情報セキュリティにおけるWebサービスの3大要素とは?3種類のプライバシーモデルを徹底解説
典型的なWebサービスは、「利用者(ユーザー)」「サービス」「データベース」という3つの要素で構成されています。情報セキュリティの分野では、これらの要素に対応して「ユーザープライバシー」「サービスプライバシー」「データプライバシー」という3種類のプライバシーからなるプライバシーモデルが定義されています。本記事では、それぞれの役割と具体的な仕組みについて詳しく解説します。
ユーザープライバシー(User Privacy)
Webサービスの利用者には、個人(市民やケースワーカーなど)だけでなく、アプリケーションや他のWebサービスも含まれます。場合によっては、Webサービスとのやり取りの中で、大量の機微性の高い個人情報の提供が求められることもあります。
ただし、利用者が期待する、あるいは必要とするプライバシーのレベルは、情報の機微性に対する認識によって異なります。例えば、ある利用者は雇用履歴よりも医療情報に対して、より厳格なプライバシー保護を求めるでしょう。つまり、プライバシーへの意識は「誰にデータを渡すのか」「そのデータが何に使われるのか」という観点で変化するのです。
利用者のデータに適用される一連のプライバシー設定の集合を「ユーザープライバシープロファイル」と呼びます。このプロファイルは通常、利用者自身が定義しますが、特定のグループに対して一括して設定することも可能です。
プライバシープロファイルは動的なものであり、利用者はいつでも自分のプロファイルを作成・閲覧・更新・削除できます。また、プライバシー侵害をめぐる法的紛争の解決を支援するためにも、基本的なWebサービスアーキテクチャにおいて、これらの操作を明確に定義しておくことが重要です。
サービスプライバシー(Service Privacy)
Webサービスは一般的に、すべての利用者に適用される規則の集合を定めた独自のプライバシーポリシーを持っています。サービスプライバシーでは、主に以下の3種類のポリシーが定義されます。
- 利用ポリシー(Usage Policy):収集した情報がどのような目的で使用できるかを定義します。
- 保管ポリシー(Storage Policy):収集した情報をサービスが保持・蓄積できるかどうか、またどの期間まで保持するかを定義します。
- 開示ポリシー(Disclosure Policy):特定の利用者から収集した情報を、誰に対して開示できるかを定義します。
例えば、公的医療扶助制度のような福祉サービスでは、「市民から収集した情報は、福祉プログラムを離脱した後も1年間は基盤データベースに保存し続ける」といった保管ポリシーを定めることができます。
また、開示ポリシーについては、受給者の平均所得や人種別分布など、受給者全体の一般的な特性を示す統計データを外部の利用者が閲覧できないようにする、といったルールを設けることも可能です。このようにして、個人または集団に関わる情報の不適切な開示を防ぎます。
データプライバシー(Data Privacy)
1つのデータオブジェクトは、複数のWebサービスから利用される可能性があります。例えば、データベース内のあるレコードは、税務署の職員が従業員の税務申告内容の正確性を検証するために使用される一方で、児童養育支援機関の担当者が親が養育費の支払い義務を履行しているかを確認するためにも使用され得ます。
これは、複数のWebサービスが同じデータオブジェクトからそれぞれ異なる情報を必要としていることを示しています。したがって、データオブジェクトは、アクセスするWebサービスごとに異なる「ビュー(表示範囲)」を見せられる仕組みが求められます。
そこで、各データオブジェクトには「データプライバシープロファイル」を定義できます。このプロファイルにより、どのWebサービスに対してどのアクセスビューを公開するかを細かく指定することが可能となり、同じデータでも用途に応じた適切な情報開示が実現します。
まとめ
Webサービスにおける情報セキュリティは、「ユーザー」「サービス」「データ」という3つの構成要素それぞれに対応したプライバシー保護が不可欠です。個人が自由に管理できるユーザープライバシープロファイル、サービス側の利用・保管・開示の3ポリシー、そしてデータオブジェクト単位のアクセスビュー制御を組み合わせることで、多様なプライバシー要件に柔軟に対応できる安全なWebサービスが実現します。
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