Pythonの浅いコピー(シャローコピー)と深いコピー(ディープコピー)の違いをわかりやすく解説
Pythonにおける変数とオブジェクト参照の基本
Pythonでは、変数はオブジェクトへの「参照」にすぎません。そのため、ある変数を別の変数に代入しても、オブジェクトそのものが複製されるわけではなく、同じオブジェクトへの新たな参照が作られるだけです。この挙動は、組み込み関数 id() を使うことで確認できます。
>>> L1 = [1,2,3] >>> L2 = L1 >>> id(L1), id(L2) (2165544063496, 2165544063496)
上記のコードの実行結果を見ると、両方のリストオブジェクトに対する id() の戻り値が同一であることがわかります。つまり、L1とL2は同じオブジェクトを参照しているのです。この状態のL2は、L1の浅いコピー(シャローコピー)と呼ばれます。両者が同じオブジェクトを指しているため、どちらか一方に加えた変更は、もう一方にも反映されます。
>>> L1 = [1,2,3] >>> L2 = L1 >>> L2[1] = 100 >>> L1,L2 ([1, 100, 3], [1, 100, 3])
この例では、L2のインデックス1の要素を変更しました。すると、その変更がL1とL2の両方に現れていることが確認できます。
浅いコピーと深いコピーとは何か
コピーオペレーションによって完全に新しいオブジェクトが生成され、さらにネストされた(入れ子になった)オブジェクトのコピーも再帰的に追加される場合、そのコピーは深いコピー(ディープコピー)と呼ばれます。
Pythonの標準ライブラリには copy モジュールが用意されており、次の2つのメソッドが提供されています。
copy.copy()— 浅いコピー(シャローコピー)を作成するcopy.deepcopy()— 深いコピー(ディープコピー)を作成する
浅いコピー(copy.copy())の挙動
浅いコピーは新しいオブジェクトを生成し、元の要素への参照を格納します。しかし、ネストされたオブジェクト自体のコピーは作らず、ネストされたオブジェクトへの参照だけを複製します。そのため、コピー処理は再帰的には行われません。
>>> import copy >>> L1 = [[1,2,3], [4,5,6]] >>> L2 = copy.copy(L1) >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [4, 5, 6]], [[1, 2, 3], [4, 5, 6]]) >>> L2.append([10,10,10]) >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [4, 5, 6]], [[1, 2, 3], [4, 5, 6], [10, 10, 10]])
ここで、L1はネストされたリストであり、L2はその浅いコピーです。親リストオブジェクトへの参照はL2にコピーされますが、内部の要素まではコピーされません。したがって、L2に対して別のリストを追加(append)しても、その変更はL1には反映されません。
一方、子要素(内側のリスト)の要素を変更しようとすると、その影響は両方のリストに現れます。
>>> L1 = [[1,2,3], [4,5,6]] >>> L2 = copy.copy(L1) >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [4, 5, 6]], [[1, 2, 3], [4, 5, 6]]) >>> L2[1][0] = 100 >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [100, 5, 6]], [[1, 2, 3], [100, 5, 6]])
これは、浅いコピーでは内側のリストが共有されているためです。外側のリスト構造の変更(要素の追加や削除など)は独立していますが、内側のオブジェクトへの変更は元のデータにも影響を与える点に注意が必要です。
深いコピー(copy.deepcopy())の挙動
深いコピーの場合は、新しいオブジェクトを生成するとともに、元の要素に含まれるネストされたオブジェクトのコピーも再帰的に追加します。
次の例では、L2はL1の深いコピーです。この状態で内側のリストの任意の要素を変更しても、もう一方のリストには影響しません。
>>> L1 = [[1,2,3], [4,5,6]] >>> L2 = copy.deepcopy(L1) >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [4, 5, 6]], [[1, 2, 3], [4, 5, 6]]) >>> L2[1][0] = 100 >>> L1,L2 ([[1, 2, 3], [4, 5, 6]], [[1, 2, 3], [100, 5, 6]])
出力結果から、L2の変更がL1に一切反映されていないことが確認でき、深いコピーの効果が実証されています。
まとめ:使い分けのポイント
- 単純な代入(=):同じオブジェクトを共有するため、すべての変更が相互に反映される
- 浅いコピー(copy.copy()):最上位のオブジェクトは独立するが、ネストされたオブジェクトは共有される
- 深いコピー(copy.deepcopy()):ネストされたオブジェクトまで完全に複製されるため、完全に独立したデータとなる
ネストされたデータ構造を安全に扱いたい場合は深いコピーを、パフォーマンスを重視して一部の共有を許容できる場合は浅いコピーを選ぶなど、用途に応じて適切に使い分けることが重要です。
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