HashMapとConcurrentHashMapの違いを徹底解説!スレッドセーフ性からパフォーマンスまで
JavaコレクションフレームワークとMapの役割
Javaにおいて、コレクションフレームワークはデータを保持するための最も重要なデータ構造の一つです。Map、Set、Listなど複数の実装が提供されており、これらは効率的なデータ保存を可能にするだけでなく、マルチスレッド環境でのデータ操作にも対応できるよう設計されています。
数ある実装の中でもHashMapは、データを「キー(Key)」と「値(Value)」のペアで格納する代表的なコレクションです。一方、マルチスレッド環境向けのコレクションとして用意されているのがConcurrentHashMapで、HashMapの特性を受け継ぎつつ、並行処理下でも安全にデータを扱える点が大きな特徴です。
この記事では、両者の内部実装の違いに基づき、押さえておくべき6つの重要な相違点を解説します。
HashMapとConcurrentHashMapの違い一覧
| # | 比較項目 | HashMap | ConcurrentHashMap |
|---|---|---|---|
| 1 | 並行性 | スレッドセーフではない | スレッドセーフ。マルチスレッド環境に適している |
| 2 | 内部実装 | セグメントの概念がなく、キーと値のペアでデータを格納 | 初期化時にデフォルト16個のセグメントに分割され、最大16スレッドが同時アクセス可能 |
| 3 | 導入時期 | JDK 1.2で登場 | Sun MicrosystemsによりJDK 1.5で登場 |
| 4 | nullの扱い | キー・値ともにnullを許容 | キー・値ともにnull不可。追加しようとするとNullPointerExceptionが発生 |
| 5 | 同期方式 | 同期化されていないためオーバーヘッドが少ない | 同時実行レベルに応じてMapを分割し、必要な部分だけをロック |
| 6 | パフォーマンス | synchronizedMap()でラップするとHashtable相当になり、全操作でMap全体がロックされる | 複数スレッドが同時にMapへアクセスでき、高いスループットを実現 |
各項目の詳細解説
1. 並行性(スレッドセーフ性)
両者の最大の違いは並行性に関するものです。HashMapはスレッドセーフではありません。複数のスレッドから同時に読み書きを行うと、データの不整合や予期しない動作を引き起こす可能性があります。
一方、ConcurrentHashMapはスレッドセーフに設計されており、内部状態がロック機構によって保護されるため、マルチスレッド環境でも安心して利用できます。
2. 内部実装の違い
HashMapは内部的にセグメント(区分)という概念を持たず、キーと値のペアをバケットに格納するシンプルな構造です。
対してConcurrentHashMapは、初期化時にMap全体をデフォルトで16個のセグメントに分割して管理します。これにより、最大16個のスレッドがそれぞれ異なるセグメントに対して同時に操作を行え、高並行性の状況でも各スレッドが独立した領域で作業できます。
※補足:Java 8以降のConcurrentHashMapでは、セグメントベースの設計からCAS(Compare-And-Swap)とsynchronizedブロックを組み合わせた方式へと改良され、より細粒度な同期が実現されています。
3. 導入されたバージョン
HashMapはJDK 1.2で導入された歴史あるコレクションです。一方、ConcurrentHashMapはSun MicrosystemsによってJDK 1.5でjava.util.concurrentパッケージの一部として導入されました。
4. null値の扱い
HashMapでは、キーと値のどちらにもnullを格納できます(キーのnullは1つのみ)。
しかしConcurrentHashMapでは、キー・値のいずれについてもnullは許可されていません。nullを格納しようとすると、実行時にNullPointerExceptionがスローされます。これは、並行環境では「キーが存在しない」のか「値がnullである」のかを区別できないという設計上の理由によるものです。
5. 同期(Synchronization)の仕組み
HashMapは同期化されていないため、単一スレッド環境ではConcurrentHashMapよりもオーバーヘッドが小さく高速に動作します。
ConcurrentHashMapは、同時実行レベル(Concurrency Level)に基づいてMap全体を複数のパーティションに分割し、Map全体ではなく該当する一部分だけをロックすることでスレッドセーフ性を実現しています。この方式により、ロック競合を最小限に抑えられます。
6. パフォーマンスの違い
HashMapをマルチスレッド環境で使いたい場合は、Collections.synchronizedMap(HashMap)でラップする方法があります。ただしこの方法で得られるコレクションはHashtableとほぼ同等であり、Mapに対するすべての変更操作でMapオブジェクト全体がロックされるため、ボトルネックになりやすい点に注意が必要です。
そのようなケースでは、ConcurrentHashMapを選ぶ方が賢明です。ConcurrentHashMapは複数のスレッドが同時にMapへアクセスすることを許容するため、同期化されたHashMapよりも優れたパフォーマンスを発揮します。
まとめ:使い分けのポイント
単一スレッド環境や読み取り中心の用途であれば、軽量で高速なHashMapが最適です。一方、複数スレッドからの同時アクセスが想定される場合は、ConcurrentHashMapを選択することで、スレッドセーフ性と高いパフォーマンスを両立できます。「Collections.synchronizedMap()で後から同期化する」よりも「最初からConcurrentHashMapを使う」方が、一般的に良い選択であることを覚えておきましょう。
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