ポータブルRaspberry Piセットアップの作り方:モデル選びから電源構成まで徹底解説
省電力でありながら十分な性能を発揮するRaspberry Piシングルボードコンピュータは、バッテリー駆動のポータブルプロジェクトに最適なプラットフォームです。本記事では、適切なPiモデルの選び方から、ディスプレイ・バッテリー・入力デバイスの選定まで、ポータブルPiセットアップの構築に必要な知識をすべて解説します。
プロジェクトに合ったRaspberry Piモデルの選び方
ポータブルPiセットアップを構築する際、消費電力はバッテリー持続時間に直結するため、最重要ポイントとなります。現在のRaspberry Piラインナップの消費電力は以下のとおりです。
| モデル | 必要な電源 | 最適な用途 |
|---|---|---|
| Raspberry Pi Zero 2 W | 2.0A | 軽量コンピューティング/IoT |
| Raspberry Pi 4 Model B | 3.0A | 汎用 |
| Raspberry Pi 5 | 5.0A | 高性能コンピューティング |
Raspberry Pi 5は現時点で最も高性能なモデルですが、その分だけ消費電力が大きく、動作には専用の電源が必要になります。
持ち運び前提のRaspberry Piを構築するなら、Raspberry Pi 4がおすすめです。クアッドコアCPUと高性能GPUを搭載し、ウェブブラウジングからコーディングまで快適にこなしながら、市販のモバイルバッテリーでも駆動できる絶妙なバランスを備えています。
一方、データロガーや簡易フィールドコンピューターのように基本処理だけで十分な場合は、Pi Zero 2 Wの方が適しています。消費電力が大幅に少なく、Wi-Fi、Bluetooth、GPIO接続もサポートしています。
ポータブルPiの電源確保
すべてのRaspberry Piモデルは5V(標準USB電圧)で動作しますが、必要な電流(アンペア数)はモデルによって異なります。モバイルバッテリーなどを選ぶ際は、電圧と電流の両方を考慮しましょう。両者の積が総電力(ワット)になります(電力=電圧×電流)。たとえば、5V・5Aが必要なPi 5の場合、25Wの電力が必要です。
ここでは、それぞれ異なるニーズに対応した3つの信頼性の高い電源ソリューションを紹介します。
Waveshare UPS Module 3S
Waveshareの無停電電源モジュール「UPS Module 3S」は、18650リチウムイオン電池3本(別売り)を使用して、最大5Aの安定した5V出力を実現します。電力を大量に消費するPi 5でも問題なく駆動できます。
画像出典:Amazon
特筆すべきはI2Cインターフェースで、バッテリーの電圧・電流・電力をリアルタイムで監視できます。消費電力の管理が重要なプロジェクトで非常に便利です。さらに、過充電・過放電・短絡から基板を守る保護回路も完備しています。
PiSugar S Pro
Pi 4やPi Zeroユーザーがスマートなソリューションを求めるなら、PiSugar S Proが最適です。5000mAhのバッテリーパックで、Raspberry Piシリーズ専用に設計されており、基板の裏面に直接取り付けられます。
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PiSugar S Proは5V・3A出力に対応しており、Pi 4やそれ以下のモデルにぴったりです。カスタムアクションを割り当てられるプログラマブルボタンまで搭載しています。ただし、ソフトウェア経由でのバッテリー残量確認には非対応なので注意してください。
汎用モバイルバッテリー
Pi 4やそれ以下の省電力モデルであれば、一般的なUSBモバイルバッテリーでも十分に対応できます。5V・3A出力に対応した製品、たとえばLOVELEDIの15000mAhモバイルバッテリーなどを選びましょう。コストパフォーマンスに優れ、他のデバイスにも流用できるのが大きなメリットです。
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ただし、Power Delivery(PD)対応モバイルバッテリーには注意が必要です。PD対応品は25W以上の出力が可能で、スペック上はPi 5を動かせそうに見えますが、これは電圧を5V以上に引き上げることで実現しています。Raspberry Piは正確に5Vで給電される必要があるため、PD方式では動作しません。
ポータブルPiのセットアップ方法
電源を接続すれば、Raspberry Piは自動的に起動します。次はいよいよ、ポータブルPiとの操作方法を決める段階です。ニーズに応じていくつかのアプローチがあります。
ノートPCや携帯ゲーム機のようなものを作りたい場合は、ディスプレイと入力デバイスをPiに直接接続しましょう。ディスプレイには公式の7インチ「Pi Touch Display」が有力候補です。Pi本体から直接給電できるため、セットアップがシンプルになります。より大きな画面が必要なら、内蔵バッテリー搭載のUSBモニター(ASUS ZenScreen 15.6インチなど)が便利です。システム全体の消費電力を増やすことなく使用できます。
Pi Touch Display
ただし、SSH経由でリモート接続する運用にするなら、専用ディスプレイは必ずしも必要ありません。データ収集やサーバー管理といった多くのタスクは、コンソールのみのアクセスで十分対応できます。フルのグラフィカルデスクトップ環境が必要な場合は、VNCまたはxrdpを設定してリモートデスクトップアクセスを利用しましょう。
インターネット接続については、スマートフォンのテザリング(モバイルホットスポット)へ自動接続するようRaspberry Piを設定し、Tailscaleを組み合わせれば、あらゆるデバイスから安全なリモートアクセスが可能になります。これにより、スマホのモバイルSSH/VNCクライアントからでもPiに接続できます。
以上が、自作ポータブルRaspberry Piの構築方法です。もちろん、優秀なPiといえど常に最善のツールとは限りません。より高い処理能力、洗練された体験、扱いやすいフォームファクターが必要なら、Linux搭載の専用ノートPCの方が適している場合もあります。
カバー画像:David Morelo
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