C++で二分探索木(BST)からCeiling(天井)とFloor(床)を求める方法
本記事では、二分探索木(BST)からCeiling(天井)値とFloor(床)値を求める方法について解説します。
まず用語を整理しておきましょう。あるキーに対する「Ceiling」とは、そのキー以上の値の中で最小の要素を指し、「Floor」とはそのキー以下の値の中で最大の要素を指します。
応用例:メモリ管理システム
例えば、メモリ管理システムを構築することを考えてみます。空きメモリブロック(フリーノード)がBST上に配置されており、入力された要求サイズに対して最適なフィット(ベストフィット)を見つけたい場面です。このとき、ツリーを降下しながら「キー値より大きい最小のデータ」を追跡していくことになります。
Ceiling値を求めるアルゴリズム
ツリーを降下しながら、キー値より大きい最小のデータを探す場合、各ノードにおいて次の3つのケースが考えられます。
- ルートのキーが探索キーと一致する場合: ルートの値がそのままCeiling値となります。
- ルートのデータがキーより小さい場合(root.key < key): Ceiling値は左部分木には存在しないため、右部分木へ進み、問題の範囲を絞り込みます。
- ルートのデータがキーより大きい場合(root.key > key): ルート自体がCeiling候補になります。ただし、左部分木の中にキーより大きく、かつルートより小さい値を持つノードが存在する可能性もあるため、左部分木も探索します。より良い候補が見つからなければ、ルートの値がCeiling値となります。
動作イメージ
例えば、次のようなBSTを考えます。
8
/ \
4 12
/ \ / \
2 6 10 14このツリーでは、0・1・2のCeilingは2、3・4のCeilingは4、5・6のCeilingは6、というように求まっていきます。また、15のようにツリー内のどの値よりも大きいキーに対しては、Ceilingが存在しないため -1 を返します。
ここではCeiling関数のみを実装しますが、比較条件を少し修正するだけで、同様のロジックでFloor値も取得できます。
C++による実装例
#include <iostream>
using namespace std;
class node {
public:
int key;
node* left;
node* right;
};
node* getNode(int key) {
node* newNode = new node();
newNode->key = key;
newNode->left = NULL;
newNode->right = NULL;
return newNode;
}
int ceiling(node* root, int num) {
if (root == NULL)
return -1;
if (root->key == num)
return root->key;
if (root->key < num)
return ceiling(root->right, num);
int ceil = ceiling(root->left, num);
return (ceil >= num) ? ceil : root->key;
}
int main() {
node* root = getNode(8);
root->left = getNode(4);
root->right = getNode(12);
root->left->left = getNode(2);
root->left->right = getNode(6);
root->right->left = getNode(10);
root->right->right = getNode(14);
for (int i = 0; i < 16; i++)
cout << i << "\tCeiling: " << ceiling(root, i) << endl;
}出力結果
0 Ceiling: 2 1 Ceiling: 2 2 Ceiling: 2 3 Ceiling: 4 4 Ceiling: 4 5 Ceiling: 6 6 Ceiling: 6 7 Ceiling: 8 8 Ceiling: 8 9 Ceiling: 10 10 Ceiling: 10 11 Ceiling: 12 12 Ceiling: 12 13 Ceiling: 14 14 Ceiling: 14 15 Ceiling: -1
計算量について
このアルゴリズムの時間計算量は O(h) です(hはツリーの高さ)。各ステップで探索対象が左右いずれかの部分木に限定されるため、バランスの取れたBSTであれば O(log n)、最悪ケース(線形に偏ったツリー)では O(n) となります。メモリ管理のような頻繁な検索が必要なシステムでは、ツリーのバランスを保つことが性能面で重要になります。
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