エンタープライズキャッシングとは?導入すべき4つのサインと企業にもたらすメリット
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数十年にわたり、データベースはアプリケーションやWebサイトの裏側で動作し、デジタル体験をより動的で柔軟なものに進化させてきました。ところが、このモデルには根本的な問題がありました。アプリケーションを遅くしている犯人が、実はそのデータベースだったのです。
そこで活躍するのがキャッシュです。キャッシュは、サーバーのハードディスク上のデータベースに保存されたデータを、はるかに高速かつ効率的にアクセスできる一時的な領域へ移動させます。これにより、複雑で時間とエネルギーのかかるデータ取得処理は一度実行するだけで済み、以降はキャッシュから瞬時にデータを取り出せるようになります。
もちろん、企業の規模が拡大し、ビジネスへの影響力が増すほど、リスクは高まり、許容できるミスの余地は極めて狭くなります。すると、キャッシングは「あれば便利なもの」から「なくてはならないもの」へと変わります。小規模な会社にとって便利な仕組みが、大規模で競争の激しい企業にとっては必須条件となり、失敗はもはや選択肢にありません。
そこで登場するのがエンタープライズキャッシュです。基本的なキャッシュの堅牢な土台の上に構築されたこのソリューションは、成長し続ける需要に対応するために企業が必要とする一連の機能を提供します。具体的には、高可用性、信頼できる製品サポート、サブミリ秒のパフォーマンス、完全分散型レプリケーション、そして複雑なデータセットをコスト効率よく管理する手段です。よりスケーラブルで、障害に強く、しかも経済的です。
エンタープライズキャッシングへ切り替えるべきタイミングとは?
エンタープライズキャッシングソリューションを採用すべき理由はシンプルです。「スケールできることが必須であり、失敗が許されない」局面に達したときだからです。では、具体的にどのようなサインを見ればよいのでしょうか。考慮すべき要素を4つご紹介します。
1. 既存のデータベースが効果的にスケールできない
地味な存在のアリは、地球上で最も驚異的な生き物のひとつです。自重の約5,000倍の重さを持ち上げることができます。何世紀にもわたり、多くの科学者(そしてSF映画制作者)は、この小さな体の驚異的な力を人間サイズに拡大したらどうなるのだろうと想像してきました。しかし残念ながら、アリはスケールしません。同僚ほどの大きさのアリを作っても、その脚は自分の体重に耐えられず崩れ落ちてしまうでしょう。
キャッシュの拡張で起こる問題はそこまで劇的ではありませんが、似たような構造をしています。標準的なキャッシュは拡張に伴い、主に2種類の障壁にぶつかります。ストレージ容量の限界とリソースの限界です。前者はキャッシュデータを格納できる空き容量を指し、後者はデータの保存・取得など必要な処理を担える能力を指します。
解決策自体はシンプルですが、際限がないのが難点です。ストレージの上限に達したらストレージを増やし、処理能力が足りなければ帯域幅と計算能力を増強する——これが垂直スケーリング(スケールアップ)で、キャッシュに割り当てるリソースを増やしていきます。
オンプレミス環境では、通常、より多くのRAM・処理能力・ネットワーク帯域幅、あるいはそのすべてを備えた高性能サーバーへの置き換えを意味します。クラウド上のキャッシュであれば、より大きなインスタンスへの移行が該当します。一方、水平スケーリング(スケールアウト)は、個々のキャッシュインスタンスのサイズを変えずに、クラスタへノードを追加していく方式です。要するに、垂直スケーリングは「サイズ」での拡張、水平スケーリングは「数」での拡張といえます。
2. キャッシングのコストが法外になりつつある
需要の増加に合わせてキャッシュの規模を拡大し続ければ、問題は一時的に解決するかもしれません。しかし、その代償はどれほどでしょうか。持ち物が住まいに入りきらず、トランクルームを借りた経験がある方は多いでしょう。そのとき気づいたはずです。トランクルームに価値のない雑貨を詰め込んでも、値打ちのある骨董品を詰め込んでも、料金はほぼ同じだということを。
基本的なキャッシングも同じ仕組みです。使用頻度の高い、価値の高いデータも、あまり使われない重要度の低いキーと値も、まったく同じように扱われます。さらに厄介なのは、キャッシュ容量を使い切ったとき、データの重要度は一切考慮されない点です。単純に空きがないのです。そして、容量の追加は高くつきます。
Redis Enterprise のコンポーネントである Redis on Flash は、キャッシング階層を構築することでコストを抑制します。アクティブに利用されるデータはRAMに保存し、利用頻度の低いデータははるかに大容量で低価格なフラッシュメモリに保持できるのです。
