C++でクラスの継承を防ぐ方法|finalクラスをシミュレートするテクニック
継承を防ぐ「finalクラス」とは
クラスの継承を禁止する仕組みは、一般に「finalクラス」と呼ばれます。JavaやC#では final キーワードを使うことで簡単に実現できますが、C++11より前のC++にはこれに相当する直接的な機能がありません。そこで本記事では、フレンドクラスと仮想基底クラスを組み合わせることで、C++でもfinalクラスと同じ効果を実現するテクニックを紹介します。
基本的なアイデア
まず、デフォルトコンストラクタを private にした補助クラス「MakeFinalClass」を作成します。そして、このクラスに対して、継承を許可したい本体クラス(MyClass)だけを friend として宣言します。
- MyClassはMakeFinalClassのフレンドであるため、privateなコンストラクタにもアクセスでき、正常にインスタンス化できます。
- 一方、MyClassをさらに継承しようとする派生クラス(MyDerivedClass)からは、MakeFinalClassのprivateコンストラクタにアクセスできないため、コンパイルエラーが発生し、継承が阻止されます。
なぜ仮想基底クラスにするのか
もう一つの重要なポイントは、MakeFinalClassを仮想基底クラス(virtual base class)として継承することです。仮想基底クラスのコンストラクタは、直接の派生元クラスではなく、最も派生した具象クラス(ここではMyDerivedClass)側から呼び出されるという仕様になっているためです。これにより、派生クラスの生成時に必ずMakeFinalClassのコンストラクタ呼び出しが試みられ、アクセス制限によってエラーとなる仕組みが成立します。
例:派生クラスを作成しようとすると失敗する
#include <iostream>
using namespace std;
class MyClass;
class MakeFinalClass {
private:
MakeFinalClass() {
cout << "This is constructor of the MakeFinalClass" << endl;
}
friend class MyClass;
};
class MyClass : virtual MakeFinalClass { // このクラスがfinalクラスになる
public:
MyClass() {
cout << "This is constructor of the final Class" << endl;
}
};
// 派生クラスを作成してみる
class MyDerivedClass : MyClass {
public:
MyDerivedClass() {
cout << "Constructor of the Derived Class" << endl;
}
};
main() {
MyDerivedClass derived;
}出力結果
In constructor 'MyDerivedClass::MyDerivedClass()': [Error] 'MakeFinalClass::MakeFinalClass()' is private
このように、MyClassを継承したMyDerivedClassをインスタンス化しようとすると、MakeFinalClassのコンストラクタがprivateであるためコンパイルエラーになります。つまり、継承に失敗し、MyClassが事実上のfinalクラスとして機能していることが分かります。
例:MyClass自体は問題なく使える
MyClassはMakeFinalClassのフレンドクラスなので、そのprivateコンストラクタへアクセスできます。そのため、MyClassのオブジェクトは通常どおり作成可能です。
#include <iostream>
using namespace std;
class MyClass;
class MakeFinalClass {
private:
MakeFinalClass() {
cout << "This is constructor of the MakeFinalClass" << endl;
}
friend class MyClass;
};
class MyClass : virtual MakeFinalClass { // このクラスがfinalクラスになる
public:
MyClass() {
cout << "This is constructor of the final Class" << endl;
}
};
main() {
MyClass obj;
}出力結果
This is constructor of the MakeFinalClass This is constructor of the final Class
実行すると、まず仮想基底クラスMakeFinalClassのコンストラクタが呼び出され、続いてMyClassのコンストラクタが実行されます。エラーなくオブジェクトが生成できるのは、MyClassだけです。
補足:C++11以降を使っている場合
C++11以降では標準で final 指定子が導入されているため、class MyClass final { ... }; のように宣言するだけで継承を禁止できます。本記事で紹介した手法は、古い規格のC++環境や、仮想基底クラス・フレンド関数といった言語仕様への理解を深めるうえで参考になるテクニックです。
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