Rubyリファクタリング入門:コードの品質を高める基本テクニック
リファクタリングとは、プログラムの動作(振る舞い)を一切変えずに、コードの品質を向上させる作業のことです。リファクタリングを適切に行うことで、コードは格段に扱いやすくなり、読みやすく保守しやすいものになります。
この記事では、Rubyでよく使われる代表的なリファクタリング手法をいくつかご紹介します。
それでは始めましょう!
メソッドの抽出(Extract Method)
最も一般的なリファクタリングのひとつが「メソッドの抽出」です。既存のメソッドから一部のコードを取り出して新しいメソッドに移すことで、説明的な名前を持つ小さなメソッド群を作れます。
まずは次の例を見てみましょう。
@sold_items = %w( onions garlic potatoes )
def print_report
puts "*** Sales Report for #{Time.new.strftime("%d/%m/%Y")} ***"
@sold_items.each { |i| puts i }
puts "*** End of Sales Report ***"
end
このメソッドの中で最も見栄えが悪いのは、現在日付を生成している部分です。まずここを独立したメソッドとして切り出してみます。
def print_report
puts "*** Sales Report for #{current_date} ***"
@sold_items.each { |i| puts i }
puts "*** End of Sales Report ***"
end
def current_date
Time.new.strftime("%d/%m/%Y")
end
これだけでもかなり読みやすくなりましたが、さらに一歩進んでみましょう。処理をいくつかのメソッドに分割すると、次のようなコードになります。
def print_report
print_header
print_items
print_footer
end
def print_header
puts "*** Sales Report for #{current_date} ***"
end
def current_date
Time.new.strftime("%d/%m/%Y")
end
def print_items
@sold_items.each { |i| puts i }
end
def print_footer
puts "*** End of Sales Report ***"
end
確かにコード全体の行数は増えましたが、そのぶん格段に読みやすくなったと思いませんか? 小さなメソッドを恐れないでください。小さく分割されたメソッドこそ、良いコードへの近道です。
条件分岐のリファクタリング
複雑な条件式も、メソッドとして切り出すことで読みやすさを大きく改善できます。
例:
def check_temperature
if temperature > 30 && (Time.now.hour >= 9 && Time.now.hour <= 17)
air_conditioner.enable!
end
end
この if 文の後半部分(営業時間内かどうかの判定)は、一見しただけでは意図が分かりにくいですね。ここをメソッドとして抽出してみましょう。
def check_temperature
if temperature > 30 && working_hours
air_conditioner.enable!
end
end
def working_hours
Time.now.hour >= 9 && Time.now.hour <= 17
end
ここで行ったのは、条件式に working_hours(営業時間中)という説明的な名前を与えることです。これにより、将来このコードを読む人(未来の自分自身を含めて!)にとって、意図がとても理解しやすくなります。
メソッドオブジェクトへの置き換え(Replace Method with Method Object)
肥大化して制御しきれなくなった巨大なメソッドに遭遇することもあります。大きなメソッドはローカル変数を大量に抱えがちで、単純な分割が難しいのが難点です。そんなときに有効なのが「メソッドオブジェクトへの置き換え」という手法です。
「巨大なメソッドは、クラスが隠れられる場所である。」 — アンクルボブ(Robert C. Martin)
実際の例を見てみましょう。
require 'socket'
class MailSender
def initialize
@sent_messages = []
end
def send_message(msg, recipient = "rubyguides.com")
raise ArgumentError, "message too small" if msg.size < 5
formatted_msg = "[New Message] #{msg}"
TCPSocket.open(recipient, 80) do |socket|
socket.write(formatted_msg)
end
@sent_messages << [msg, recipient]
puts "Message sent."
end
end
sender = MailSender.new
sender.send_message("testing")
このリファクタリングでは、新しいクラスを作成し、ローカル変数をインスタンス変数へと昇格させます。こうすることで、データを受け渡しする手間を気にせず、さらなるリファクタリングを進められるようになります。
リファクタリング後の MailSender クラスがこちらです。
class MailSender
def initialize
@sent_messages = []
end
def deliver_message(message)
send(message)
@sent_messages << message
puts "Message sent."
end
def send(msg)
TCPSocket.open(msg.recipient, 80) { |socket| socket.write(msg.formatted_msg) }
end
end
そして、新しく導入したクラスがこちらです。
class Message
attr_reader :msg, :recipient
def initialize(msg, recipient = "rubyguides.com")
raise ArgumentError, "message too small" if msg.size < 5
@msg = msg
@recipient = recipient
end
def formatted_msg
"[New Message] #{msg}"
end
end
sender = MailSender.new
msg = Message.new("testing")
sender.deliver_message(msg)
まとめ
今回紹介したリファクタリング手法を活用すれば、「単一責任の原則(Single Responsibility Principle)」に沿った設計を保ちやすくなり、クラスやメソッドの肥大化を防ぐことができます。
まずは手元のコードから、小さなメソッドの抽出から試してみてはいかがでしょうか。日々の積み重ねが、長期的に見て大きな生産性の向上につながります。
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