C++で二分探索木(BST)を復元するアルゴリズムを解説
問題の概要
二分探索木(BST)において、誤って2つのノードの値が入れ替わってしまった状態を考えます。この記事では、入れ替わった2つのノードを特定し、木を正しい二分探索木の状態へ復元する方法をC++で解説します。
例えば、次のような木が与えられた場合(左図)、復元後の木は右図のようになります。

解決のアプローチ
二分探索木には「中順(インオーダー)走査を行うと、ノードの値が昇順に並ぶ」という重要な性質があります。この性質を利用すると、入れ替わったノードを効率的に検出できます。具体的には、以下の手順で解決します。
- prev、first、second という3つのノード参照を用意します。
- findProblem() というメソッドを定義します(引数としてノードを受け取ります)。
- ノードがNULLの場合は何もせずに戻ります。
- findProblem(ノードの左部分木)を再帰的に呼び出します。
- prev がNULLでなく、かつ prev の値が現在のノードの値より大きい場合(昇順が崩れている箇所を検出):
- first がNULLであれば、first = prev とします。
- second = 現在のノード とします。
- prev = 現在のノード として更新します。
- findProblem(ノードの右部分木)を再帰的に呼び出します。
- メインの recoverTree() メソッドでは、prev・first・second をNULLで初期化し、findProblem(root) を呼び出した後、first と second の値を交換します。
なぜこの方法で動くのか
中順走査ではBSTの値が昇順に並ぶはずです。2つの要素が入れ替わると、昇順が崩れる箇所が1〜2か所現れます。最初に検出された違反箇所の「前のノード」が first に、「現在のノード」が second に記録され、最後にこの2つの値を交換することで木が復元されます。
C++での実装例
以下の実装例を見ると、より理解が深まるでしょう。
#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
class TreeNode{
public:
int val;
TreeNode *left, *right;
TreeNode(int data){
val = data;
left = NULL;
right = NULL;
}
};
void insert(TreeNode **root, int val){
queue<TreeNode*> q;
q.push(*root);
while(q.size()){
TreeNode *temp = q.front();
q.pop();
if(!temp->left){
if(val != NULL)
temp->left = new TreeNode(val);
else
temp->left = new TreeNode(0);
return;
} else {
q.push(temp->left);
}
if(!temp->right){
if(val != NULL)
temp->right = new TreeNode(val);
else
temp->right = new TreeNode(0);
return;
} else {
q.push(temp->right);
}
}
}
TreeNode *make_tree(vector<int> v){
TreeNode *root = new TreeNode(v[0]);
for(int i = 1; i<v.size(); i++){
insert(&root, v[i]);
}
return root;
}
void tree_level_trav(TreeNode* root){
if (root == NULL) return;
cout << "[";
queue<TreeNode*> q;
TreeNode *curr;
q.push(root);
q.push(NULL);
while (q.size() > 1) {
curr = q.front();
q.pop();
if (curr == NULL){
q.push(NULL);
} else {
if(curr->left)
q.push(curr->left);
if(curr->right)
q.push(curr->right);
if(curr->val == 0){
cout << "null" << ", ";
}else{
cout << curr->val << ", ";
}
}
}
cout << "]"<<endl;
}
class Solution {
public:
TreeNode* prev;
TreeNode* first;
TreeNode* second;
void swapValue(TreeNode* first, TreeNode* second){
int x = first->val;
first->val = second -> val;
second->val = x;
}
void findProblem(TreeNode* node){
if(!node || node->val == 0)return;
findProblem(node->left);
if((prev!=NULL && prev->val != 0) && prev->val > node->val){
if(!first){
first = prev;
}
second = node;
}
prev = node;
findProblem(node->right);
}
void recoverTree(TreeNode* root) {
prev = first = second = NULL;
findProblem(root);
swapValue(first, second);
}
};
int main(){
vector<int> v = {1,3,NULL,NULL,2};
TreeNode *root = make_tree(v);
Solution ob;
ob.recoverTree(root);
tree_level_trav(root);
}入力
{1,3,NULL,NULL,2}出力
[3, 1, null, null, 2]
このように、中順走査の性質を活かすことで、木全体を再構築することなく、入れ替わった2つのノードの値だけを交換してBSTを復元できます。計算量はノード数をNとすると O(N)、再帰の深さが木の高さに依存するため空間計算量は O(H)(Hは木の高さ)となります。
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