PCの電源ユニット(PSU)がうるさいときの対処法9選
パソコンのパーツの中で、電源ユニット(PSU)はおそらく最も地味な存在です。そのため見落とされがちで、自作PCの予算配分でも最後に回りやすい部分です。しかし実は、PCの騒音トラブルの原因として最も多いのがこの電源ユニットだったりします。本記事では、PSUが発生しうるさまざまな騒音の原因と、その静音化対策を詳しく解説します。
1. PSUファンに異物が挟まっていないか確認する
PCから大きな異音がする場合、まず最初に行うべきはケースを開けて、PSUファンの羽根に障害物がないかを確認することです。保護グリルがあるにもかかわらず、ケーブルなどがファンに接触してしまうケースは決して珍しくありません。この場合は、ファンに触れているものを固定・整理するだけで簡単に解決できます。
ただし、問題の原因がPSU内部にある場合は話が別です。絶対に自分で電源ユニットを分解しようとしないでください。内部の大型コンデンサには、電源を切った状態でも人体に致命的な電荷が残っている可能性があります。必ずメーカーの正規サービスセンターに持ち込み、専門家に任せましょう。
2. ファンが摩耗していないか確認する
明らかな障害物がないのに耳障りなブーンという音や異音が続く場合、ファンベアリングの摩耗が疑われます。古いモデルや廉価版のPSUには、寿命が近づくと不快な音を発しやすいスリーブベアリング式ファンが採用されていることがあります。対処法としては、ベアリングへの注油し直しか、ファン本体の交換が挙げられます。しかし、いずれもPSUの分解が必要になるため、前述のとおり自己修理はおすすめできません。交換を検討する段階になったら、専門業者への依頼か新しいPSUへの買い替えを考えましょう。
3. ケース取り付け用ネジを確認する
当たり前に思えるかもしれませんが、PSUの固定ネジを締め忘れたり、本数を減らして取り付けたりするのは自作PCではよくあるミスです。PSUがケースにしっかり固定されていないと、内蔵ファンの回転による振動がケース全体に伝わり、大きな音になってしまいます。不足しているネジを追加し、緩んでいるネジを締め直すだけで改善します。
4. 吸気口・排気口の目詰まりを確認する
空気を吸い込むPCパーツには、通常、防塵用のメッシュフィルターが付いています。これらのフィルターは時間の経過とともにホコリを溜め込み、目詰まりを起こします。PSUのファンも例外ではなく、むしろケース底部から空気を吸い込む構造上、詰まりやすい傾向があります。さらにPCを床に置いていると状況は悪化します。
吸気口が塞がれると、ファンは必要な風量を確保するために高速回転せざるを得なくなり、結果として騒音が増大します。定期的にPSUのフィルターや吸気口を掃除しましょう。また、ケース背面を壁にぴったり付けたり、排気口をふさぐような置き方をしたりするのも避けてください。排熱が妨げられると筐体内に熱がこもり、ファンの回転数上昇につながります。
5. カーペットの上に直接置かない
「カーペットの上に置かない」というのはノートPCだけの話ではありません。デスクトップPCにも同じことが言えます。厚手のカーペットを敷いている部屋では、PCケースをデスクの上に置くか、台車やスタンドを使って地面から浮かせるようにしてください。厚いカーペットはケース底面のPSU吸気口を塞ぎ、騒音の原因になります。
6. PSUの取り付け方向が正しいか確認する
これは自作初心者だけでなく、大手テックメディアでもたまに犯してしまう意外とよくあるミスです。すべてのデスクトップPCケースは、吸気と排気が正しい方向に流れるよう、最適な冷却を実現できる特定の向きでPSUを取り付けるよう設計されています。逆向きに取り付けると重要なエアフローが遮断され、過剰なファン騒音として現れます。さらに深刻なことに、発熱の蓄積による火災リスクも高まるため注意が必要です。
7. コイル鳴きの可能性も考慮する
一般的な対策を一通り試しても解決しない場合、考慮すべき原因があります。それが「コイル鳴き」です。コイル鳴きは故障したファン並みにうるさくなることがあり、しかも診断が非常に難しいことで知られています。症状としては、PCの負荷に応じて強弱しながら響く鋭いビビリ音や唸り音として現れます。発生源はPSU基板上のインダクタ(電源コイル)で、GPUやマザーボード、PSUに順番に耳を近づけていくことで、どのパーツが原因かを切り分けられます。
これらの電源変換部品は、流れる高周波電流に同期して微細に振動しており、振動数が部品固有の共振周波数と一致すると「ジー」という鳴き音が発生します。優れた設計のPSUでは、部品に制振材や吸音材を施すなどの工夫によってこの現象を抑えています。有名メーカーのハイエンドモデルで著しいコイル鳴きが発生した場合、無償交換などのサポートを受けられることもあります。
8. PSUを効率の良い負荷帯で使う
PCの電源ユニットは、コンセントからの交流(AC)をPCパーツが必要とする直流(DC)へ変換する役割を担っています。このAC-DC変換にはどうしてもロスが伴い、そのロスは熱として放出されます。そしてPSUは、定格出力の40〜60%程度の負荷で動作しているときに最も高い変換効率を発揮する特性を持っています。
この効率の良い範囲から外れた負荷では変換効率が落ち、余分な熱が発生します。例えば1000W定格のPSUで950Wを供給し続けるような状態は非効率です。この熱は電源部品から放散され、冷却ファンを高回転で動かす要因となり、騒音増加につながります。
対策の一つは、PCの消費電力を計算したうえで、あえて余裕のある容量のPSUを選ぶことです。多くの電源ユニットはシステム負荷が定格の30%程度に達するまでファンを回さない「セミファンレス」設計を採用しているため、容量に余裕を持たせればファンがほぼ停止したまま運用できます。効率面では最適とは言えませんが、静音性という点では非常に有効な手段です。
9. アンダーボルティングで静音化を図る
アンダーボルティングはオーバークロックの対極にあたる手法です。簡単に言えば、CPUやGPUといった主要処理装置に供給する最大電圧を引き下げるチューニングのことです。具体的な手順については、専用のアンダーボルティングガイドを参考にするとよいでしょう。
各パーツへの供給電圧を下げると消費電力が減少し、それに伴ってPSUが処理する負荷と発熱量も低下します。結果としてPC本体とPSUの両方が大幅に涼しく静かに動作するようになります。作業にはある程度の手間と知識が必要ですが、ここまで紹介した方法で効果が出ない場合の強力な選択肢となります。
まとめ:信頼できる良質なPSUへの投資が結局は一番
ここまで紹介した対策である程度の改善は期待できますが、あまりに安価な電源ユニットを使っている場合は、根本的な解決が難しいのが現実です。低品質なPSUはシステム不安定化や重要パーツの故障の最大の原因であり、長期的に見てリスクが大きすぎます。電源ユニットの寿命を見分ける方法を知っておくことも大切ですし、PCに合った適切なPSUの選び方ガイドもぜひチェックしてみてください。
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