Pythonでのスレッド同期の基本:Lockによる排他制御のやり方を解説
マルチスレッドプログラミングでは、複数のスレッドが同時に共有リソースへアクセスすると、データの不整合や競合状態(レースコンディション)が発生する恐れがあります。Pythonの標準ライブラリであるthreadingモジュールには、こうした問題を防ぐためのシンプルなロック機構が組み込まれており、これを利用することでスレッドの動作を同期させることができます。
Lockオブジェクトの生成
新しいロックは、Lock()メソッドを呼び出すだけで作成できます。このメソッドは新しいロックオブジェクトを返します。
threadLock = threading.Lock()
acquire()メソッドでロックを取得する
ロックオブジェクトのacquire(blocking)メソッドを使うと、スレッドを強制的に同期的に実行させられます。省略可能な引数blockingによって、ロックが取得できるまでスレッドを待機させるかどうかを制御できます。
- blocking=0 の場合: ロックを取得できなければ即座に「0」を返し、取得できた場合は「1」を返します(ノンブロッキング動作)。
- blocking=1 の場合: ロックが解放されるまで、スレッドはブロックされた状態で待ち続けます。
release()メソッドでロックを解放する
ロックが不要になったタイミングで、release()メソッドを呼び出してロックを解放します。これにより、待機していた次のスレッドがロックを取得できるようになります。
サンプルコード
以下は、2つのスレッドをロックで同期させる例です(Python 3系の記法で記述しています)。
#!/usr/bin/python3
import threading
import time
class myThread(threading.Thread):
def __init__(self, threadID, name, counter):
threading.Thread.__init__(self)
self.threadID = threadID
self.name = name
self.counter = counter
def run(self):
print("Starting " + self.name)
# スレッドを同期するためロックを取得
threadLock.acquire()
print_time(self.name, self.counter, 3)
# 次のスレッドのためにロックを解放
threadLock.release()
def print_time(threadName, delay, counter):
while counter:
time.sleep(delay)
print("%s: %s" % (threadName, time.ctime(time.time())))
counter -= 1
threadLock = threading.Lock()
threads = []
# 新しいスレッドを作成
thread1 = myThread(1, "Thread-1", 1)
thread2 = myThread(2, "Thread-2", 2)
# スレッドを開始
thread1.start()
thread2.start()
# スレッドをリストに追加
threads.append(thread1)
threads.append(thread2)
# すべてのスレッドの完了を待機
for t in threads:
t.join()
print("Exiting Main Thread")
実行結果
上記のコードを実行すると、次のような出力が得られます。
Starting Thread-1 Starting Thread-2 Thread-1: Thu Mar 21 09:11:28 2013 Thread-1: Thu Mar 21 09:11:29 2013 Thread-1: Thu Mar 21 09:11:30 2013 Thread-2: Thu Mar 21 09:11:32 2013 Thread-2: Thu Mar 21 09:11:34 2013 Thread-2: Thu Mar 21 09:11:36 2013 Exiting Main Thread
処理の流れのポイント
- 先にstartされたThread-1がロックを取得し、現在時刻の出力を3回繰り返します。
- Thread-2は
acquire()の時点でブロックされ、Thread-1がrelease()を実行するまで待機します。 - そのため、Thread-1の出力がすべて終わってからThread-2の出力が始まり、スレッドが順番に実行されていることがわかります。
- 最後に
join()ですべてのスレッドの完了を待ち、メインスレッドが終了します。
このように、Lockオブジェクトによる取得・解放の仕組みを使えば、複数スレッドが共有リソースへ同時にアクセスすることを防ぎ、安全で予測可能な並行処理を実現できます。
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