スマートシステム」に共通して当てはまります。例えば、Wi-Fi接続のエンターテインメントシステムのメーカーが、あなたの音楽の好みに関する情報を入手できるとしたら?電力会社がスマートサーモスタットのデータにアクセスし、エアコンの使用状況を把握した上で料金を値上げするとしたら?
Xbox Kinect
どんなデバイス?
Xbox Kinectは、Microsoftのゲーム機Xbox用の周辺機器です。カメラでプレイヤーの動きを監視・記録し、Windowsやゲームとのインタラクション、音声コマンドの入力を可能にします。当初はNintendo Wiiの人気に対抗するMicrosoftの切り札でしたが、その後、同社のエンターテインメント製品群に不可欠な存在となりました(なお、Kinectは現在生産を終了しています)。
なぜ懸念すべきなのか?
当初、Microsoftはこれを「常時オン」のデバイスにする意向でしたが、ユーザーの強い反発を受けました。その理由は明白で、デバイスのカメラの驚異的な性能にあります。Microsoft自身が次のように誇っています。
「MicrosoftのXbox Oneシステムには、毎秒30フレームでプレイヤーを監視できる高解像度カメラが搭載されています。『Time of Flight』と呼ばれる技術により個々の光子の動きを追跡し、皮膚の色の微細な変化を捉えて血流を測定、心拍数の変化を算出できます。ソフトウェアは可視光線または赤外線下で最大6人を同時に監視し、視線や基本的な感情状態まで記録します」
Microsoftに自分の感情状態を常時把握されることに抵抗がない人は、おそらくいないでしょう。
誰が利益を得ているのか?
プライバシー関連の問題のほとんどと同じように、大きく分けて2つのグループが利益を得ています。広告主と犯罪者です。
確かに、これらのガジェットは娯楽、実用性、健康といった形でユーザーにメリットをもたらすことを目指しています。しかし同時に、メーカーや広告主にとっても明確なメリットがあるのです。メーカーはユーザーデータを収集して第三者に販売し、その第三者はあなたの好みや嫌いなものを反映した消費者プロファイルを構築できます。そして、あなたの嗜好や気分、時間帯に応じて異なる広告を表示するわけです。結局のところ、両者があなたの製品利用から多額の利益を得ているのです。
さらに、こうした接続性の高まりは犯罪者にも利益をもたらします。家庭のネットワークや企業インフラはハッキングされて悪用され、身元情報は盗まれ、マルウェアやコンピュータウイルスが拡散されます。なぜそんなことをするのでしょう?理由は企業自身と同じく、お金です。あなたのデータは、企業社会においても裏社会においても非常に高い価値を持っているのです。合法・非合法を問わず、多くの組織がそのデータを手に入れるために極端な手段すら厭いません。
あなたはどう思いますか?
冷蔵庫に牛乳がどれだけ残っているか、夜に何回目を覚ましたかを知るために、これらのリスクに身を晒す価値はあるのでしょうか?
これらのスマートガジェットは本当にユーザーのために設計されたものでしょうか?それとも、企業があらゆる形で私たちを搾取するために開発した戦略なのでしょうか?前回の走行中の平均回転数を教えてくれる車が、本当に必要でしょうか?
皆さんの意見をお聞かせください。コメント欄でフィードバックをお待ちしています。
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