3. 単一マスターへの依存ができなくなっている
キャッシュにノードを追加すればトラフィック増加への対応は可能ですが、それで問題のすべてが解決するわけではありません。基本のキャッシングでも読み取りレプリカの追加は可能で、これは読み取り負荷を複数のサーバーに分散させて読み取り性能を高める水平スケーリングの一手法です。しかし、書き込みを処理するマスターは1台に限定されたままです。
単一マスターへの依存は、デプロイメントが複数のリージョンにまたがっていたり、複数のプロバイダーやマルチクラウドを利用していたりする場合に深刻な問題を引き起こします。顧客層が広範囲に散らばるグローバルなアプリケーションでは、すべての書き込みリクエストが発信元にかかわらず1つの場所に集中するため、致命的なボトルネックになります。
例えるなら、テイクアウトのレストランで注文を受け取る窓口は複数あるのに、会計できるレジは1つしか開いていないようなものです。Redis Enterprise の Active-Active Geo-Deployment を利用すれば、リージョンやプロバイダーに関係なく、任意のマスターインスタンスが読み取りと書き込みの両方のリクエストを処理できます。
4. 高可用性は贅沢品から必需品へ
小規模なアプリケーションであれば、ときどきダウンしても「迷惑で恥ずかしい出来事」で済むかもしれません。しかしエンタープライズレベルの障害は話が別です。少年野球の試合でのエラーは不運ですが、ワールドシリーズで起これば数百万ドルの損失につながりかねません。
同様に、可用性の低下はもはや単なる不便さではなく、重大な責任問題です。顧客とのSLA(サービスレベル契約)の内容によっては、法的リスクにさらされる可能性もあります。ところが、基本的なキャッシングには、スケーラビリティ、セキュリティ、高可用性に関する固有の保証がありません。オープンソースのキャッシュの上に保護機構を自前で構築することは理論上可能ですが、そうした自家製ソリューションには、特有の運用負荷と隠れたコストがつきものです。
もちろん、一部のサードパーティ製Redisキャッシュは99.9%(スリーナイン)の可用性を提供していますが、それは単一リージョン内に限られ、データ永続化はサポートされず、スナップショットのみです。アプリケーションが限定的であれば足りるかもしれませんが、企業や顧客基盤が国際的なのであれば決して十分ではありません。Redis Enterprise Cloud は、1つ以上のリージョンにわたって99.999%(ファイブナイン)のSLAを提供します。パフォーマンスに影響を与えることなくデータの永続化とバックアップをサポートし、さらに自動クラスタ復旧とピュアなインメモリレプリケーションを備えています。
エンタープライズキャッシングで顧客獲得を始めよう
企業の拡大に伴う要求の増大は、ページのロード時間の遅延を招き、長年の顧客を遠ざけ、潜在顧客からの見送りを広範に生み出しかねません。好むと好まざるとにかかわらず、レスポンスタイムはオンライン体験の中核をなす要素なのです。
Unbounceの調査によると、ユーザーの70%が、オンラインショップでの購入意欲はロード時間の影響を受けると回答しています。また研究によれば、ユーザーが「待たされている」と感じ始めるまでにはわずか約100ミリ秒しかありません。これは、まばたき1回にかかる時間の3分の1です。アプリケーションのロード中に顧客がまばたきできるようであれば、すでにその顧客を失っている可能性が高いのです。
しかも、これは購買判断だけの話ではありません。Salesforceの調査では、顧客の83%が「体験は製品やサービスと同じくらい重要である」と考えていることが判明しています。
さらに、情報が瞬く間に拡散する時代において、ある一人の顧客の悪い体験は、長く孤立したまま留まることはありません。Webサイトで不満足な体験をした人は、それを黙って抱え込むことは少なく、Salesforceの調査では顧客の61%が悪い体験を他の人と共有するとされています。その結果、アプリケーションの欠陥は、潜在顧客全体へ悪評が急速に広まる形で、悪意の連鎖反応を引き起こしかねません。
幸い、この厳しい統計にも明るい兆しがあります。同じSalesforceの調査で、顧客の70%は良い体験も他の人と共有しがちであることが明らかになっています。あなたの会社が成長段階にあり、既存顧客を失うのではなく、満足度の高い新規顧客の基盤を築きたいのであれば、エンタープライズキャッシングこそが、デジタル体験の無限ともいえる拡大への土台を築く鍵となるでしょう。
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