イーサネットスイッチ・ハブ・スプリッターの違いとは?正しい選び方を徹底解説
イーサネットポートが足りず、1本のLANケーブルを2本分として使いたい――そんなとき真っ先に思い浮かぶのが「イーサネット分割」ではないでしょうか。選択肢としては、ハブ、スプリッター(分配器)、スイッチの3つがあります。それぞれ特徴が異なるため、購入前にどれが自分にとって最適なのかを見極めることが重要です。この記事では、イーサネットスイッチとハブとスプリッターの違いを詳しく解説し、後悔しない選択ができるようサポートします。
イーサネットスイッチ・ハブ・スプリッターの概要
これらの機器はいずれも、1本のLANケーブルから複数のイーサネット機器を接続できるようにするものです。違いは「どれだけ賢くそれを実現するか」にあります。購入する機器の性能をしっかり理解しておくことが大切です。
イーサネットスプリッター(分配器)
まずは、「1つのイーサネット接続を複数に増やしたい」と考えて、つい買ってしまいそうなスプリッターから見ていきましょう。(ヒント:購入はおすすめしません!)
イーサネットスプリッターは一見地味な機器です。3つのポートを備えた小型デバイスで、片側に2つ、反対側に1つあります。短いLANケーブルは余っているけれど、長いケーブルは1~2本しかないという場面では役立つことがあります。
注意:イーサネットスプリッターは、実際には接続できる機器の数を増やすものではありません。また、反対側でも「分割を元に戻す」ためにスプリッターが必要になるため、必ず2個1組で使用します。
具体例
ある部屋に家庭用ルーターがあり、別の部屋にデスクトップPCとゲーム機があるとします。両方を有線接続したいのに、各部屋にあるのはLANポート1つだけ。そんなときは、ルーターから2本のケーブルを引き、両方をスプリッターにつないで壁のポートへ差し込み、もう一方の部屋でも同じことを逆に行えば、2台の機器を接続できます。スプリッターにできるのは、ほぼこれくらいです。
スプリッターの大きな欠点は、Cat 5e LANケーブル内で使用される芯線の数が減り、通信速度が1000Mbpsから100Mbpsに低下することです。これは多くの家庭用インターネット回線とほぼ同等の速度ではありますが、1本のケーブルで2つの接続を賄う代償として性能を犠牲にしていることになります。
イーサネットスプリッターは安価で手軽な解決策に見えますが、ネットワークトラフィックが遅くなるという結果をもたらします。これはイーサネット接続した機器のパフォーマンスに影響する可能性があります。さらに、1本のケーブルあたり最大2台までしか接続できないという制限もあります。
限られた状況では有用な選択肢ですが、ほとんどの場合はイーサネットスイッチかハブを選ぶ方が賢明です。
イーサネットハブ
次はイーサネットハブです。ハブはスイッチ(後述)の登場により、すでにほぼ時代遅れとなっています。ルーターに1本のケーブルを接続すれば、残りの機器は「分割」作業なしで他のポートに接続できます。便利に聞こえますが、実はハブはスプリッターと同じくらい「頭が良く」ありません。
ハブを、ネットワークトラフィックで満たされた巨大な反響室(エコーチェンバー)だと想像してみてください。パケットは中に入り、接続先の機器を探して叫び続けるようなものです。データが1つのポートに入ると、ハブはそれを接続されているすべての機器にそのまま送出します。技術的な言葉で言えば、ハブでは機器が同時にデータの送受信を行えません。これは半二重通信と呼ばれる方式です。
その結果、データの滞留や衝突(コリジョン)が頻発し、貴重な帯域を浪費してネットワーク全体が遅くなります。特に複数の機器を同時に使用している場合に顕著です。
なお、イーサネットハブはスイッチと外見が非常によく似ているため、本当に欲しいのがスイッチなのにハブを買ってしまうミスには注意しましょう。
イーサネットスイッチ
1本のLANケーブルを2本分にするという本来のテーマに戻ると、このガイドの主役はイーサネットスイッチです。使い方は非常にシンプルで、スイッチの1つのポートをLANケーブルでルーターに接続し、残りのポートに各機器をつなぐだけ。ハブと同じように使えます。
しかし、スイッチは実際に「考える」ことができます。データが1つのポートに入ると、スイッチはそれがどこへ向かうべきかを学習し、該当するポートにのみ送出します。一度スイッチングテーブルが構築されれば、ハブのような無駄なブロードキャストは発生せず、内部テーブルに基づいてデータの宛先を即座に判断できます。要するに、1つのイーサネットポートが複数のポートに変わるのです。
