ハイレゾ音源は「音楽の未来」か「詐欺」か?その実態を徹底解説
一般論として、オーディオマニアはお金を使いやすい存在だと言われます。しかし、本物のオーディオファイルは、購入する機材に関しては意外にも目が肥えているものです。
彼らは、見た目は華やかでも価格に見合わず音質も平凡だと評判のBeats by Dreのヘッドホンに200ドル(約3万円)を投じたりはしません。むしろ、本当に重要な部分にお金をかけ、数十万円規模の超高級ヘッドホンやスピーカーを購入する傾向があります。
では、デジタルオーディオプレイヤーの機能一覧に「ハイレゾリューションオーディオ対応」と謳われているだけで、400ドル(約5万円)を払う価値はあるのでしょうか? これは非常に良い問いです。
ハイレゾリューションオーディオとは何か?
冒頭で最も重要な点を強調しておきます。ハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)は、ロスレス(可逆圧縮)音源ではありません。
CDからリッピングしてMP3などの非可逆圧縮形式に変換すると、データは圧縮されます。この利点は、5分の曲を約4MBで保存できることです(CD-DA形式なら約50MB必要になります)。
しかし欠点もあります。圧縮の過程で、元の音源が持つ豊かな情報の一部が失われてしまうのです。
一方、ロスレス音源とは、非可逆圧縮を経ていないため、元のオーディオデータをすべて保持している音源のことです。CDをFLACのようなロスレス形式にリッピングすれば、その音声は何ひとつ失われていないため、事実上オリジナルのCD-DAと同一になります。これが「ロスレス(無損失)」と呼ばれる所以です。
対照的に、ハイレゾはCD-DAよりも優れているとされる音源です。そう、聞き間違いではありません。「優れている」のです。では、何が優れているのか? その鍵となるのが、まったく異なるビット深度(量子化ビット数)とサンプリング周波数です。
近年までハイレゾには明確な基準が存在しませんでしたが、2014年6月、ワーナー・ミュージック、ユニバーサル ミュージック グループ、ソニーの3社が共通の定義で合意したことで状況が変わりました。それ以前は、CD-DAの上限である44.1kHz/16bitを超えるサンプリングレートとビット深度を持つ、ということだけが確かな情報でした。
現在、ハイレゾには音源の種類に応じて4つの規格がありますが、一般的には192kHz/24bitが標準とされています。
その結果として得られるのは、ほぼ完璧に近い音質であり、他のどのメディアよりもスタジオでの録音に近いサウンドだとされる音です。ハイレゾは、CDには不可能な形でスタジオのマスタートラックを忠実に再現する――そう謳われています。
補足:ハイレゾはFLACなどのロスレス形式で保存されることが多いですが、ロスレス音源が必ずしもハイレゾであるとは限りません。
批判者たちは何と言っているのか?
周りに尋ねてみると、興味深い答えが返ってきます。ハイレゾの利点はごくわずかだとする人もいれば、ほぼ詐欺に近いと非難する人さえいます。
Xiph.org Foundationはブログ記事の中で、次のように述べています。
「192kHzのデジタル音楽ファイルには何のメリットもない。むしろ中立的ですらない。実用上の忠実度はわずかに劣るし、超音波成分は再生時にはむしろ害になる。」
彼らは24bit/192kHz音源についてはさらに手厳しく、「存在しない問題への解決策であり、意図的な無知と人を騙すことに基づいたビジネスモデルだ」とまで言い切っています。
実際、ハイレゾがCD音源よりも知覚できるほど優れているという証拠はほとんどありません。むしろ、証拠は逆のことを示唆しているようです。
2007年にブラッド・E・マイヤー(Brad E. Meyer)とデヴィッド・R・モラン(David R. Moran)が発表した論文では、音響エンジニア、「熱心なオーディオファイル」、音響録音を学ぶ大学生を対象に、CD音質の音源と自称ハイレゾ音源を聴き比べさせる二重盲検試験が行われました。
結果はどうだったでしょうか?CD音質とハイレゾの間に、知覚できる差は認められませんでした。とはいえ、今なお何千人ものオーディオファイルがハイレゾを信奉し、そのために割高な料金を喜んで支払っています。
ハイレゾを再生するには何が必要?
ハイレゾを聴きたいなら、かなり高価な専用機材を買うしかありません。こればかりは避けられません。
おそらく最も有名なハイレゾプレイヤーは、ミュージシャンのニール・ヤングが2014年に発表したPonoMusicの「PonoPlayer」でしょう。
Android搭載のPonoPlayerは399ドル(約5万円)で、64GBのストレージを備えます。十分に聞こえますが、ハイレゾファイルは非常に容量が大きいことを忘れないでください。PonoPlayerの魅力のひとつは、その風変わりで愛嬌のあるデザインです。ハイエンドのオーディオ機器というより、フィッシャープライスの子供向け玩具のように見えると評されることもあります。
ArsTechnicaのようなメディアはPonoPlayerを「蛇の油(インチキ商法)」とこき下ろしましたが、Leo Laporteのような人物は絶賛し、既存のオーディオ機器の水準からの大きな進歩だと称賛しています。
もう少し予算に優しい選択肢がFiiO X1です。わずか100ドル(約1万5千円)で入手できます。見た目はそれらしく、レビューもかなり好評ですが、この価格帯を実現するためにどこかで妥協していることは明らかです。たとえば、内蔵ストレージが一切なく、microSDカードを別途購入する必要があります。
ソニーもハイレゾプレイヤー市場に参入しており、Walkman NWZ-A17はAmazonで300ドル(約4万円)前後で販売され、PonoPlayerとFiiO X1の中間に位置します。
FLACをはじめとする多彩なロスレス形式に対応しているだけでなく、64GBのストレージ、Bluetooth対応、そして50時間という長時間バッテリー駆動も備えた一台です。
ハイレゾ楽曲はどこで手に入れる?
仮にあなたがハイレゾに飛びついたとしましょう。プレイヤーを手に入れたら、次は再生する楽曲が必要です。当時の最有力候補は、PonoMusicのダウンロードサービスでした。
ラインナップは他の多くのサイトに匹敵しますが、多くのアルバムが約16ドル(2,000円前後)と決して安くありません。すべての楽曲がハイレゾ形式で提供されていたわけではありませんが、ハイレゾ版が登場した際には、以前購入した楽曲を無償でアップグレードできると約束されていました。
なお、Ponoのダウンロードストアはその後閉鎖されています。現在ハイレゾ音源を購入したい場合は、日本国内であればmoraやe-onkyo music、海外であればQobuzなど、各種ハイレゾ対応の配信サービスを利用するのが一般的です。
あなたはハイレゾを選ぶ?
媒体の価値はしばしば主観的なものであることを忘れてはいけません。たとえば、アナログレコードの方がデジタルより優れていると感じる人もいれば、断固として反対する人もいます。
ハイレゾには批判者も少なくありませんが、同時に熱狂的な支持者も存在し、彼らはこの「より高品質」とされる音楽のためなら、割高な料金を喜んで支払うのです。
あなたはどうですか? ハイレゾ音楽を聴いていますか? プレイヤーの購入を検討していますか? それとも、この一連の流れ全体に懐疑的ですか? ぜひコメント欄で教えてください。
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