MySQLレプリケーション:特定のSQLステートメントをスレーブに一時的に複製させない方法
MySQLレプリケーション環境では、マスターで実行されたSQLステートメントが基本的にすべてスレーブへ複製されます。しかし、メンテナンス作業や一時的なデータ修正など、「この操作だけはスレーブに反映させたくない」というケースも少なくありません。そのような場合は、システム変数 sql_log_bin を 0 に設定することで、該当するステートメントをバイナリログに記録せず、結果としてスレーブへの複製を一時的に防止できます。
ここからは、実際にテーブルを作成して動作を確認していきましょう。
1. 検証用テーブルの作成
まず、動作確認のためのサンプルテーブル「SQLStatementsDemo」を作成します。実行するクエリは以下のとおりです。
mysql> create table SQLStatementsDemo
-> (
-> UserId int NOT NULL AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
-> UserName varchar(20)
-> );
Query OK, 0 rows affected (0.79 sec)
2. テストデータの挿入
続いて、INSERTコマンドでいくつかのレコードを挿入します。
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('John');
Query OK, 1 row affected (0.18 sec)
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('Carol');
Query OK, 1 row affected (0.14 sec)
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('Bob');
Query OK, 1 row affected (0.14 sec)
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('Mike');
Query OK, 1 row affected (0.14 sec)
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('Sam');
Query OK, 1 row affected (0.14 sec)
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('David');
Query OK, 1 row affected (0.14 sec)
3. 登録されたデータの確認
SELECT文ですべてのレコードを表示してみましょう。
mysql> select *from SQLStatementsDemo;
以下が出力結果です。
+--------+----------+ | UserId | UserName | +--------+----------+ | 1 | John | | 2 | Carol | | 3 | Bob | | 4 | Mike | | 5 | Sam | | 6 | David | +--------+----------+ 6 rows in set (0.00 sec)
4. sql_log_binによるレプリケーションの一時停止
ここからが本題です。SET sql_log_bin = 0; を実行すると、そのセッションで以降に実行されるSQLステートメントはバイナリログに書き込まれなくなり、スレーブには複製されません。まずはUPDATE文でデータを更新してみます。
mysql> SET sql_log_bin=0; Query OK, 0 rows affected (0.00 sec) mysql> update SQLStatementsDemo set UserName='Maxwell' where UserId=6; Query OK, 1 row affected (0.05 sec) Rows matched: 1 Changed: 1 Warnings: 0
さらにINSERTとDELETEも実行して、動作を確認します。
mysql> insert into SQLStatementsDemo(UserName) values('Chris');
Query OK, 1 row affected (0.16 sec)
mysql> select *from SQLStatementsDemo;
+--------+----------+
| UserId | UserName |
+--------+----------+
| 1 | John |
| 2 | Carol |
| 3 | Bob |
| 4 | Mike |
| 5 | Sam |
| 6 | Maxwell |
| 7 | Chris |
+--------+----------+
7 rows in set (0.00 sec)
mysql> delete from SQLStatementsDemo where UserId=7;
Query OK, 1 row affected (0.10 sec)
これらの操作(UserId=6のユーザー名変更、Chrisの追加と削除)はマスター上では反映されていますが、スレーブ側には伝わりません。
作業が完了したら、忘れずに SET sql_log_bin = 1; を実行して、通常どおりバイナリログへの記録を再開しましょう。
mysql> SET sql_log_bin=1 ; Query OK, 0 rows affected (0.00 sec)
利用時の注意点
- セッション単位の設定: sql_log_binはセッションスコープの変数のため、設定は現在の接続にのみ適用され、他の接続には影響しません。
- 必要な権限: この変数を変更するには、SUPER権限(MySQL 8.0系ではSESSION_VARIABLES_ADMIN権限)が必要です。
- トランザクション中は変更不可: トランザクションの途中でsql_log_binを変更することはできません。
- 復旧忘れに注意: 設定を1に戻し忘れると、以降のすべての変更がスレーブに反映されず、データ不整合の原因になります。作業後は必ず元に戻してください。
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