さらに、スイッチは機器間の全二重通信を可能にします。つまりデータの送信と受信を同時に行えるため、ネットワーク全体が高速化されます。
嬉しいことに、イーサネットスイッチは決して高価ではありません。15ドル前後(日本円で2,000~3,000円程度)から入手できます。
別の選択肢を試してみるのも一案
複数の機器を接続したい場合、LANケーブルは選択肢の1つにすぎません。同じ信号を複数の機器で共有する方法はいくつもあり、Wi-Fiを活用する手段もあります。
ここでは、従来のネットワークスプリッターの代わりとなる3つの方法を紹介します。
1. メッシュWi-Fi
メッシュWi-Fiルーターは、単一点からWi-Fi信号を飛ばすのではなく、サテライトとも呼ばれる複数のアクセスポイントを使用します。これらのサテライトがルーターの信号を受け取り、再送信します。
すべてのアクセスポイントが同一の信号を送信しているため、移動してもWi-Fi接続を切り替える必要がありません。自宅やオフィスでWi-Fiの死角(デッドゾーン)に悩まされているなら、メッシュWi-Fiが最適かもしれません。人気のメッシュルーターには、Google Nest Wi-Fi、Netgear Orbi、eeroなどがあります。
2. 電力線通信(PLC / EOP)
EOP(Ethernet Over Power Line)は、建物の既存の電気配線を使って内部ネットワーク(LAN)のデータを伝送する方式です。
EOPは送信機と受信機で構成されます。送信機をコンセントに差し込み、LANケーブルでルーターに接続します。受信機もコンセントに差し込み、LANケーブルで接続したい機器につなぎます。
EOPの送信機は信号を高周波帯域に変換して電力線に乗せ、受信機がその信号を復調します。これにより、追加の配線工事なしで、イーサネット対応機器とルーターの間に物理的な接続が確立されます。互換性のあるEOPアダプターを購入すれば、自宅やオフィスの複数箇所に受信機を設置することも可能です。
3. MoCA
同軸ケーブルがすでに敷設されているなら、MoCAアダプターを使って既存の配線経由でイーサネット信号を送ることができます。ケーブルテレビの配線が済んでいる住宅なら、通常はすでに同軸ケーブルが入っています。つまり、MoCAアダプターをルーターに接続し、インターネットにアクセスしたい各部屋の同軸ポート付近にもう1台設置できる可能性があります。
同軸ケーブルでさらに多くの機器を接続したい場合は、同軸スプリッター(分配器)を併用するとよいでしょう。
まとめ
イーサネットスイッチ、ハブ、スプリッターの違いがわかったところで、自分に合った機器も判断できるはずです。ほとんどの場合におすすめなのはイーサネットスイッチです。最も汎用性が高く、コストパフォーマンスにも優れたソリューションだからです。ゲーマーの方は、オンラインゲームにはイーサネットとWi-Fiのどちらが適しているのかもあわせてチェックしてみてください。また、2台のPCを直接つなぎたいだけなら、LANケーブル1本で2台のPCを接続する方法のガイドも参考になります。
-
プロキシとVPNの違いとは?仕組み・安全性・速度を徹底比較
VPNとプロキシサーバーのセキュリティ面における根本的な違いは、「データを暗号化できるかどうか」にあります。 企業へのサイバー攻撃が50%増加し、アメリカの家庭の73%がセキュリティとプライバシーに不安を抱えている昨今、デジタル上のトラブルを防ぐためにプロキシやVPNを活用する人が多いのも自然なことです。この2つの技術は似たような役割を果たしますが、それぞれの違いを理解することで、自分のブラウジングニーズに最も適した選択ができるようになります。本記事では、プロキシとVPNの違いについて詳しく解説し、それぞれがどのように動作するのかをわかりやすくご紹介します。 インターネットのプライバシーを強化
-
CPUとGPUの違いとは?仕組み・性能・役割の違いを徹底解説
CPUとGPUは、コンピューターシステムにおいて欠かせない2つの重要なデバイスですが、その働きはまったく異なります。CPU(中央処理装置)は、演算、論理、制御、入出力などの処理に従ってプログラムから与えられた命令を実行するマイクロプロセッサです。一方、GPU(グラフィックス処理装置)は、コンピューター画面に画像を描画するための内部デバイスです。CPUの設計思想は「低レイテンシ(低遅延)」を重視しているのに対し、GPUは「高いスループット(処理性能)」を持続的に提供することに重点を置いています。 この2つはまったく異なる存在ですが、コンピューターを正常に動作させるためにはどちらも同じくらい重要で